気軽に手軽に、釣れる魚を釣って楽しむ! 「チョイ投げ五目」釣りのススメ
釣りにはマグロやGTといった大物をねらうビッグゲームあり、道具や仕掛を突き詰めた専門性の高い釣りあり、それぞれに各人各様(かくじんかくよう)のこだわりがありますよね。でもときにはターゲットも釣り場も限定せず、そのとき釣れる魚を釣って遊ぶのも楽しいもの。今回はそんな気軽な釣りとして、私の好きなチョイ投げ五目を紹介します。
チョイ投げってどんな釣り?
「チョイ投げ」というのは読んで字のごとく、チョイと軽くキャストして近距離のポイントを攻めていく釣り。本格的な投げ釣りでは50mから100m以上の遠投が普通ですが、チョイ投げでは足元からせいぜい30m沖までが対象になります。
その手軽さゆえビギナーや家族連れの釣りと思われがちですが、実はベテランアングラーにも愛好者が多く、それぞれのレベルで無理なく遊べるのが最大の魅力。
道具立てもライトなので、たとえば旅行の途中で、空いた時間を利用して少しだけ釣りを楽しむなんてことも可能。条件がハマれば思わぬ大漁となることもあり、決して侮れない釣りなのです。
条件がハマれば大漁も。老若男女を問わず無理なく遊べるのが最大の魅力
釣り場によって変わる対象魚
釣り場は港の防波堤や海釣り公園をはじめ、サーフや小磯などいろいろですが、共通するのは交通アクセスがよく、足場も比較的フラットで釣りやすい場所ということ。駐車場やトイレが併設されていればなおよいですね。
釣り場は波静かなサーフや港の防波堤など。身近な場所で楽しめる
もちろん、より多くの釣果や大型魚を求めるなら、上記とは逆の人が入りにくい釣り場も候補になりますが、1日を楽しく過ごすため、あくまでも安全第一を基本に釣り場を選ぶことをおすすめします。
釣れる魚は釣り場や季節によってさまざま。砂地が広がるサーフなら、シロギスを筆頭にハゼ、メゴチ、コトヒキ、セイゴなどが釣れますし、捨て石や根が点在する港湾部や小磯では、カサゴ、カワハギ、クロダイ、メジナといった魚が顔を見せてくれます。
ターゲットは多彩。シロギスをはじめ、メゴチ、ハゼ、セイゴ、カサゴなど場所によっていろいろな魚が釣れてくる
ときにはベラやフグ、ヒイラギなどの猛攻に遭うこともありますが、そんなゲストも含めての五目釣り。丸ごと楽しんでしまいましょう。
ただし、なかにはヒレやエラに鋭いトゲを持っている魚や、毒のある魚もいますので、見慣れない魚が釣れたら必ずフィッシュグリップ(魚つかみ、魚バサミ)でつかむようにしてくださいね。
フグやベラなどゲストも多彩。毒のある魚も釣れるので、見慣れない魚はフィッシュグリップでつかむようにする
ねらう場所と条件、足場や潮流の話
基本的にポイントはどこでもOKですが、広いサーフや防波堤で釣り座を決める際は、水深や地形に変化のある場所を探すとよいでしょう。
そんなことを言われてもわからない? たしかにそうですよね。参考までに私の場合、最初は足下から遠目までいろいろ投点を変えながら探るようにしています。また投入した仕掛は投げっぱなしにせず、時々リールを巻いて新たな場所にエサを動かすようにしています。
そのなかで急に水深が変わる地点や、巻きが重くなるところ見つけたら、重点的に探ってみるという感じ。水深のある防波堤や港湾部では、足下もしっかりねらいます。魚の回遊ルートや着き場を探し当てることができれば、もう釣れたも同然です。
釣れる場所を探すときは、竿先の動きを見ながら少しずつ手前に引いてくる
防波堤の先端は好ポイントだが潮流も速いため、オモリが流されてしまうようなときは避けるほうが無難
タックルは専用竿のほかルアーロッドの流用も可
タックルはチョイ投げ専用ロッドのほか、エギング用やシーバス用などのルアーロッドを流用することも可能です。投げる距離にもよりますが、穂先が柔らかで5~10号のオモリ(ルアーウェイトで言うと20~40g)に適合するロッドなら幅広く使えるでしょう。
ちなみに長さは7ftクラスが無難。理由はそれより短いと足下の根や岩をかわしにくく、逆に長いと取り回しに苦労することがあるからです。
私は7ftクラスのエギングロッドや船竿を使用。竿を立てかけておく三脚もあると便利だ
リールは2500番~3000番のスピニングリールにPE1号~1.5号を巻き、その先にリーダーとして2号~3号のナイロンラインを1mほど結んでいます。リーダーを結ぶのが面倒ならナイロンの2~3号をフルに巻き込んでおくのもアリです。
仕掛は市販のチョイ投げ仕掛
こんなタックルでラインまたはリーダーにテンビンを結び、オモリと市販のチョイ投げ仕掛をセットすれば準備完了。ハリもオモリもセットになったオールインワンの商品もありますので、最初はそこから始めてみるのもよいでしょう。
いずれの場合も根掛かりやフグの歯によるロストに備え、予備は十分に持参してくださいね。
仕掛は市販のものでOK。仕掛単体のほか、テンビンとオモリもセットになったオールインワンタイプも人気
テンビンはアームの長さが10cm以内のもの。オモリは5号~6号を基本に、重くても10号までに抑えています。逆に言えば、そのくらいのオモリで釣りになる場所がチョイ投げには最適ということです。
テンビンはアームの長さが10cm以内のものが使いやすい。オモリとテンビンが一体になったものは手間いらず、セパレートタイプは条件によってオモリを変えられるのが利点
仕掛はキス用、ハゼ用、チョイ投げ用など各種市販。7号前後の2本バリ仕様で全長が80cm以下のものが私のおすすめ
なお、エサは青イソメ、ジャリメ(赤イソメ)などのイソメ類が万能です。垂らしは2~3cm。長くするほどアタリは出やすくなりますが、ハリ掛かりはしにくくなるので、その場の状況で調整してください。
エサは青イソメ、ジャリメ(赤イソメ)などのイソメ類が万能
最新釣行はキスを筆頭に五目をゲット
私の最新の釣行はキスをメインにした五目ねらいでしたが、雨あとの濁りもあってアタリは少なめ。エサの垂らしを短くすると気付いてもらえず、かといって1匹掛けにするとアタリは出るものの、ハリの位置までは吸い込んでくれないという状況でした。
そんななかで半日粘って結果はキス5尾、ヘダイ1尾、ほかにはフグ、メゴチ、メジナが少々という釣果。貧果ながらキスは最大で20cm、ヘダイは25cmもあり、夕飯のおかずには十分でした。
今年6月の釣果はキスをはじめとした五目。数は少なかったが良型ぞろいで楽しめた
大漁を目指さずとも、かんたんな道具を一式持って行くだけで釣りの楽しさを満喫できるチョイ投げ五目。みなさんもぜひ、地元で、あるいは旅行先で気軽にトライしてみてください。
レポーター
プロフィール:高橋 大河
1960年東京都出身。釣り媒体の編集・ライティングを経て現在はフリーランスで活動するライター。得意な釣りは、淡水・海水のルアーゲームをはじめとした身近なライトゲーム全般。間口が広く奥の深い釣りがとくに好き。「釣りは釣れなくても楽しい」がモットー。