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【静岡県知事選】出馬表明した2氏の経歴や実績は?注目したいポイントは?論説委員長が解説します

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静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡県知事選」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年4月16日放送)
 

 
(橋本)県選挙管理委員会は臨時の会合を開き、川勝平太知事の辞職に伴う知事選の日程を5月9日告示、26日投開票と決めました。

(山田)いよいよ来月、静岡県知事選ということですね。

(橋本)先週月曜の「3時のドリル」で、静岡新聞ニュースセンター専任部長の市川雄一さんが川勝平太知事の辞職について取り上げていましたが、その後、知事選の日程が正式に決まりました。次の知事の決定に向けてレースが始まったということです。

とはいえ、投票、投開票まであと1カ月半を切っているわけです。本来なら1年後だった選挙が突然早まったので、立候補しようかなと考えていた人たちは、十分な準備期間なしで選挙に臨まなくてはならないという状況になっています。

そのため、わずかな時間で自分の名前を有権者に覚えてもらったり、やりたいことをアピールしたりして、最終的に投票用紙に自分の名前を書いてもらわないといけないということになります。対立候補と戦うだけでなく、時間との戦いになる側面もあります。

(山田)やっぱり川勝さんのこともあって、この知事選は、われわれ静岡県民だけじゃなくて全国的にも注目されそうですよね。

(橋本)リニアの問題があったので注目されていますね。よくネットで見るのは「今度の知事はリニア賛成か反対か」という話題ですが、単純にはどちらかと言えないところもあると思うんです。

大村氏、鈴木氏が立候補表明

(山田)さあ、もう立候補を表明した人がいますね。

(橋本)15日までにお2人が出馬表明されました。最初に表明したのは、川勝知事の1期目に副知事を2年務めた大村慎一さんという方です。

昨年まで総務省の地域力創造審議官を務めていました。静岡市出身で、静岡高から東大経済学部を出て、総務省の前身の自治省に入りました。自治省ということで、自治体に出向することも多いんですね。静岡県で総務部長、副知事を務めた以外にも、岐阜県、北九州市などに出向して地方自治の現場で経験を積んできたということです。総務省で広報室長や公務員部長などを歴任して昨年夏、地域力創造審議官を最後に退職しています。

新型コロナが蔓延したときに、菅義偉首相がワクチン接種を1日100万回接種するという目標を掲げて推し進めたことを覚えている方もいるかもしれません。当初、「無理じゃないか」という話もありましたが、その時に大村さんが地方との調整役を務めていました。

新聞に載っている「首相動静」には、「きょう首相が何時から何時まで何をした」というスケジュールが全部書いてあるんです。その頃、この欄によく大村さんの名前が出ていました。報告を求められていたのか、発破をかけられていたのかわかりませんが、大変だなと思いつつ見ていました。

(山田)菅さんのときに、ワクチン接種で、いろんなところで貢献された方ということですね。

(橋本)もう一人が、今日の静岡新聞1面で出馬を正式表明したことが報じられた、前浜松市長の鈴木康友さんです。

2007年から4期、16年にわたって浜松市長を務め、昨年退任されました。鈴木さんは浜松市生まれで、浜松北高から慶応大の法学部へ進み、卒業後に松下政経塾の1期生になりました。野田佳彦元首相が同期だそうで、すごく親交が深いんです。僕も浜松で取材していた時代に野田さんとの関係をいろいろ聞いたりしました。

塾を卒業した後に会社経営を経て、民主党の衆議院議員に2回当選されてます。その後に市長に転身したということです。

市長時代は、財政改革に邁進されて、10年以上かけて行政区の再編を行いました。浜松に七つあったものを三つにするというようなことで、ご自身も、一番思い出に残っていると話しています。

(山田)われわれも記憶に新しい政策です。

(橋本)区の再編には反対もあったので、長時間かけないとできなかったんです。このほかに、市債、つまり市の借金を任期中に1300億円以上減らしたんですよ。財政改革に非常に熱心で、成果を上げています。

それからデジタル化や、ベンチャー企業の育成といった方面にも思いが深い方だと存じます。

(山田)僕も番組で共演させてもらったことがありますが、運動が好きだと聞きました。

他に出馬の動きは…?

(山田)一応今の段階ではこの2人が立候補を表明してますけども、他にも出てくるんですかね。

(橋本)立憲民主党の渡辺周衆院議員が、立候補に前向きな発言をしていましたが、最終的には出馬しないという決定をしました。立憲民主党の泉健太代表から、「政権交代を見据えて国政に残ってほしい」と慰留されたということです。

川勝知事が辞職表明する直前に、渡辺議員に辞職するという連絡をして「後継指名したんじゃないか」と言われましたが、川勝知事は「連絡したけれど後継指名したわけではない」と否定していますね。泉代表に慰留されたという理由もあったかもしれませんが、もう一つ、支援体制が整わなかったのではないかということも指摘されています。

(山田)ちょっと出そうな雰囲気だったから…。

(橋本)そうですね。渡辺さんが出ると、それこそ、東中西の三国対決みたいな感じになっていたかもしれませんが、そうならなかったということですね。

(山田)他はどうですか。

(橋本)具体的に上がっている話はないんですが、出馬をしたいという動きがあることは、ちょっと聞いたりしています。ただ、最終的に表明に至るかどうかはまだわからず、可能性はあるということですね。

リニアなどで全国的に注目されているので、そういう意味で出馬して、県民に訴えたいという方もいると思います。最終的にどういう構図になるかというのはまだわかりません。

(山田)まだ今のところ、この2人の争いというところで見ていきますと、どういうことになってくるでしょうかね。

(橋本)注目されているリニアについては、今のところ2人とも「課題を解決しながらリニアを推進すべきだ」というような姿勢を示しています。

選挙がこれから進むに従って、細かなところでどういう主張なのかがだんだんわかってくると思うので、その辺りに注目していく必要があるかなと思います。

​ただ、賛成だと言っても、大井川流域の声や、南アルプスの環境をどうするかということがまだ課題として残っています。そうした課題の解決のプロセスをちゃんと踏んでいかないと進まないことなので、どういう姿勢で臨むかが注目されるのではないかと思います。

(山田)静岡市にいる友人たちに「どうかな今回の県知事選」って聞いたら、「鈴木康友さんは浜松市長で有名だったから、なんか強そうだけども、静岡市に住んでいる身からすると浜松に思い入れがあり浜松中心の県政になるのが静岡市民としてはちょっと」と言っていました。なるほどな、と思ったりしたんですけど。

(橋本)地元というものがあるので、政治家として、ご本人もそういう思いがあるかもしれませんが、それよりも周りがそう見るということもあると思います。

ただ一方で、政治家は地元で票が取れても、そうじゃないところでは票が取れない場合があるので、実際に当選して権限を握った場合には、票が取れないところに対して頑張っていろんな施策をして、自分に賛成票を入れてもらうという意識が働くという場合もあります。

(山田)逆の発想ですね。

(橋本)一概に、浜松出身だから浜松のことしかやらない、静岡出身では静岡のことしかやらないというのではないですし、そうなってはいけないと思います。

今回お二人が出馬表明しましたが、地域対決みたいなことになるのも、やっぱりそれはいけないことだなと思います。ただでさえ今は、県議会と川勝氏の間でちょっとギクシャクして政策がなかなか前に進まないという状況がありましたので。

お二方とも、「オール静岡」と言っています。この混乱を収めて、県全体の発展、日本の発展に尽くしていくためにはどうしたら良いかということで、「地域エゴ」のようなことは傍に置いて、全体のことを考える人に、知事になってもらいたいということではないでしょうか。

(山田)そうですよね。

(橋本)そうした地域ごとの振興についても、この人はどういう発言するのかなというのを見ながら、投票の判断材料の一つにすればいいんじゃないかなと思います。

街頭演説や紙面で、両候補の主張に注目!

(山田)お二人とも、周りの支援体制もいろいろあるでしょうね。

(橋本)自民党は、18日までに推薦する候補者を決めたいという話です。静岡の一部の支部ではもう、大村さんを支援すると決めたりしていますが、逆に浜松の方で鈴木さんを、という話もあり、1枚岩でやれるかどうかはまだわかりません。

旧民主党系の立憲民主党と、国民民主党、それからその最大の支援団体である連合静岡、そして県議会で知事与党だったふじのくに県民クラブの4者は、先週末に会合を開いて支援候補について協議しています。「両者から政策を聞いた上で、支援候補を決めましょう」ということで、今ペンディング状態になっています。

鈴木さんは元々民主党の衆院議員でしたから支援するのが自然なようにも思いますが、もう一方の大村さんの意見も聞かないと、決められないということで、そういう手続きを踏むのだと思います。

(山田)なるほど。とはいえ、川勝知事で良くも悪くも全国に知れ渡った知事選ですから、
静岡県に注目が集まるような政策があったりとか、良いニュースとして知られる選挙になっていくといいなと思うんですけども。

(橋本)立候補表明したお2人は、浜松市と総務省でそれぞれ実績があり、ともにその実績をアピールしながら選挙戦を戦っていくことになると思います。

知事選の告示前後に街頭演説を聞く機会があれば、先ほど挙げた点に注目して聞いてみて、だれに投票したらいいのかという判断基準にしてもらうといいんじゃないかなと思います。静岡新聞の紙面上でも、どういう主張をされているかを報じていきますので、ぜひそれも見ながら、次の県政をどう描くかをご自身のこととして考えて、1票に繋げてほしいです。

(山田)ぜひ投票していただきたいと思います。今日の勉強はこれでおしまい!

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