“KING OF LIVE” ことRCサクセション!本当に貴重な胸熱ライブ映像が40年の時を経て蘇る
“KING OF LIVE” と称されたRCサクセションの軌跡
tvk(テレビ神奈川)と歌謡ポップスチャンネルがタッグを組み “KING OF LIVE” と称されたRCサクセションの軌跡とも言える貴重な映像を厳選。1980年代のロックフリークには馴染み深い音楽番組『ファイティング80's』や『Live TOMATO』で放送されたステージを編集し、『tvk ライブ帝国Revival RCサクセション 80’s』として、6月22日に放送される。
オープニングは、ライブアルバムの金字塔、そしてRCサクセションがブレイクするきっかけとなった『RHAPSODY』のA面1曲目にも収録されている「よォーこそ」だ。このステージは、『RHAPSODY』リリース半年前の1980年3月20日に日本電子工学院ホールで収録されたもの。当時バンドに参加していたギタリスト、小川銀次の貴重な映像が観ることができる。彼のフュージョン的なプレイも相まって、唯一無二のサウンドを展開。今まで日本のロックシーンには存在しなかったスタイルで新たな熱狂を生み出した。ブレイク前のRCサクセションの初々しさを垣間見られる貴重な映像だ。
そして、興味深いのが、これに続くその半年後、1980年10月20日収録の「よォーこそ」〜「雨あがりの夜空に」なのだが、清志郎をはじめ、メンバーは自信に満ち溢れている。ロックスター然としているのだ。そして観客の熱気が全く違う。前回は椅子ありのフロアで、パラパラと拍手をしているだけだったのが、半年経ったステージでは清志郎が登場するや否や、オールスタンディングの観客はヒートアップし、手を振り上げ、嬌声が響き渡る。“KING OF LIVE” への階段を駆け上る序章がリアルに記録されている。
ちなみに『RHAPSODY』のライブレコーディングが東京・久保講堂で行われたのが1980年4月5日。アルバムリリースはその2ヶ月後の6月5日となる。そしてその1年半後、翌1981年のクリスマスイブには武道館公演を成功させている。久保講堂のライブは当日券も余っていたというが、武道館の前売りは即完だった。この急激な変化の中で、バンドはどのような変貌を見せているのか。その姿がドキュメントとしても楽しめるのが、今回の放送だ。
「スローバラード」では、清志郎が “愛しあってるかい” を連呼
さらに、当時、1週間後に発売を控えた最新シングル曲として披露された「トランジスタ・ラジオ」を歌い終えた清志郎は、後に彼のMCの代名詞とも言える “愛しあってるかい” を連呼。そして1970年代のRCサクセションの代表曲「スローバラード」へと続く。
アコースティック編成から仲井戸 ”CHABO” 麗市、新井田耕造、Gee2wo(柴田義也)が加入して、グラマラスなロックバンドへ変貌した当時のRCサクセションは、オーティス・レディングを彷彿とさせる清志郎のソウルフルな歌声にハードロックの要素も加味。それまでにないロックバンドのスタイルを確立させていく。このように時代を俯瞰した上でも貴重なシーンがここに記録されているのだ。
音の変化がライブにも如実に表れている1982年のライブ
中盤、「ガ・ガ・ガ・ガ・ガ」が演奏され、ここでバンドサウンドの大きな変化を感じ取ることができる。同曲は1981年にリリースされたアルバム『BLUE』に収録されている。本作のレコーディング当時、キーボーディストのGee2woが、英国パンク、ニューウェイヴの名門レーベル、スティッフやラフ・トレードの音に傾倒しており、同レーベルが倉庫でレコーディングしていたようにRCサクセションもリハーサルスタジオに卓を持ち込み一発録りに近い形でレコーディングしたという。
明らかに前作のアルバム『PLEASE』とは違う独特なエコー処理を施した作品となり、これまでのソウルミュージック的な解釈にエッジを効かせた時代に即した音作りになっているのだが、こういった作品の変化がライブにも如実に表れているのが興味深い。同様に、1982年秋に収録されたという「エリーゼのために」「つ・き・あ・い・た・い」(ともにアルバム『BEAT POPS』収録)も音がどこか硬質で、『RHAPSODY』の頃から考えると、この2年でのバンドサウンドに大きな変化があったことが窺い知れる。
“歌いたいことを歌う” という清志郎のアティテュード
後半はロックバンドとして熟成した1987年、1988年の『Live TOMATO』からのステージが楽しめる。アルバム『MARVY』に収録されている、CHABOの歌う極太ブルースナンバー「GIBSON(CHABO'S BLUES)」では清志郎が鍵盤を叩きながら踊るというレアな場面も。続く「MIDNIGHT BLUE」では、危機感を促すような「♪ねらわれてるぜ 油断するな油断するな」と聴き手を煽りながらも、ロックバンドのダイナミズムを体現。この頃のRCサクセションは尖りまくっているのだが、清志郎のソウルフィーリングと、バンドが積み重ねたキャリアが物語る懐の深さが共存していた。
そして、珠玉のカバーアルバム『COVERS』からの「ラヴ・ミー・テンダー」へ。収録日は1988年5月23日。そう、『COVERS』の発売中止が決定する直前のRCサクセションであり、ザ・タイマーズ結成直前の清志郎である。バンドの落ち着きを払った印象と、清志郎の熱を秘めた重厚な歌い方のコントラストが興味深い。この時、バンドの状態は決して良くはなかったと聞く。そんな中で “歌いたいことを歌う” という清志郎のアティテュードが静かな炎として灯されていた。
RCサクセションのすべてが凝縮
そしてラストは、同じく1988年の映像。RCサクセション、清志郎とは縁が深い金子マリのコーラスも聴きどころの「ドカドカうるさいR&Rバンド」だ。ここで見せる “KING OF LIVE” としての圧倒的な存在感、ロックンロールをエンタテインメントに昇華させたRCサクセションの真髄を感じる。
久保講堂から武道館へと登り詰め、アルバムごとの変化を厭わず、革新的な音作りを追求してきた1980年代のRCサクセション。ひとつひとつのライブには、こういった背景がしっかりと描かれている。そしてバンドのグルーヴは常に強固で、清志郎の圧倒的な存在感は変わらない。今回の放送には1980年代のRCサクセションのすべてが凝縮されている。
Information
tvk ライブ帝国Revival RCサクセション 80’s
▶︎ 放送局:歌謡ポップスチャンネル
▶︎ 放送日時:2025年6月22日(日)よる9時〜
▶︎ オンエア楽曲
♪ よォーこそ
♪ 雨あがりの夜空に
♪ トランジスタ・ラジオ
♪ スローバラード
♪ ガ・ガ・ガ・ガ・ガ
♪ ステップ!
♪ ダーリン・ミシン
♪ キモちE
♪ エリーゼのために
♪ つ・き・あ・い・た・い
♪ 君が僕を知ってる
♪ GIBSON(CHABO’S BLUES)
♪ MIDNIGHT BLUE
♪ ラヴ・ミー・テンダー
♪ ドカドカうるさいR&Rバンド