【川崎市中原区】等々力緑地 再編整備 計画を見直し 工事費等高騰、市民要望受け
川崎市と川崎とどろきパーク(株)(KTP)は8月29日、等々力緑地再編整備事業の計画見直し案を発表した。29日、30日にU等々力で説明会を開き、工事費等の高騰、市民要望を踏まえ、これまで計画していた立体駐車場2カ所を平面駐車場に変更するなどの計画見直し方針について市民に説明。今後、設計や環境評価などを踏まえ、詳細が決まる見込みだ。
等々力緑地は、競技場をはじめとした大型スポーツ施設、豊かな緑と水を融合する、川崎市を代表する総合公園。一方で、施設の老朽化や防災対策、社会環境の変化への対応等が課題となっていた。
これまでに示された再編整備計画では、現在の陸上競技場を球技専用スタジアムにし、新たに陸上競技場を整備。テニスコートを移設し12面に増設。市民ミュージアム跡地に、新とどろきアリーナを新設し、スポーツセンターやプールを併設。雨水や公園外からの溢水を集水する機能と水と親しめる「レインガーデン」や多摩川との連絡橋を新設。既存駐車場に加えて立体駐車場を設け、カフェなどが入る18棟の自由提案施設も設けるなどが挙げられた。総事業費は、当初の約633億円から資材や工事費等の高騰により、1232億円の増額になる見込みだった。
今回の計画見直しでは、立体駐車場2カ所を平面駐車場に変更し、自由提案施設を18棟から10棟に変更。北側の多摩川連絡橋の整備中止、レインガーデンの設置を取りやめ、当初から計画していた「みんなのはらっぱ」を拡充し、現在のアリーナの場所に「こもれびの森」を新設するなど、広場やみどりの環境を見直し、釣池の管理棟の移動などが示された。これらの変更について、市の担当者は「工事費等の高騰、市民意見を反映した結果」だと話し、「まだ設計、環境アセスの前だが、約40億円削減できる方向」と工事費についても言及した。
2日間行われた住民説明会には、延べ300人が参加。市やKTPの担当者の計画についての説明に耳を傾けた。
幸区から訪れた男性は「市民のことを考えたよりよい施設になりそう。工事費があがってしまうのは致し方ないが、税金なのでしっかり計画してほしい」と話した。
また市民団体によるアスベスト(石綿)や土壌汚染を環境評価書に盛り込むことへの要望については、市の担当者は「法令に基づいて対処していく」と話した。
今年10月に市民ミュージアムの解体工事着手から順次着工し、29年度末に再編整備の完成を予定している。