【大磯町】郷土資料館、ムシから紐解く地域文化 高麗の「虫送り」など映像で
大磯町郷土資料館で、虫を巡る人々の暮らしの変化や大磯に残る風習などに着眼した企画展「くらしとムシ生活・信仰・文化財」が2026年1月25日(日)まで開催されている。担当学芸員の真保元さんは「生物学の視点だけでなく、民俗学や自然といった分野から見つめた、総合博物館ならではの展示になっています」と話す。
展示は「生活害虫としてのムシ」「民俗信仰とムシ」「文化財とムシ」の3章立て。展示チラシに「いわゆる”不快害虫”も登場します」という注意書きがある通り、展示の中には、ゴキブリやスズメバチ、ハエや蚊などが登場する。
「害虫と言われているムシたちは、昔は今ほど嫌われていなかった」と真保さん。1963年の「広報大磯」にはごみ収集の案内として「伝染病の媒介としての蝿がごみから発生しないうちに早く集め、清掃美化を計ろう」という記載があるほか、蚊帳などが普及するなど、公衆衛生が発達する前は、不快害虫の代表格とも言えるゴキブリよりも、ハエや蚊の方が暮らしの中の厄介者であったことが窺える。
稲につくイナゴなどの害虫を追い払い、豊作を祈願する「虫送り」の紹介では、1978年7月28日に大磯町高麗で50年ぶりに虫送りを復活させた際の8ミリテープの映像をデジタル化して放映。当時の街並みや暮らしもわかる映像解説となっている。
また、同館でも行われた「燻蒸」の様子を伝えるパネル展示や、一般家庭の流しに潜むゴキブリを探す模型展示など、年齢を問わず楽しめる工夫が散りばめられている。
展示は午前9時〜午後5時(最終入館4時30分)。12月20日(土)と1月17日(土)には学芸員による展示解説も実施。各午後2時〜、申込不要。
(問)同館【電話】0463・61・4700