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橋本祥平×杉江大志に聞く、中止からの再出発への思い 舞台「デュラララ!!」~円首方足の章~インタビュー

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(左から)杉江大志、橋本祥平

2020年4月の公演予定だった舞台「デュラララ!!」~円首方足の章~が、2021年8月から再出発する。コロナ感染症防止の観点から中止となりそのまま企画がなくなってしまう舞台作品も多い中、公演決定の知らせにファンの間でも大きく盛り上がった。
原作は成田良悟の『デュラララ!!』(電撃文庫刊)で、2010年にアニメ化し大ブームになった作品だ。東京・池袋を舞台に背中合わせの日常と非日常が絶妙なバランスで展開される。

竜ヶ峰帝人を演じる橋本祥平と、紀田正臣を演じる杉江大志。前回のインタビューと同じふたりに、中止の時の心境や前回の稽古場の様子などを語ってもらった。

最終稽古日に「公演中止」の決定、一言では言い表せない悔しさや悲しさ

ーー前回公演が中止になってしまいましたが、中止や再出発について教えてください。

杉江:「公演中止」を伝えるときの、プロデューサーの辻さんの顔をすごくよく覚えています。今は情勢的にいろんなイベントの中止をよく聞くようになりましたが、普通舞台が中止になるという経験はめったにあるものではない。僕も中止を言われたときはポカンとしてしまいましたし、そこから緊急事態宣言が発出され何もできない自粛期間に入ったから、もぬけの殻みたいな感覚でした。辻さんは一生懸命隠していたように思えますが、すごく悲しそうでした。一言では言い表せないような、悔しい、悲しい、辛いなどが入り混じった表情をしていました。

橋本:舞台「デュラララ!!」~円首方足の章~は最初に地方公演の中止が決まり、でもその時点ではまだ東京はやる予定だったので、その光を頼りに稽古を進めていました。最終日に稽古場に行くと偉い方々が集まっていたのを見て、非常にいやな予感はしてたんです。通し稽古をする前に話があるからって言われたところで察しました……。

杉江:僕、その時は「やれることが決まりました!」って可能性もあるなって思ってたよ。

橋本:ポジティブですね~! その中止の報告を受けてから最後の通し稽古をやったんですが、それを鮮明に覚えています。本番がなくなってしまったので今までの稽古の集大成をぶつけたんですが、キャラクターとして演じる反面、中止の悔しさから“自分”が出ていた方もいましたね。全員が悔しい思いをしていたと思いますが、リベンジしようって誓いもみんなで立てたんです。そしてようやくその機会が! この日を待っていました!!

橋本祥平

ーー周囲の反響は?

橋本:ファンの方がたも「待ってました」と言ってくれています。僕らが学生の頃にドンピシャでハマっていた作品でもあり、同世代の役者の方からも観に行くよって。改めて期待してくれているんだと思います。

杉江:待ってました! って感じですね。この作品はまたやるでしょ、みたいな空気感はどこかあったかもしれません。僕も自信がありました。今回の再出発の発表で初めて知ってくれた人もいると思うので、逆に知ってもらえるきっかけが増えたと思えばそれはそれで良いことなんじゃないかなと。

お互いの二面性について「バランサー」と「ハッピー陰キャ」

ーー前回のインタビューでは「帝人や正臣のもつ二面性」というところに触れました。ご自身の二面性(ギャップ)について教えてください。

杉江:自分の二面性って難しいな~!

橋本:大志くんの二面性はあまりなさそうですよね。裏表のないイメージ。

杉江:強いて言うなら呑気そうに見えても、いろいろ考えてるんだよとか(笑)。逆に、考えてるように見えて、行き当たりばったりな時もあるし、どっちも自分なんだろうなってのも思う。基本的には自分のことを優しい人だと思うんですが、突然ブチ切れるときがあったりもする。あっちこっちを行き来してます。

橋本:大志くんは経験も豊富ですごく頼れる先輩なんですが、チャーミングな部分も多く持っていると思います。誰とでも同じ目線で接しているのは実はすごい能力だなと。さっき急に怒り出すところもあるって言ってましたが、それは全部がマイナスではなくそれを言ったことで助かる人間もいるので、僕は大志くんのことを「バランサー」だと思ってますね。
僕自身の二面性について言うなら、表では楽しそうにやってますが実は一人でいるのも好きっていうところかなと思います。自粛期間中にバルーンアートを始めたんですが、一人でコツコツやってる時間がすごく楽しくて。

杉江:僕はその動画たちのファンです(笑)。バルーンアート自体もすごいんだけど、動画に小芝居入れてくるのも良い。小芝居の発想、着眼点がすごくおもしろくて! なんでそれ作ったの!? とか思っちゃう。車や靴とか作ってたよね?

杉江大志

橋本:めちゃくちゃ見てくださってる!

杉江:それがSNSでまわってくるとワクワクする! 前からバルーンアートやってたの?

橋本:いやいや、この舞台が中止になって本格的に自粛期間に入ってからですね。最初は説明書を見ながら作ってて、慣れてきたらだんだんオリジナリティを出していった感じです。基本を学んで、そこから広げてます。

杉江:すごいね!? そっちで食べていけるじゃん!

橋本:ゆくゆくはショーを開けるくらいまで(笑)。でも一度、大会チャンピオンの方とご一緒する機会があったんですが、もうほど遠い! まだお遊びの範囲に過ぎなかったんだなって痛感しました……!

杉江:ストイックかよ~!

一同:(笑)。

杉江:今みたいに一人が好きっていうのがヘイヘイ(橋本のこと)の真ん中にはあるんでしょうが、いろんな人と話して馬鹿やって、そうして人を楽しませるのも好きだと思うんです。どっちもかけ離れているまさに二面性と言える部分ですが、無理しているのではないでしょうし。言うなれば「ハッピー陰キャ」かな! まさかの共存!

橋本:(笑)。逆に君沢ユウキさん(門田京平役)みたいな人が「ハッピー陽キャ」タイプかな!

ーー帝人が池袋に憧れて引っ越してきたように、憧れの街、人を惹きつけるところ、自分がそこに溶け込みたいなという場所は?

橋本:僕は帝人とは逆に、田舎への憧れが強いです。祖父母も家の近くに住んでいるので、田舎というものに触れてこずに育ってきたんです。以前有名なアニメ映画を見た時、子供たちのために山の方で暮らす描写があったんです。だんだん周りの人に溶け込んで小さな村のひと家族になったんですが、ああいう生活に憧れますね。畑で野菜とかを作って自給自足の生活をしてみたい。でも今、都会で不自由なく暮らしてるからそういうことを思うんだろうなとも思います。ないものねだりっていう面もあるのかな。

杉江:僕はあまりひとつの場所へのこだわりはないんですが、『デュラララ!!』でいう池袋のように見方を変えたらすごく魅力的、魔力的だなって思う場所はたくさんあります。そういう一部分にフォーカスしたものが「物語」だと思うんです。なので、その魅力的な一面を切り取る「物語」そのものに惹かれますね。
池袋で言うなら、人の多さに辟易するときもあれば、街と人の歴史の積み重ねに魅力を感じるときもある。僕は田舎から出てきた人間なので、この都会そのものが持つ魔力もわかりますし、そういうものに惹きつけられて人は集まってくるんだろうとも思います。でもたまに田舎に帰りたくなる気持ちはわかりますね。

2回目のビジュアル撮影。気合が入っているグッズにも期待して

ーービジュアル撮影は2回目となると思います。前回の撮影と違った点、こだわりなどはありますか。

杉江:(撮影内容は)全く違ったもんね。前回撮影したものはすでにグッズにもなってますし、まるっと新しく撮り直ししています。いろんな撮り方、趣向が凝らされていて撮影はすごく楽しかったです。今回のビジュアルも素敵ですよね。前回の発表の時、一人ずつキャストが増えていったのもワクワクしたな~。すごく気合入ってる! こんなにビジュアルとかグッズで楽しくなるの、僕は歴代1位くらいかもしれない。

橋本:確かに! スタッフさんの気合もすごく入ってるよね!

ーーシチュエーションや小道具の面で見ごたえがあるということでしょうか。

杉江:そうですね、いろいろあります! 撮影は結構なカット数があったんですが、「次は何が来るかな」ってワクワクしながら臨みましたね。出来上がったものを楽しみにしていてください(笑)。

橋本:帝人を撮るのは2回目です。前回からのたった一年でも自分の変化はあって、高校生役を演じるのがまたひとつ難しくなりました。去年の方が一歳若い分、今よりもピュアな部分はあったのかなとも思います。この一年の経験が作品に良い影響を与えられたらいいなと思うんですが、外見的には高校生からまたひとつ離れてしまったので、そういう点では苦しみましたね。

橋本祥平

ーー共演するキャストについて教えてください。

杉江:やっぱり伊万里くんのビジュアルは最っ高ですね!

橋本:もうピッタリすぎますよね。彼には静雄がいる。『デュラララ!!』の世界に入ってますよね!

杉江:磯貝龍乎さんはサイモンっぽさがさらに増したかもしれない。(当初演じる予定だった)髙木 俊さんはサイモンの独特な不思議感を持っていた方だったよね。どちらのキャストにも良さがある。帝人・正臣・杏里は安定の3人だね。そして臨也は猪野広樹くんになった。

橋本:彼も臨也みたいなミステリアスさを持った人ですが、ちょっと意外な感じでした。

杉江:確かに! キャストが変わったことは残念でもあり、楽しみでもあり。不思議な感覚です。

橋本:張間美香役の南 由樹さんはこれが初舞台! すごいね。

ーー先輩としていろいろアドバイスがありますか?

杉江:それはほかの方がするかな。君沢さんを筆頭にいっぱいお兄さんがいるので、僕らは自分の芝居をしっかり頑張ります。僕らは前回一か月稽古をしているので、変わったキャストの方以外は見慣れてますね。

橋本:公演はやっていないけど、稽古はやったもんね。

杉江:あとは本番やるだけだった。どのくらい内容覚えてるかな?

橋本:いざ稽古がはじまったら思い出すかな?

杉江:セリフいっぱいあったなぁ~。立ち位置とかはいまだにちょっと覚えてる。セットとか出入りのタイミングとか、こんな転換してたなぁとか。

ーーセリフや立ち位置など舞台の内容って公演が終わった後も覚えているものなんでしょうか?

杉江:逆に中止になったからこんなに覚えてるのかもしれない。

橋本:そうかもしれないですね。まだ脳内からデリートしていないのかも。

杉江:だいたい本番をやり切っちゃうと、次に切り替えていかなきゃいけないから忘れると思うんだけど、この作品は中止になった先にこうして公演があると思っていたからずっと頭に残ってる感じかな。うーん、早く稽古がしたい!

杉江大志


紀田正臣を演じるのは楽しい! 大志くんが生き生きしてる

ーー本公演で楽しみなことは?

杉江:地方公演は楽しみだなぁ~! みんなで外に食べに行ったりはできないかもしれないけれど。この一年間、地方に行ったことあった?

橋本:大阪くらいですがありました。回数は少ないですね。

杉江:僕はなかったから、新幹線乗るのもワクワクしちゃうかも!?

橋本:今回は無事に全公演やり遂げたいですよね!

杉江:地方へも行くよ、絶対! なんとかその土地の美味しいものを手に入れて部屋で食べられたらいいな。大阪はたこ焼き、豚まん、串揚げ、愛知はひつまぶしとか。今はテイクアウトができるお店もたくさんあるし!

橋本:でもひつまぶしのテイクアウトってあるのかな?

杉江:そう! 結構それ真剣に考えてる! テイクアウトや出前があったらいいな……。

橋本:あと楽しみなことは、演出が毛利亘宏さんなので、稽古の最初に交流を兼ねてやるシアターゲームみたいなのがあるのかなって。前回は手の甲に10円玉乗せて落とし合うやつやったよね。いつもめっちゃ面白いし、いい汗かくんですよ!

杉江:あとはスパイゲームとかもしたね。何人かで一定時間内に指示された行動を取りなさい、見ている人はそれを見抜くっていう。あとはシンプルに本番直前までみんなで作った舞台『デュラララ!!』の世界を早く届けたい。個人的には紀田正臣をやるのは楽しくて仕方なかったから、本当に早く観てほしい!

橋本:僕も早く紀田くんを観てほしい! って思うくらい、大志くんがすごく生き生きしてて、稽古でもその姿を見れるのがすごく嬉しかったんだよね。こっちも楽しくなる。

杉江:演じやすかったってことかな。正臣は演じていて楽しいです。ギャップもあるし、二面性もあるし、表情もコロコロ変わっていく、感情もあっち行ってこっち行って。楽しい!

ーー『デュラララ!!』という作品の魅力と、ファンの方へのメッセージをお願いします。

杉江:この作品の魅力は一言ではなかなか言い表せません。“非日常”という表面的な面白さみたいなものもありますが、きっと見る人それぞれで世界の見え方が違うっていうところもこの作品の魅力かなって思うんです。
それは作品に出てくる登場人物にとっても同じで、彼らも同じ場所に居るのに一人ひとりが見ている景色、見えている世界が違っていて。だからこそ人間味がある。“非日常”でもあり、どこよりも“リアル”なこの世界をぜひ劇場に観に来てほしいです!

橋本:最初に僕がアニメを見た時にすごいなと思ったのが、伏線回収のタイミングや、見る人を飽きさせないスピーディなストーリー展開です。同じように、舞台を観に来てくださる方にのめりこんでもらえるような作品作りを、また一から始めていきたいと思います。中止から現在までこの一年溜め込んだものを全てぶつけて出し切りたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。

(左から)杉江大志、橋本祥平

取材・文=松本裕美  撮影=荒川 潤

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