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西中洲のリバーサイドビル8階で、無類の鉄板焼コースと夜景に酔う《ハレの日に行きたい福岡のお店》

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なか乃

高層階の飲食店には、路面店にない独特の“魔法”があります。星や空を間近に感じる、浮遊するような非日常のひととき。「鉄板焼 なか乃」もまた、そんな高揚感が漂う一軒です。

店舗より提供

場所は那珂川とキャナルシティ博多を望む春吉のビル8階。閑静な立地とシックな内装は大人びた落ち着きを醸し、ワインを飲む前からその雰囲気に酔いそうです。客席はカウンターと個室があり、記念日から会食まで幅広く使われています。

さて、福岡でも珍しい高層階にある鉄板焼の店ですが、ミシュランの星を持つ「なか乃」は料理でも高い評価を得ています。メニューは3種のコースとアラカルトから選べ、今回はオマール海老が付く一番人気の15400円コースを注文しました。
先付けはサンマのコンフィ、焼き茄子、トマトの土佐酢漬け、カブの盛り合わせ。丁寧かつ繊細にこしらえた、すっきりした後味の一品です。

続く前菜も、刺身、寿司、白和えに、洋風の自家製サーモンや砂ずりのコンフィを添えたもの。鉄板焼のコースに和食寄りの一皿は意外でしたが、どれも素材の味を重んじた上質な仕上がりでした。
「ステーキの前に満腹になるのは惜しいので、コース全体をさっぱりめに組み立てています」と笑顔を向けるのは戸次禎範さん。店の代表であり、フレンチの経験も持つ快活な鉄板焼職人です。

本日のスープの素材はグリーンピースで、サラリとした舌触りと甘みがとても爽やかな一杯。

そしてこのコースだけのお楽しみ、活オマール海老が登場! 「なか乃」の定番の一つで、自然と期待も膨らみます。

その美味しさの秘密を「身を直接焼かないこと」と戸次さんが快く明かします。「甲羅を下にして、横に氷を置き、蓋をして蒸しあげると、旨味を逃さないまま身がふっくらと仕上がるんです」

かくして完成したオマールは、初めて体験する風味絶佳! 直火だと縮んでしまう身はふわっと盛りあがり、噛むとハリのある繊維がシャクッと軽快な音を立て、海老特有のふくよかな香りが口中に充満。食べればヤミツキ確実の、問答無用の美味でした。

その極上の余韻を引き継ぐのが九州産黒毛和牛ヒレ肉のステーキ(写真は2人前120g)。戸次さんはこれにも一気に火を入れず、加熱しては休ませて……を丹念に繰り返していきます。

調理を終えたヒレ肉は、ゼラチンのようにしっとりした弾力を帯びていました。ノドを滑り落ちる瞬間は官能的で、後味も実に上品。「なか乃」という洗練された空間に、これ以上ふさわしいステーキはないでしょう。

締めの食事は複数から選べます。この日は牛肉の旨味が溶けたカレー、あっさり風味のガーリックライス、歯応え極上の新潟へぎそばと奈良の三輪そうめんを用意。「全部頼んでもOKですよ」という嬉しい後押しもあり、四者四様の味わいを存分に堪能することができました。

これはクレームブリュレ&イタリア産ピスタチオのアイスクリーム。濃厚な甘味がたまらない素朴なデザートで、ため息の連続だったコースはこれにて終了です。

個人的に、鉄板焼には「ステーキが主役」という重厚なイメージがありました。けれども「なか乃」のコースは軽やかで、どの料理にも見せ場があるのが新鮮でした。それを支えるのは(オマールの調理に見られるような)客を喜ばせることに尽力を惜しまない戸次さんのエンターテイナー精神。食材への慈しみや、既存のスタイルに縛られない発想が生む料理は、今後も“鉄板焼の新たな愉しみ”を広げてくれそうです。

《鉄板焼 なか乃》
福岡市中央区春吉2-4-11リヴィエールシャン8F
092-739-5333

※掲載しているメニューや価格は取材時のものです。感染再拡大防止対策期間により時短営業や休業してることがありますので、訪問する際にはお店のSNSや電話等でご確認ください。

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