ターボファン・エンジンの仕組み|ノーズ・カウル(空気取り入れ口)の隠れた役割と着氷対策
巨大エンジンの設計思想 空気を操るターボファンの秘密
ターボファン・エンジンをのぞいてみると
空気取り入れ口から見えるファン
ここでは、ターボファン・エンジンの仕組みについて調べてみましょう。
まずはエンジンの入り口。エンジンを前から見ると、ビア樽(たる)のような格好をしたノーズ・カウルと呼ばれる空気取り入れ口があります。
ノーズ・カウルをよく見ると、狭い入り口に比べて、中は少し広くなっているのがわかります。その理由は、空気が狭いところから広いところへ流れる場合、速度が小さくなるという性質があるためです。前述した、ホースで水をまく時の逆で、動圧を静圧に代えることができるからです。入り口から早くも圧縮が始まっているといえます。
またノーズ・カウルには、飛行機の速度や姿勢が大きく変化しても、効率よくエンジンに空気が流れ込むようにする役割もあり、何気ない形をしていても多くの技術が隠されています。
ところで、ノーズ・カウルの回りに氷が付着して、その氷が剥はがれてエンジンの中に入ってしまうと、高速で回転しているファンに重大なダメージを与えることがあります(これをFOD=フォーリン・オブジェクト・ダメージといいます)。
そのため雲の中を飛行する時は、カウルの回りを熱い空気や電気で暖め、着氷しないようにする装置があります。ターボファンの唯一の短所は、このように氷や鳥など吸い込んでしまう、大きな空気取り入れ口です。
ノーズ・カウルの奥にはファンが見えますが、図のCF6エンジンですと、その大きさは人が立っても余裕の直径約2.4mメートルです。そして時代とともにファンの材質や強度が向上し、ファンはより大きくなる傾向にあり、GE90エンジンでは3.5メートルもあります。
空気取り入れ口の役割
狭いところから広いところに入ると流速は遅く、気圧は高くなります。ノーズ・カウル内で圧縮が始まっているといえます。
飛行速度はゼロからマッハ0.8以上まで大きく変化します。ノーズ・カウルの隠れた働きでエンジン内部への空気流速度をマッハ0.5程度に維持することができます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治