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昔の日本の言葉は違うの?

TBSラジオ

ふらっと こども電話相談室

2024年8月28日放送

TBSラジオで長年親しまれた名物企画「全国こども電話相談室」(1964年~2008年)のコンセプトを受け継いだコーナーです。パンサーの向井慧が「電話のおにいさん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。今回の質問は・・・

Q. 昔の日本の言葉は違うんですか?(東京都 けんたくん 8歳 小学3年生)

(回答した先生)山口謠司さん/大東文化大学名誉教授

向井おにいさん:山口先生は久しぶりの登場ですが、これまでどんな言葉を調べたんですか?

山口先生:方言ですね。いろんな地方の方言がだんだんなくなってきているので。標準語とかカタカナ語がどんどん増えてきて、方言をしゃべる人たちが少なくなってきてるので、昔の言葉って大事なんだよというようなことを調べております。

向井おにいさん:ぼくは愛知県出身なんですけど、愛知も年配の方だと名古屋弁はかなり濃く残っているんですけど、ぼくらの世代で方言がそこまで濃い人っていないかもしれないですね。今日も電話がつながっています。もしもし、けんたくん、こんにちは!

― こんにちは!

向井おにいさん:けんたくんの聞きたいことはなんですか?

― 昔の日本の言葉は違うんですか?

向井おにいさん:どういうときにこの質問が思い浮かんだんですか。

― いつもこうやって話しているときに、昔の日本語はちょっと違うのかなっていうふうに思っていたので。

向井おにいさん:昔っていうのは、どれぐらい昔のことを想像していますか?

― 100年前ぐらい。

山口先生:けんたくん、こんにちは。今日は面白い質問をありがとうございます。けんたくん、100年ぐらい前っていつ頃だと思いますか。おじいちゃんが生きていた頃?

― まだ生きてない頃だと思います。

山口先生:そうね、けんたくんが8歳だから、まだまだおじいちゃんの時代でもありませんね。もっと昔になりますね。けんたくんは100年前の人たちとお話ができると思いますか?

― 思いません。

山口先生:大正解です。けんたくんは、お母さんとお話をするのに不自由は全然ありませんね?

― はい。

山口先生:おばあちゃん、おじいちゃんと話したことはある?

― あります。

山口先生:おじいちゃん、おばあちゃんといっぱいお話をしますか?

― いっぱいします。

山口先生:そうですか。おじいちゃんとおばあちゃんは、わからない言葉を使ってることはある?

― よくあります。

山口先生:そういうことからけんたくんは、昔の言葉は今の日本語とは違うのかなと思ったのかもしれませんね。実は、今の日本語と昔の日本は全く違います。けんたくんはさっき100年前っておっしゃいましたけれども、今から1300年ぐらい前の言葉をぼくが再現してみたいと思います。
うごにゃぱれる みこてぃゃてぃ。
こういう言葉、日本語に聞こえますか?

― 全然聞こえません。

山口先生:全然聞こえませんね。1300年前っていうのはもうずっと昔、奈良時代と呼ばれている時代なんですけれども、その頃の人たちはこういう日本語をしゃべっていたんですね。たぶん、けんたくんが奈良時代にタイムスリップすることがあったとしても、おそらくなにを言ってるのか全くわからないと思います。
もうひとつ、ほかの例を言いたいと思います。「新しい」っていう言葉はよく使いますでしょう?

― 使います。

山口先生:「新しい」っていうのは、すごく新しい言葉なんです。昔はなんて言っていたかといいますと、「あらたし」って言ってました。

― あらたし・・・。

山口先生:日本語って、昔はゆっくりしゃべっていたんです。それがだんだん早くしゃべるようになって・・・、けんたくんは「早くなにか言いなさい」とか言われませんか?

― 言われる。

山口先生:言われるでしょう。早くしゃべるようになると、口の動きが簡単になろうとして、「あたらし」って言ったほうが楽だなって、変わっていったんですね。
それから、けんたくんは「はひふへほ」って言えますね?

― 言えます。

山口先生:「はひふへほ」という音は、発音をしているときに疲れてしまうんです。だから、10年後か20年後か30年後かわかりませんけども、おそらく日本語の中から「はひふへほ」という音はなくなってしまうと思います。

向井おにいさん:へええ。

山口先生:けんたくんのご質問は「昔の日本語は違いましたか?」っていうことなんですけども、未来の日本語も今の言葉とは全く違ってしまうと思います。

― うーん。

山口先生:けんたくんがおじいちゃんになったときに、けんたくんのお孫さん、子孫の方々と話せるかどうか。これって、今はとっても日本語が変わっているときなので、みんなが今の日本語を守りたいという気持ちがなければたぶん変わってしまうんだろうと思います。

向井おにいさん:うーん。

― うーん。

向井おにいさん:ははは(笑)。けんたくん、どうでしょう。わかりましたか?

― わかりました。

向井おにいさん:また質問とか疑問があったらぜひ送ってください。

― はい!

(回答者プロフィール)山口謠司さん。大東文化大学名誉教授で中国の古い文献の研究がご専門。漢字や漢文はもちろん、日本の古い言葉や、フランス語、ラテン語など、いろいろな「ことば」に詳しい先生です。「てんまる 日本語に革命をもたらした句読点 」(PHP新書)、「文豪の悪態 皮肉・怒り・嘆きのスゴイ語彙力」(朝日新聞出版)、「品がいい人は、言葉の選び方がうまい」(三笠書房)など、ことばについての著書多数。

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(TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』)

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