【チェーンのチャーハン行脚】第4回:大阪王将の「五目炒飯」(640円)を食べて思い出す “その人との奇縁”
中華の王将といえば「餃子の王将」と「大阪王将」の二手に分かれるが、私はどちらかと言うと大阪派である。味がどうとかそういうのではなく、単に「身近だった」からだ。
会社のすぐ近くに大阪王将があり、一時期、狂ったように、お持ち帰りの「餃子+チャーハン(金欠の時はライス)」を頼んでいた。なので大阪王将チャーハンは経験済みなのだが……
こんなにも数多くのチャーハンがあったとは……! 数えてみると8種類。基本、私はノーマル(五目)派で、気張ったとしても「海老チャー」止まりなので、キムチとかそういうのは未体験ゾーンだ。
でも、注文したのは、もちろん……
五目炒飯(税込640円)である。今まで『チェーンのチャーハン行脚』で食べてきたチャーハンと違うのは、名前が漢字で「炒飯」であること。そして、少しだけ高めの価格設定。
はたしてどんな炒飯がやってくるのかな……とワクワクしながらも、私は “大阪王将の、とある店員さん” のことを思い出していた。
その人は、私の会社のすぐ近くにある大阪王将で働いていた。私が狂ったようにテイクアウトを注文していた時期、ほぼ毎回対応してくれた。
その人は、ものすごく仕事ができる人だった。たまに「その人」でない人の対応だったこともあるが、スピーディーさは段違いだった。
そして10回、20回……と会社近くの大阪王将に通っていると、いつしか「大阪王将=その人」になっていった。その人に会いに行くような。
──そんなとある日。衝撃的な事件が起きた。
その日は休日。私は電車に乗って、私の住んでいた駅から4つ隣くらいの駅にある小さなデパートに入っている大阪王将へ行ってみた。すると……
“その人” がいたのである。
いつも会社近くの大阪王将で働いている “その人” が、なんと、私の自宅近くのデパート内の大阪王将でもテキパキと働いていたのである。
私の頭の中では「大阪王将=その人」。それが今、本当に現実になってしまった……。他の店舗に行っても “その人” がいるのでは?……とさえ思った。
話はこれで終わらない。
その後、餃子にも飽きて大阪王将に行かなくなった私だったが、とある日、職場でも自宅でもない、まったく別の街の繁華街で “その人” を目撃した。
いつも大阪王将の制服を着ている “その人” がオシャレをしている……! 戦隊モノのヒーローのプライベートを見てしまったかのような気持ちになった。
そして……
とどめとばかりに……
つい2年以内のこと。
なんと、過去の自宅とは全然違う場所に引っ越した私の自宅のすぐ近くで、普段着らしきラフな格好で歩いている “その人” とすれ違ったのである。
ちょっとビックリしすぎて、その瞬間は息が止まった。そう、おそらく「ご近所さん」なのだ。
職場近く、過去の自宅近く、とある繁華街、そして今の自宅近く(ご近所さん)。
こんなにもいろんなところで会ってしまう “知らない人” も珍しい。これを奇縁(きえん)と言わずとしてなんと言おう。
もう私は、この “その人” と結婚した方が良いのでは──なんてことを考えているうちに、
五目炒飯選手、テーブル・イン。
いきなり結論から言おう。
うまい。
かなり、うまい。複雑な絡み合いというか、それぞれが尖っている「多角形な味」とでも言おうか。少しオイリーではあるけれど、スコーンと「うまい!」と言える炒飯だ。
待っている時、絶え間なく「カンカン」と聞こえていたので、かなり炒(チャオ)っていることは音からも明らかだが、実際に食べてみると “ちゃんと作ってる感(=念)” を強烈に感じる。
具は、にんじん、チャーシュー、ネギ、たまご……かなと思う。
スープも醤油系で嬉しい。
でも、チャーハン式ねこまんまは、日高屋の方が合うかなという感じ。
というのも、大阪王将の「五目炒飯」は、味がけっこう濃いのである。対してスープの味は薄めのチューニング。
「濃い」と「薄い」を合わせたらプラマイゼロに思えるけども、「プラスをマイナスしてのゼロ」と「マイナスにプラスを足してのゼロ」ならば、後者の方が「おっ」となる。
チャーハン式ねこまんまに関して言えば、「マイナスにプラスを足してのゼロ」が日高屋、「プラスをマイナスしてのゼロ」が大阪王将となり、日高屋ほうが味に違いが生じて美味しく感じる。
しかし逆に言えば、薄めチューニングの醤油スープは、ちょうど良い「れんげ休め(箸休めのチャーハン版)」となり、炒飯との一騎打ちに集中できる。
ばらけた話をまとめると、大阪王将の「五目炒飯」は、作り手の “腕” や “念” を強く感じるチャーハンであった。
よく「チェーン中華は店舗によって味のバラツキがある」と言うが、まさに店舗によって違いがありそうな炒飯でもある。
私は良店に巡り会えた。この激ウマ炒飯を作ったのは、はたしてどんな人なのだろう。きっと仕事のできる、スゴ腕の料理人であろう。
厨房を覗いて、もしも中華鍋を振ってるのが “その人” だったら……もう私は、プロポーズするしかない気がする。
参考リンク:餃子専門店の心意気 大阪王将
執筆:チャーハン研究家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24
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