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茅ヶ崎市・寒川町 「消防広域化」から2年の現状

タウンニュース

寺沢さん(中央)と同僚隊員

2022年4月に茅ヶ崎市と寒川町の消防本部を統合する「消防の広域化」が実施され、2年3カ月が経過した。成果や課題、現状について茅ヶ崎市消防総務課主幹の松本浩明さんに聞いた。

広域化の背景

広域化は高齢化などで救急需要が高まるなか、より効率的な組織運営を目指して行われた。茅ヶ崎、寒川両市町ではもともと生活圏が近く、警察や医師会なども管轄が同じであったことから検討が始められた。16年2月には119番通報の受け付けなどの共同運用を開始。19年3月に両首長が協議書に調印した。

共同管理で効率化

「広域化の利点の1つが、車両や資機材を共同で維持・管理することで効率的な運用が可能になること」と話す松本さん。今年6月、寒川町の工場で発生した火災ではしご車が消火に大きく貢献した。「広域化前の寒川消防にははしご車や指揮車といった特殊車両はなかったので、これも広域化による成果と言えると思います」

また26年には寒川町宮山に消防署を新設し、1本部2分署5出張所となり、さらなる効率化を目指すという。

一方で市町の境がなくなり、現場にもっとも近い部隊が駆けつけることで到着時間の短縮につながるとされていた救急車両の平均到着時間は9・1分と、広域化前とほぼ変わらず。松本さんは「現状では広域化による効果はほとんどありません」と話す。

その背景には高齢化や異常気象による熱中症患者の増加など救急需要の高まりが上げられる。茅ヶ崎消防本部の調べによると23年の出動は1万7654件。5年前と比較して4千件以上の増加となっている。

加えて軽症にも関わらず119番通報してしまう人も増加。同本部では「適正利用の呼びかけを続けたい」とする。

「働き方」にも変化

現場の隊員はどのようにとらえているのか。もともと寒川町消防に勤務していた本署警備第一課第一小隊の寺沢武さんは「働き方がかわった」と話す。

寒川町消防では隊員約50人が救急、救助、消防の3分野を日替わりで兼務していたが、現在は役割を明確にした消防専任部隊に配属されたことで「より充実した市町民サービスが提供できていると実感している」と寺沢さんは話す。また以前は「急な要請があった時には休日に出動することもあった」というが、現在は合わせて300人以上の隊員が両市町をカバーしているため「(休日出勤は)まったくない」という。

両市町では広域化が決定してから3年にわたり、人材交流を行い「心の壁」をなくす工夫をしてきたという。「職員同士の連帯が現場での効率的な対応に直結する。どういう考えでどう行動するのかを知るためにも常に聞きやすい関係を作ることを心掛けている」と寺沢さん。寒川時代に多くの現場を経験したことで身に着けた広い知識や技術は周りからも一目置かれており「現場での瞬時の判断や迅速な対応で感謝されることがある。新人の教育でも活用しており、スキルを伝承することでより消防力を高めあえたら」と語った。

寒川町の工場火災でも活躍したはしご車=提供

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