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“いいこと”なんて、書かなくたっていい。ライター古賀史健さんが、書くことが苦手な人に伝えたいこと。〈ほぼ日の學校〉

ほぼ日

メール、SNS、手書きのメモ……、私たちは常になにかを「書いて」暮らしています。「今日はまったくなにも書かなかった」という日の方が珍しいかもしれません。

しかし、「書く」ことに苦手意識を持っている人も少なくないのではないでしょうか。「何を書けばいいのかわからない」「書きたいことはあるのに、なかなか筆が進まない……」、きっと多くの方がそんな経験をしたことがあるはず。

「書くことは楽しく、こんなにも自由なのだと感じてほしい」と語るのは、ライターの古賀史健さんです。古賀さんは世界で600万部を売り上げ、ベストセラーになった『嫌われる勇気』や、インタビューやライティングのノウハウを詰め込んだ『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』の著者であり、日本を代表するライターの一人。

そんな古賀さんに、書くことへの苦手意識を払拭し、楽しむための方法を語っていただきました。(動画サービス「ほぼ日の學校」での古賀史健さんの授業「だれでもが「なにかを書く」時代に、なにをどう書くか。」より)

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多くの人が抱く、書くことに対する苦手意識の根底には、小学校の国語教育の影響があると古賀さんは言います。

◆古賀さん「小学校のころ、作文や読書感想文などを書いたと思います。そのとき先生から『行頭は1マス空ける』といった原稿用紙の使い方は習ったと思いますが、それ以外のことについてはほとんど教えてもらっていない人が大半なのではないでしょうか。そして、書いたものに対する評価基準は、“いいこと”が書いてあるかどうか。『友達と喧嘩をしてしまったので、謝って仲直りしました。これからは喧嘩をしないようにします』といった“いいこと”を書けば、先生は花丸をくれるはずです。つまり、小学校の作文の授業は、『書くこと』の指導ではなく、道徳教育なんです。」

そうした教育を受けた私たちは、いつの間にか「なにかを書くときは、倫理的に正しいことを書かなければならない」という考えを持つようになり、本当の気持ちを自由に書くことに対する恐怖心を抱くようになったのではないか、と古賀さん。書くことを楽しむためには、まず「他人の目を気にしながら文章に向かう癖」を矯正しなければならないと言います。

自分らしく、自由に文章を書くための第一歩として古賀さんが提案するのが「定型文から書き出さないこと」です。

◆古賀さん「ビジネスメールであれば、冒頭に『平素よりお世話になっております。株式会社〇〇の、〇〇です』といった定型文を入れますよね。手紙でも、季節の挨拶が入ります。メールや手紙を1通書くのにも時間がかかってしまう人には、定型文から書くことをやめてもらいたいんです。なぜかと言うと、この定型文は『自分』を消してしまう言葉だから。誰もが書くこの文章に、『私』はいません。私の気持ちを一度押し殺すこういった文章から書いてしまうと、そのあともなかなか『私』を出せなくなってしまい、筆が進まなくなってしまうんです。だから、まずは本題から書き、書き終わったのちに定型文を付け足すようにするといいのではないかと思います。」

「書くことへの苦手意識」に対する処方箋は、これだけではありません。古賀さんがおすすめするもう一つの方法は「普段から使っている一人称を使うこと」です。

◆古賀さん「僕の場合、日常的に使う一人称は『僕』です。たまに『俺』と言うことはありますが、『私』と言うことはありません。であれば、文章で使う一人称も『僕』の方がいいんです。これは特に男性に起こりがちな問題なのですが、普段は『僕』や『俺』と言っているのに、何かを書こうとするとき、一人称を『私』にしてしまい、途端に堅苦しい文章になってしまう。普段の自分ではない『私』を演じながら書くことになるからです。だから、普段の一人称のまま書き進め、もしそれが送り先や内容にそぐわない場合は、書き終わったあとに『私』に変換することをおすすめします。」

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古賀史健さんの授業「だれでもが「なにかを書く」時代に、なにをどう書くか。」では、古賀さんが考えるライターという職業の本質や、「ライター的目線」を持って“取材”をすることの有用性、書くことに対する悩みの解決法などが語られています。

すべての人にとって身近な「書く」という行為。それを楽しめるようになれば、少しだけかもしれませんが、きっと日常は豊かになるはず。古賀さんの授業を通して、「書く」を楽しむためのきっかけに触れてみてはいかがでしょう。

全編は、「ほぼ日の學校」の動画でご覧いただけます。

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