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魚にも「右利き・左利き」があった 人間同様に幼い頃に決まることが判明

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サカナにも「利き」がある?(提供:PhotoAC)

水中に暮らす魚には手も足もありませんが、実はヒトと同じように「右利き」・「左利き」という概念が存在しているということをご存知でしょうか。

とある「注目の魚」が展示

岐阜県にある世界最大級の淡水魚水族館「アクア・トトぎふ」で、いま注目のとある魚の繁殖に成功し、その展示が話題となっています。

その魚とは「Perissodus microlepis」、現時点で和名はないですが、研究上「鱗食魚」と呼ばれています。その名の通り「他の魚の鱗を食べる」性質があり、他の魚の後方から襲いかかって鱗を剥ぎ取って捕食します。

鱗食魚(提供:世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ)

鱗食魚は、閉鎖的な水域の中で様々な種の分化が起こってきたことから「進化の実験場」とも呼ばれるアフリカのタンガニーカ湖に生息する「カワスズメ」という魚の一種です。日本にも外来魚として定着しつつある「ティラピア」とも近縁となっています。   

魚にも「右利き・左利き」がある

この鱗食魚が注目されているのは、とある「実験」が行われたから。その実験について解説する前に、鱗食魚がなぜその実験の対象になったかについて簡単に説明します。

この鱗食魚には、我々ヒトと同様の「とある行動上の特徴」が観察されています。それは左右どちらかの「利き」を持っているというもの。

鱗食魚が展示されている水槽(提供:世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ)

他魚の鱗を捕食するために襲いかかるとき、ターゲットに対して右側から襲うものと左側から襲う個体がいるのだそうです。口の形態も明確に左右非対称となっているほか、捕食時の体の動きも個体によって得意な方向があり、これが「右利き・左利き」という形であらわれるといいます。

このように、形態と行動に顕著な左右の偏りがあるため、この鱗食魚を研究することで、神経の制御と「利き」がどのようにリンクしているのかを知ることができるのではないか、と期待されているのです。

魚の「利き」はいつ決まるのか

今回、この魚で行われた実験は「『利き』がいつ体得されるのかについて調べる」というもの。富山大学と名古屋大学、アクア・トトぎふの合同研究チームによって行われたものです。

実験ではまず、稚魚をランダムに選び人工餌で育てます。そして特定の段階(生後4ヶ月、8ヶ月)の若魚、または成魚の段階で初めて獲物である他の魚と対峙させます。そのまましばらく飼育し、利きが行動にどう現れるかを観測していきます。

実験に関する展示(提供:世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ)

鱗食魚は生まれつき、口の向きが左右どちらかに多少傾いています。しかし、生まれてすぐの稚魚にはまだ「利き」は発現していません。生後4ヶ月、8ヶ月の若魚では、捕食行動を行ううちに自分が捕食しやすい方向を把握し「利き」が発現しましたが、成魚では発現しませんでした。

また、若魚は捕食経験を重ねると、水槽に入れてから襲撃を始めるまでの時間が5分の1ほどになり、成功率も上がったのですが、成魚は時間の短縮も捕食成功率の向上も見られなかったといいます。

この実験から「利きの獲得には幼いころの経験が欠かせない」ことが推測されます。研究者は今後も研究を続け「利きの獲得と脳の発達がどのように関係しているのかを解明していきたい」としています。

(参考:富山大学・東海大学研究機構・名古屋大学・世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふプレスリリース 2022.1.14)

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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