量子コンピューターとICTについて学んでいこう!【眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話】
⑦量子コンピューター——超高速で演算処理ができるコンピューター
「量子コンピューター」は、量子力学的原理で超高速演算処理ができる次世代型のコンピューターです。これまでコンピューターの性能を引き上げてきたのは、半導体技術の進歩でした。半導体の回路を小型化し、回路の集積度をいかに増やすかが中心的課題で、開発メーカーはチップ上の論理ゲート数を増やすことで、高速化、高機能化、大容量化、省電力化、低価格化を図ろうとしてきました。
しかし、こうした集積率の向上にはいずれ物理的限界がきます。またアルゴリズムの進化という面も、性能向上には大きく貢献してきました。「ディープラーニング+GPU(画像処理装置)」などの機械学習の登場でコンピューター性能は飛躍的に高まったからです。ただし、コンピューターの根本的な動作原理は変わることはありませんでした。
現在のコンピューターは電圧の高低で「0」と「1」による 2 ビットを表わし、ビットの演算処理で実行されています。これを量子の働きを利用してもっと速く計算するのが、量子コンピューターであり、各国で研究開発が進められているのです。
半導体技術の進歩→半導体回路の小型化、回路の集積度を増やす
次世代コンピューター開発=量子コンピューター
<処理能力は従来のコンピューターの約1億倍>
世界各国では、コンピューターの動作原理である、ビットの働き方に変革を加える方法の研究開発が進められています
⑧ICT(情報通信技術)——ネットを始めとするITの活用方法
ICTは「Information and Communication Technology」の略で、日本語では「情報通信技術」と訳されます。
つまり、インターネットでの情報共有を実現するための技術の総称で、メールやチャット、SNSといったコミュニケーションツールに始まり、ECサイトいった Web サービスも ICTに含まれます。
ITは「Information Technology」の略で、日本語ではただの「情報技術」と訳され、ICTも同義語のような扱いを受けますが、ITは「情報技術そのもの」、ICT は「情報技術の使い方」という点が異なります。つまり、ITはパソコンやスマホ、アプリやインターネットなど情報通信のために開発された技術であり、ICTはメールや通販サイトなど ITの活用方法を指しています。ICTは、新たな商品やサービスの創造につながる技術であり、ひとつの ICT 商品・サービスから派生的に次々と新たな商品やサービスが生まれるため、市場の活性化にも効果的だと言えます。また、ビジネスだけでなく教育や医療、防災などの分野でも活用が大きく広がっているのです。
【IT(情報技術)】
→情報技術そのもの
情報通信のために開発された技術。
【ICT(情報通信技術)】
→情報技術の使い方
新たな商品やサービスの創造につながる技術。
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔