さっぽろカフェ連載(58)/Silk Tree
薪ストーブのぬくもりに包まれる一軒家カフェ
宮の沢駅からすぐの場所、幹線道路から一本入った場所にあるその赤いトタン屋根の一軒家カフェは、今日もポジティブな空気に満たされていた。
薪ストーブのはぜる音とやかんから立ち上る湯気。
空間に漂うじんわりとしたやさしい暖かさにほっと肩の力がゆるむ。
ランチをとっているスーツの男性や話に夢中になっている女性たち、2階からは子どもたちの賑やかな笑い声が漏れてくる。
それぞれが自分だけのひとときを楽しんでいる。
趣味から始まったコーヒーの焙煎
お店を営む永井さんご夫妻は、ともに異業種から脱サラをして'23年10月にこのお店をオープンさせた。
もとは夫の等さんがコーヒー豆の焙煎のワークショップに参加したことがきっかけだというから、人生とは本当に何が起こるかわからないもの。
お子さんが自分の夢を見つけ、クリエイティブな仕事に就いたこともよい刺激となり、
「もともと技術職でもあるから仕事に復帰したくなったらまた考えればいいし、自分たち夫婦も第二の人生に何か新しいことを始めたくなった」のだそうだ。
物件をあれこれ探し、一度は決まりかけた場所が頓挫してしまうなど紆余曲折もあったそう。
転機となったのは、以前ここでお店を営んでいた「ミサキコーヒー」の店主からの提案。引越しをするのを機に、「この場所を引き継がないか」と声をかけられたことから一気に歯車が回り出した。
焙煎のノウハウや、お店づくりについても親身に相談に乗ってもらったという。
そんな素敵なご縁が重なったのも、きっとお二人の人柄あってこそ。
取材を通じて私が感じた一番のことだった。
こだわりのコーヒーと手づくりのスイーツ&ランチ
店内で自家焙煎するコーヒーは、焙煎機の特徴を活かした中煎り〜中深煎りが主体。ブレンドは2種類で、店名を掲げたブレンドは毎日飲んでも飽きないような、どんな食事やスイーツとも調和する和やかさと、飲みやすさが同居する。
味わい深いコーヒーをスイーツでも楽しめるのが「コーヒー屋さんのシフォンケーキ」だ。
抽出したコーヒーをゼリーにして、ふわふわ&しっとりなシフォンケーキとホイップクリームにオン。芳醇な香りとほろ苦さがケーキを引き立て、さながらコーヒーパフェのよう。もちろんコーヒーとの相性は言わずもがな。
同店ならではといえば「トマトシフォンのランチセット」もおすすめしたい。
濃縮したトマトの旨味を一緒に焼き込んだシフォンケーキに、ハム、チーズ、トマトを挟んだ甘くてしょっぱくてクセになる味。
キャロットラペやサラダなどの惣菜とスープがついたセットで「ケーキとハムチーズって合うの?」と思った方にこそ、一度味わってもらいたい逸品。
使い勝手のよい道具や雑貨も
店内には素敵な雑貨が並んでいて、もちろん購入も可能。
カップやお皿はカフェで提供しているものと同じものなので、使い心地を試せるのもうれしいところ。
12月からは不定期で夜の営業も始まったばかり。
店主夫妻の朗らかで穏やかな雰囲気を映したような空間で、昼とはまた違った、ゆったりと流れる時間に癒されるひとときを。
Silk Tree(シルク ツリー)
住所:札幌市西区西町北18丁目5-14
営業時間:11:00~17:00 L.O. 16:30
定休日:水曜、ほか不定休あり(SNSを確認)