【にいけい編集部発】記者コラム&今週の主なニュース 8月24日〜8月30日
記者コラム
「言い分と言いなり」
斜めに傾いた石川県内のホテル(読者提供)
今年2月ころ、新潟県上越市の飲食街・仲町に呑みに行った帰り、高田駅前のタクシーセンターの年配の方と話していると、石川県の能登半島地震に上越市本社のタクシー会社所有のタクシーが呼ばれていて、上越市内のタクシー台数が減っているとのこと。
なんでも、地震保険から委託された調査員がタクシーを貸し切って地震の調査をしている というのだ。その会社は上越タクシー最大手。石川県だけではタクシーの台数が足りず、上越市まで要請がきたという。ある意味、社会貢献でもあり、あまり表に出ていない情報といえよう。
いうまでもなく、元旦を襲った能登半島地震は、新潟県上越市での津波や新潟市西区での液状化現象など、新潟県内でも大きな被害があった。
一方で、能登半島の知人から地震保険に関するある話を聞いた。それは、地震保険の調査員の査定内容が全て妥当なわけではなく、被害状況によっては再査定の余地があるというのただ。つまり、査定員が隅々まで被害箇所を見ておらず、見落としがあるということになる。
地震保険は掛け捨てで、一生に一度使うかどうかの損害保険である。ということはほとん どの人が今回の地震で申請が初めてということになり、査定の判断基準も分かるはずもなく、どれくらいの認定額になるかどうかは、査定員から一方的な判断で「言われた通り」ということになる。
倒壊数が多く保障が莫大になると大変なので、調査員のさじ減が入り、抑えられる傾向に なる。本来であれば契約者が対等な立場で交渉の余地があるべきだが、契約者は査定の見方 が判らないため「言われた通り」に従うしかない。
「保険会社は簡易査定でよりスピーディーに支払いができると謳っている。今回の地震は 国の激甚災害に認定されており、お金の出どころは国からだが、一般的には知られていな い。査定内容の開示義務があると聞いているが、保険会社は基本的には開示していない。 現地に来る調査員によって判断基準が曖昧で、査定の強弱も様々だという」(能登半島の知人)。
知人は被災者の生活のため、経済の立て直しのために使命感を持って情報収集に取り組ん でいる。
知人は「自動車保険はプロ同士の話し合いだが、地震保険はプロと素人が話している状態。しっ かりと情報開示をして、双方が共通の認識を持たいないとお客様は常に不利な立場にあり、納得しないでしょう」と話していた。
地震の影響はこんなところにも出ていた。石川県の一刻も早い復旧を願って、筆を置くこ とにする。
(取締役編集主幹 梅川康輝)
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