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【JOMONトーク Vol.12】好きなことを仕事にしていて、いいねといわれます(三内丸山遺跡センター・佐藤真弓さん)

まるごと青森

【JOMONトーク Vol.12】好きなことを仕事にしていて、いいねといわれます(三内丸山遺跡センター・佐藤真弓さん)

こんにちは! エムアイです。今回は三内丸山遺跡センターに行ってきました。お話をうかがったのは、文化財保護主幹の佐藤真弓さんです。

さんまるミュージアムでは縄文時代の生活のようすが再現されている。

― いきなりおたずねしますが、佐藤さんのお気に入りの出土品は?

「お気に入りの出土品は…展示してないんですよね(笑)」

― そういわれると、ますます気になります。

「クマの牙でつくられたペンダントトップです」

クマの牙でつくられたペンダントトップ

― ほかにもいろんなアクセサリーが発掘されているんですよね?

「そうなんです。縄文人はおしゃれだったと思いますよ。サメの椎骨まで使っていたくらいなので」

三内丸山遺跡からは多彩な装身具が出土している。「縄文人はおしゃれだったと思いますよ」と佐藤さん。

ヒスイ製ペンダント。重くて首に負担がかかりそう。

― すべての出土品を展示できないのは、多すぎるからですか?

「そうです。段ボール箱4万個分もある出土品にたいして、展示しているのは1700点。なので、多く見積もっても…50箱弱かな」

― 残りは隠し持っていると。

「隠しているわけではないですが(笑)、いろんな場所に、温度や湿度にも気をつけながら収蔵しています」

― おもしろいものを掘り当てた経験はありますか?

「ありますよ。またクマなのですが…(笑)」

三内丸山遺跡にちかい三内丸山(6)遺跡で佐藤さんが発掘した、動物形土製品。特別展で展示された。

「最初はうしろ脚が取れている状態でした。次の年にそのうしろ脚が見つかって。全部で3本脚だったんです」

― どうして4本脚ではないのか、不思議ですね。ちなみにそのクマの土製品は、展示されて…

「いません(笑)」

― やっぱり(笑)

「あと、頭のない板状土偶も発掘しました。両手にのるくらいの大きさです」

頭のない板状土偶。「掘っていたらいきなり出てきました」と佐藤さん。

― こういうのを見つけたときって…

「気をつかいますね。傷がつかないように、少しずつ掘っていくんです」

― 大型板状土偶は展示の目玉のひとつですよね。

大型板状土偶

「大きくて、しかも完全なかたちだというのがすごいですね。見つかったときは2つに割れた状態でした。竪穴建物があった場所と、そこから90メートル離れた北盛土から、それぞれ見つかったんです」

― 竪穴建物の跡から見つかったというのは、是川縄文館の合掌土偶と同じですね。やはり特別な土偶だったのでしょうか。

「マツリで使われたものだとは思いますが…どんなふうに特別だったのかは、はっきりとはわからないですね」

― これからの発掘調査でも、思いもよらない形をした、おもしろい土偶が出てくるかもしれませんね。

「出てくる可能性はあると思います。そもそも土偶って、ふつうの遺跡ではまず出ないものなんです。ここはほんとうにまれな遺跡だと思います。出土品が多すぎて、感覚がマヒしてくる(笑)」

― 特別展で、縄文時代の編組製品と現代のビニールの編み物を並べていたのが印象的でした。編み方の技法がずーっと受け継がれてきたことが一目でわかりますね。

縄文時代の編み方の技法が、何千年にもわたって受け継がれている。

「縄文時代には、私たちが使っているモノの原型が多く見られます。とくに釣り針のかたちなんかは現在とほとんど変わらないですね。それから漆塗りの製品。現代でもハレの日に、たとえば引出物に使われたりしますよね。縄文時代にも特別な場面で使われていたと考えられます」

― モノだけではなく、精神面でも現代と通じる部分があるようですね。

「そうですね。たとえば縄文時代後期以降の六ケ所村大石平(1)遺跡からは、子どもの手形や足形が発見されています。我が子にたいする親の思いというのは、現代と同じなのかなと思いますね」

足形付土版と手形付土版。特別展で展示された。

― 子どもの遺体を土器に入れて埋葬した跡も見つかっていますよね。

「はい。土器をお棺に転用したものですね。大人の遺体が掘った穴に埋葬されている一方で、子どもの遺体は土器に入れてから埋められています。その土器の底に穴をあけたり、口のところをわざと壊したりもしているので、何かしらの意図があったようです」

― どんな意図でそういうことをしたのでしょう。

「これもはっきりとはわからないのですが、亡くなった子どもにたいする愛情の表れではないかと想像できます。大人の墓にくらべて子どもの墓は検出数が多いんです。幼いうちに亡くなることが多かったのだと考えられます」

高さ6m、幅18mの壁に5120個もの本物の土器片が散りばめられた、縄文ビッグウォール。縄文時遊館の階段を下っていくにつれて、土器の年代がさかのぼっていく。

― 三内丸山遺跡センターを訪れた人にぜひ見てほしいものはありますか?

「縄文ビッグウォールの向かいの一般収蔵庫にある木柱ですね。遺跡に復元している六本柱を見た方には、ぜひこちらの本物も見てほしいです」

本物の木柱。一般収蔵庫に展示されている。

― 年代はいつごろでしたっけ?

「ざっと4600年くらい前です」

― よく現代まで残っていましたよね。

「上のほうは腐って土壌化していますが、下のほうは地下水に浸かって空気に触れなかったので、残っていました」

― ところで、佐藤さんはどんな仕事をしているんですか?

「普及啓発や、所蔵品の管理などです。より深く理解していただくために、縄文人の生活や文化に触れられる体験の機会を提供しています」

― ふだん意識していることはありますか?

「なるべく本物を使うということですね。現場から採取した粘土を使って、本物の土器や土偶を見本にして、製作体験を行っています。釣り針をつくるときも、本物のシカの角を使ったり」

― 発掘を体験できるイベントも開催していますよね。

「はい。特別史跡での発掘は、なかなかできない貴重な体験だと思います。特別史跡で、なおかつ世界遺産でもある場所は、かなり少ないんです。それを青森県が手にしたのはすばらしいことだと感じます」

発掘体験のようす

― お話を聞いていて、佐藤さんの縄文にたいする思いが伝わってきました。考古学の道に進んでよかったですか?

「よかったですね。よく『好きなことを仕事にしていていいね』と言われます(笑)」

― 仕事が好きで楽しいって最高ですね。佐藤さん、ありがとうございました! またいろいろ教えてください!

by エムアイ

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