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紅茶とスイーツが美味しい吉祥寺カフェ『coromo-cya-ya』は、“衣食住”が隔たりなく存在する空間なのだ

さんたつ

吉祥寺駅の南口から歩いて2分のビル2階。『coromo-cya-ya(コロモチャヤ)』は、ガラスで仕切られた空間に、紅茶がメインのカフェと、シャツブランドのショップが隣接している。カフェ店主でありデザイナーでもある中臣さんが感じた“いいもの”だけを提供するこの空間では、カフェや買い物を気ままに楽しむことができる。

“衣食住”が同空間に混じりあう

井の頭公園のほど近くのビル2階にある『coromo-cya-ya』は、階段を上がった先に2つの入り口が構えている。初めて来た人はどちらから入るか迷ってしまいそうだが、どちらも両方の店舗に通じているため気軽に入ってよいのだそう。

店に入ると、ガラスで仕切られたひとつの空間にカフェとシャツのショップが隣接している。入り口から向かって左側が、種類豊富な紅茶をメインに、タルトやプリンなどのスイーツが楽しめるカフェ。訪れた人たちができるだけゆっくり過ごせるよう、広々とスペースを取った空間には、幅や高さなどの細部までこだわって選ばれた木のテーブルや椅子がゆったりと並べられている。

そして右手にあるのが、『coromo-cya-ya』の店主兼デザイナーの中臣さんが手がけるシャツブランド『Houttuynia cordata(ホーチュニア コダータ)』の商品を販売するショップ。ブランドの商品のほかにも、中臣さんが“いいもの”だと感じた衣服やアクセサリー、化粧品などの生活を彩るアイテムがセレクトされている。

カフェとショップは自由に行き来ができるため、どちらか一方でも両方でも、その日の気分によってさまざまな楽しみ方が可能だ。

「どうして吉祥寺にお店を?」と尋ねると、「この街なら、私のやりたいお店を受け入れてくれそうな気がしたんです」と中臣さん。

店主の中臣さんは、もともとデザイナーとしてアパレルメーカーに勤務していた。ところが、せわしない環境の中で自分がやりたいこととのすり合わせができず、徐々にファッション業界から「離れたい」と感じるように。その後、洋服作り一筋で生きてきた中臣さんにとっては決死の覚悟で、ほかに興味のあった飲食の世界へと飛び込んだ。

しかし、飲食の経験を積むうちに、中臣さんの心境に変化が起こり始めた。

店内には、お土産に買える焼き菓子なども売られている。

「当初はファッション業界には戻らないつもりでした。でも、カフェで働きながらお菓子作りをしているうちに、“自分で選んだ材料を自分の力でどうおいしいものにするか”というところが、洋服作りの“布や材料をどう使って布が生きるような表現をするか”というところに、共通していると気がついたんです」

全く別物だと思っていた2つの業種が、表現方法が異なるだけで“ものづくり”という点では同じだと気がついた中臣さん。そこで、カフェとシャツのショップが同じ空間に存在する店を作ることを決意したという。

紅茶を普段飲まない人でもカジュアルに楽しめる

中臣さんがファッション業界にいたとき、今年のトレンドとして脚光を浴びていた商品が次の年には倉庫の片隅で眠ってしまう……という状況を目の当たりにするうちに、移り変わらない「定番」のものを作っていきたいという思いが芽生えたのだそう。そのため『coromo-cya-ya』では、丁寧に作りあげたもの、自分たちがシンプルにおいしいと感じたものを提供している。

りんごのタルト770円とアッサム715円の組み合わせ。

そんな『coromo-cya-ya』でメインに提供しているのが、もともと中臣さんが好きだったもののひとつである「紅茶」だ。街にある紅茶の専門店は、知識がないと少々入りづらさを感じることもあるが、ここでは普段紅茶を飲まない人でもカジュアルな雰囲気の中で気軽に紅茶を楽しむことができる。

また、どの種類の紅茶を頼んだらいいか迷う人には、好みや注文するスイーツなどに合わせたおすすめの紅茶を提案してくれる。この日は「りんごのタルトに合う紅茶はどれですか?」と尋ねたら、アッサムをおすすめしてくれた。

アッサムは、スモーキーな味わいが楽しめる茶葉で、深いコクと香りが、りんごのタルトと相性がいいのだそう。中臣さんは、「りんごのタルトとアッサムは、少し重めな味わいが秋っぽい組み合わせだと思います。春などには、もっとさっぱりしたニルギリという紅茶を合わせたりもします。お気に入りなので、私は年中この組み合わせなんですけどね」と笑う。

紅茶で季節感なども楽しんでほしいため、季節やその日の気温によって提案する紅茶を変えているそうだ。ここに来れば、どんな人でも新しい紅茶の魅力と出会うことができるだろう。

「ティーコゼーをティーポットに覆いかぶせて、紅茶がぬるくなるのを防ぐんですよ」と教えてくれた。

また、紅茶を飲み慣れていない人は「紅茶は時間が経つにつれて味が濃くなってしまうもの」というイメージを持っていることが多い。『coromo-cya-ya』では、そんな人でも飲みやすくなるために、紅茶はすべて茶葉を抜いてから提供している。ついおしゃべりに夢中になって時間が経っても、味が変わらずおいしいまま紅茶を楽しむことができるのだ。

フランス伝統のタルトは昔ながらの味わい

りんごのタルトは中臣さんが一番初めに提供したスイーツで、思い入れもひとしお。

今ではたくさんのタルトメニューが揃っている『coromo-cya-ya』だが、その始まりとなったのが、りんごのタルトだ。一時期、中臣さんがフランス菓子の学校でお菓子作りを学んだ影響で、同店のタルトは生地が固めの伝統的なフランスのタルトに仕上がっている。このタルトを店で提供してみたところ、「これが昔ながらのタルトだよね」と気づいてくれる人も多く、とても好評だったため、タルトの種類を増やすことにしたのだという。

この店の始まりのスイーツと言えるりんごのタルトは、りんごをスライスしてバターやきび砂糖、白ワインでソテーしたあと、クレームダマンドというアーモンドクリームをタルト生地に敷き、ソテーしたりんごを並べてオーブンで焼き上げる。先にりんごをソテーすることで、水分が安定しておいしくできあがるそうだ。

サクッとした食感が心地よい固めに焼かれたタルト生地と、芳醇な甘さのりんごがよく合う。素朴ながらも深みを感じる味わいだ。タルトを食べながら紅茶をコクっと飲めば、たちまち秋の香りに包まれる。知っている名前の紅茶を頼むだけでは、相性がいいとは限らない。紅茶のペアリング的な楽しみ方も、この店の醍醐味だといえるだろう。

「紅茶のことをあまり知らない方にも気軽に来ていただきたいので、“デザートに合う紅茶ってなんですか?”など気軽に聞いてほしいです。私たちも、“今日の暑さだったら何がいいかな”とか、“いつもホットのお客様にアイスをご提案してみる”とか、考えるのが楽しいので」と楽しそうに話す中臣さんは、カフェだけではなくシャツのショップでも、お客さんに尋ねられればスタイリングやお手入れ方法などを自らアドバイスしているという。

『coromo-cya-ya』は、カフェもショップも、通うたびに生活になじんでいく店なのだろうと感じた。

coromo-cya-ya(コロモチャヤ)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-8-11 弥生ビル2F/営業時間:11:30~18:30LO/定休日:火/アクセス:JR中央線吉祥寺駅から徒歩2分

取材・文・撮影=稲垣恵美

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