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新国立劇場初登場の桑原裕子(演出)よりメッセージが到着 中村蒼、岡本玲ら出演の『ロビー・ヒーロー』

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(左から)中村 蒼、岡本 玲、板橋駿谷、瑞木健太郎

2022年5月6日(金)~22日(日)(5月1日(日)・2日(月)プレビュー公演)新国立劇場 小劇場にて上演される、『ロビー・ヒーロー』。この度、翻訳家と演出家のコメントが届いたので紹介する。

小川絵梨子芸術監督4年目のシリーズ企画「声 議論 正論 極論 批判 対話…の物語」の第二弾となる本作は、2017年アカデミー賞脚本賞受賞で話題となった映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケネス・ロナーガンが執筆。

自分のやりたいことを見いだせずロビーの警備員として過ごしている若者が、おもわず口を滑らせてしまったことから起きるトラブルとその顛末を描いている。ジェンダー、上司と部下、人種など、さまざまな格差のレイヤーがある中で、彼なりに考えて起こした行動は、果たして正義なのか、正論とはいったい何なのか……。自己承認欲求がSNSであふれ出す現在、さまざまな角度から考えられ身近に感じる戯曲となっている。 2001年オフ・ブロードウェイ初演、翌年にはウエストエンドで上演、18年にはブロードウェイでリバイバル上演された。新国立劇場初登場の桑原裕子を演出に迎え、中村 蒼、岡本 玲、板橋駿谷、瑞木健太郎が出演、日本初演でおくる。

【あらすじ】
マンハッタンにある高層マンションの広いロビー。警備担当のジェフは、人生の目的もなくこの仕事についている。クソ真面目で向上心のある上司ウィリアムは、不良の弟が殺人罪に問われて心配していた。見回りに来た有能な警察官ビルと相棒の新人見習いのドーン、どうも二人はいい仲のようだ。ロビーで待っているドーンに、ビルの訪問先は女性だと口を滑らしてしまうジェフ。動揺したドーンは、勤務時間中の行動を上に報告するとビルに噛みつくが、本採用させないぞと逆に圧をかけられてしまう。
翌日。弟のアリバイを偽証したウィリアムに対して、自分が何をすべきか悩むジェフ。ドーンは本当のことを話すのがあなたの責任だと説得するが……。
翻訳 浦辺千鶴からのメッセージ

2001年アメリカで初演されたこの作品が書かれたのは1999年だという。20年以上前の作品だが、人種や女性差別、格差の問題など、あまりに「今」の物語であることに驚かされた。
20年経っても人々はBlack Lives Matterと叫び、セクハラ・パワハラの被害を日々ニュースが伝えている。問題の複雑さ、根深さを思い知らされる。
そんな中でも登場人物たちは必死に生きる。この世界を良くしたい、誰もが幸せに生きられる世の中にしたい、そのために自分も貢献したいと大きな夢を描く。そんな大きな夢を前に、小さな勇気が振り絞れずに悩む。「正義」とはなにか悩み、人間関係に悩み、夢と現実のギャップに悩み、一筋縄ではいかない人間の多面性に悩む。悩みながらも自分で出した答えを受け止め、必死に前を向いていく。
人間は多面的だ。良いだけの人もいなければ、悪いだけの人もいない。そもそも良い悪いの基準も時代や状況で変わったりする。最後に頼れるのは自分の中の正義だと思うが、独善的にならず柔軟な心で判断できることこそが求められるのだと思う。そんなことを軽妙でテンポの良い会話の中に繊細かつずっしりと存在させているこの作品は、とても優れた人間ドラマだと思う。

演出 桑原裕子からのメッセージ

2020年の春、コロナ禍にあって私は、自らの憤懣をいかに上品に、正当性を持って言語化するかということについて毎時毎分考えるというような、不毛な作業をしていました。
政治の欺瞞、社会の分断。格差や多様性において異なる意見を持つ人同士の無理解。そういったものへの憤りを醜いまま放置させず、先端を知り、正しく言葉にしたい。そんな情熱に一時、燃えました。
しかしそれらを例えば140文字のSNSにまとめたところでなんたる空しさ。誰かと理解を深め合えるわけもなく、むしろ見ず知らずの他者から思いもよらぬ反論をぶつけられて狼狽し、知人と稚拙な口論で疎遠になる始末。
この熱は結局のところ、中学時代に親と喧嘩したとか友達とうまくいかないとか脇に毛が生えてきたとか、理由の分からぬ不安や怒りに支配されたとき、枕に突っ伏して吠えたり、足をばたつかせて壁に穴を開けたりしたのとそう変わらない、行き場のない攻撃性の発憤なのだと悟りました。そして今の時代、「正しさ」があまりにも簡単に言語化でき、発信され、私のように情熱の怒りを持った人びとによって、あちこちで暴力を振りまいているかを思いました。
そんなときに『ロビー・ヒーロー』に出会いました。あらゆる角度の「正しさ」が絡まり、ねじれ、じゃあどうすれば良かったのと登場人物それぞれの立ち位置から葛藤しました。
正義や正解をたやすく定義できない。しかしそれこそが演劇の素晴らしさだと思い出し、この作品と共に情熱を注ぐべき場所へ帰ろうと思いました。

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