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「障害がある孫には会いたくない」7年越しの帰省、パニックを起こした息子に祖父母は――発達ナビユーザー体験談

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「障害がある孫には会いたくない」7年越しの帰省、パニックを起こした息子に祖父母は――発達ナビユーザー体験談

監修:三木崇弘

フリーランス児童精神科医/スクールカウンセラー

こだわりが強く、心配性な長男

長男は現在小学2年生。年長のときに自閉スペクトラム症やDCD(発達性協調運動症)などの診断を受けました。

性格は特性も関係しているのか、こだわりが強く融通が利きにくく、また慎重で真面目で過剰なぐらい心配性で、不安感も強く怖がりです。そして、独り言が多く過剰に喋る所があります。もともと優しく世話焼きな性分なので、過剰なぐらい世話を焼いたり、小言なども多い長男。学校や学童では次男の世話を焼き過ぎるぐらい焼いては、次男に「うるさい!」などと言われているようです(苦笑)。

私と実母、実父との関係

私と実母(子どもたちにとっての祖母)の関係はあまり良いとは言えません。

私自身バツイチなのですが、離婚の際には世間体を気にして大反対、今の夫(夫もバツイチです)のことも最初から受け入れてくれず、その後生まれたわが子たちに関しても「孫だとは一切思わないし会いたくもない!」と言い張っていると実父から聞いていました。

母は障害への偏見も強く、元々好き嫌いをハッキリ態度に出し、一度相手のことを嫌い!となるとそれ以降は一切受け入れないので、そもそも「会いたくない」と言っているのに、障害のある長男を受け入れてもらえるかは心配の種でした。

実家が遠いこともあり、頻繁には会わないのですが、対照的に父は「会ったことがない孫であっても孫には変わらないから」と毎月仕送りをしてくれています。御礼の電話の度に子どもたちと楽しそうに話す様子を見て「父はやっぱり孫に会いたいのだろうな…」と私も夫も申し訳ない気持ちになっていました。

家族旅行で実家のある県へ。そこで両親に会い…

そんなある日、家族旅行で実家のある県へ行く機会がありました。

仕送りしてくれている父への感謝を会って伝えたい。せっかく近くまで行くのだから、両親に孫を会わせたいと考えました。実家で会うよりも外で会う方が良いだろうと、宿泊しているホテル近くの駅で待ち合わせて、喫茶店で話すことにしました。

喫茶店で自己紹介をするやいなや、定型発達の次男は当たり前のように私の両親の間に座り、うれしそうに2人と手をつなぎました。甘え上手な次男のニコニコと人懐っこい様子に、二人は「可愛い、可愛い」と目を細めました。

一方長男は、様子を伺いオドオドして、私の手を離しません。父が長男に少し質問したら、関係ないことまで話し出したり、独り言を言いはじめたりといつもと違う環境に興奮気味なのか声の大きさの調節もできずにいました。

長男がパニックを起こしてしまい…

次男と夫がトイレで席を立つと、母から責めるような言葉を投げかけられました。長男の様子が気に入らなかったのでしょう。場の空気が張り詰めたキツイ感じになりました。

そんな母を父は諫めてくれたのですが、長男は場の雰囲気を感じ取りパニックを起こし大声をあげて号泣してしまいました。私は長男を抱き締めて「大丈夫だよ。喧嘩じゃないからね。ママはここにいるよ」と背中をさすり続けました。

その間もずっと母から「小さい子じゃあるまいし泣き喚いて恥ずかしい」「何話してるのかさっぱり分からないし、独り言をずっと言ってて気持ち悪い」「甘やかしてるからそうなるんじゃないの?障害だからって周りの人にも迷惑でしょう?」など厳しい言葉を言われ傷つきましたが、ただ長男の背中をさすって母の言葉をやり過ごし続けました。昔からこう言う人だからと、あきらめていたのだと思います。

それを聞いていた父は、優しい口調で「ビックリしたんやなぁ。電話で毎月じぃじと話してるけど初めての土地で初めて顔合わすし、そら怖いやろう。でも、じぃじは泣いてもその顔すらもうれしいんやでぇ。それだけ大きい声で泣けるんは元気な証拠やぁ。お前もよう頑張ってるなぁ。2人を見れば分かるよ。大変やと思うけどえぇお母さんやっとる。頑張っとるなぁ」と長男の頭をなでてくれました。

父が話してくれたこと

夫と次男がトイレから戻ると、父が持病のかかりつけの医師に、長男の発達障害について話したときのことを教えてくれました。
なんと父自身、多動傾向があり衝動性が強く、集団生活が苦手で会社を辞め自営業に転職したことや、国語はからっきしなのに、計算だけはものすごくできたというのです。医師に「ご自身も発達障害の傾向があったのかもしれませんね」と言われたと話してくれました。

それを初めて聞いた母は「なんでそんなこと言い出すんよ?!そんなわけないやろ?!」と苛立って声を荒げました。父はしれっとした感じで「障害があろうとなかろうと、この子はこの子でただの個性や。それをぐちぐち言える権利が俺らにはないんやで?この子のありのままを受け入れてやらんとやろ?」と泣いている長男の手を取り何度もさすってくれました。その言葉がとてもうれしく、涙がこぼれそうになりました。

次男も「お兄ちゃんはね、パニックになってるだけなの。優しくてね、僕の自慢のお兄ちゃんなの。だからねチクチク言葉はダメなんだよ?」と母に言うと、母は父と次男に「自分が悪いの?」と非難するような視線を送りました。

父は「何も気にすることはないし、この子はこの子。しっかり育てるんやで」と笑ってくれました。母だけが納得のいかない表情をしていました。

長男の優しさに触れて

別れる時間となり、みんなで両親を駅まで見送りに行きました。

母は数ヶ月前に足を骨折してから、骨粗鬆症もあり治りが悪く、足を引きずるようになっていました。父からも母が週5だった仕事を週3にしていることを聞いていたので子どもたちにも「ばぁばはね、足が悪いからゆっくりしか歩けないんだよ。抱っこをねだったり、手を引っ張って急かしたらダメだよ」と言い聞かせていました。

父と母と手をつないで歩いていた次男がふざけて手を引っ張り駆け出そうとしたりしていたのを見て、長男が「そんなことをしてはダメ!」と強い口調で言いました。その後、母の元に駆け寄ると「ばぁば、足痛いんでしょ?大丈夫?弟がごめんね。無理しないでね」と顔を見上げ心配そうに声を掛けていました。

母は驚いて戸惑うような表情をしていました。先程パニックを起こした長男の様子を見ていたので、そんな気遣いができるなんて想像できなかったのだと思います。

その様子を見た父は、目を細めて微笑みながら長男の頭をなでて、母に「この子は優しい子やないか?違うか?」と言い、「ありがとうな。ばぁばを気遣ってくれたんやなぁ」と長男をたくさん褒めてくれました。

母は父の言葉に目を伏せて黙って頭を垂れていましたが、「ありがとうね。心配してくれたんやね」とそのときに初めて長男と言葉をかわし、頭をなでてくれました。駅に着き、別れたあとも両親は改札の向こう側から何度も振り返り、手を振ってくれました。

母に対して思うこと

すぐさま、母の認識や価値観を変えるのは難しいと思います。ですが、最後に長男の優しさに触れて、長男自身を見てくれた、と少しだけ安心しました。完全に解決したとはまだまだ言えませんが、少しばかりは母との関係も前進したのかなと感じています。

エピソード提供/みぃこ
イラスト/SAKURA

(監修:三木先生より)
優しいお祖父様ですね。ご自身が苦労をされて、そしてそれを悩みながらを乗り越えられた経験のある方は、同じような困難を持つ人に受容的になれますよね。
またお祖母様も長男さんと気持ちのこもったやり取りができることによって、「障害」というフィルターを外したコミュニケーションができたんですね。こういう関係を積み重ねていくことで、またみなさんの関係が良くなっていくのだと思います。

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