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【横浜市中区】中区が舞台の映画『ラプソディ・ラプソディ』監督の利重剛さんにインタビュー 13年ぶりの長編、「横浜を横浜として撮る」 変わる風景を記録に

タウンニュース

映画のチラシを手にする利重剛さん

 中区を舞台に撮影を行った映画『ラプソディ・ラプソディ』が5月1日から公開される。高橋一生さん主演のこの作品で監督を務めたのは、『さよならドビュッシー』以来、13年ぶりに長編映画のメガホンを取った横浜出身の利重剛さん(63)。本作では主人公の叔父という重要な役を演じ、俳優としても出演。現在も神奈川区に住み、これまでにも地元横浜を舞台にした作品を手掛けてきた利重さんに、作品への思いや横浜について聞いた。

* * * * *

あらゆる人が行き交うまちで出会いの映画

 ――今回、なぜ横浜、中区を舞台に選んだのでしょうか。

 「横浜はあらゆる人が住んでいるまち。労働者のまちでもあり、観光のまちでもあり、古くから住んでいる人もいれば、通り過ぎる人もいて、あらゆる人が行き交うまちです。だから、誰と誰が出会ってもおかしくない。この『ラプソディ・ラプソディ』は、2人の男女が不思議なきっかけで出会い、近づいていく…そんな出会いの映画なので、まさに中区が合っていると思ったんです」

 ――ロケ地としての横浜の魅力はどこにありますか。

 「横浜には里山や自然もあり、観覧車も見えれば美術館もある。どんな映画でも撮れるぐらい、あらゆる風景があるので、映画の舞台としてこんな魅力的なまちはないですね」

 ――確かに、横浜は多くの映画やドラマの舞台になっていますね。

 「でも横浜って、結構撮影隊は来るんですけど、意外と『横浜』として撮られることは少ないんです。架空のまちだったり、東京の一部みたいに撮られたり。でもまちも一つの主役だと思っているので、今回の映画では、横浜のカラーやまちの雰囲気、暮らしている人たちの生活感とか、リアルな横浜っていうのかな。『横浜を横浜として撮る』ことは意識しました」

リアルな横浜、区長も出演

 ――作品の中で描かれたリアルな横浜とはどんなところでしょうか。

 「例えば、2人の距離が縮まるデートのシーンでは、山下公園からスカンディヤの方まで歩いていきました。最近の映画で山下公園が登場する機会は少なくなりましたが、横浜でデートと言ったら山下公園は外せないですよね。そういったところがリアルだと思うんです」

 ――リアルといえば、中区で実際に暮らしている方や働いている方が、エキストラとして100人近く出演されています。

 「プロデューサーの中村高寛さん(中区在住)が、エキストラは全員横浜の人でやりたいって言って、知り合いづてなどまちの人たちに声をかけてくれました。主人公の職場は実際にある会社(関内にある旭広告社)の事務所をお借りして、社員の方にも出ていただきました。地元の方は知っている人や場所がたくさん出ているので、見るたびに新たな発見があるかもしれませんね」

 ――中区役所も撮影に全面協力してくれたそうですね。

 「区役所のシーンは、閉庁の日に戸籍課のフロアを貸し切って撮影しました。中区の職員の方もたくさんご出演いただきましたが、永井(由香)区長の出演は当日急きょ決まりました。見学に来ていただいていたところ、『出ていただけますか?』とお声をかけたら『いいですよ』って。他のエキストラの方もそうですが、みなさん快く出演を受けていただき、撮影に楽しく参加していただいていたのがありがたかったですね」

 ――日ごろから使われている場所での撮影は苦労も多かったと思います。

 「まちの人たちの生活空間なので、車や人を止めることは極力しないようにしました。馬車道のシーンなどは常に人が歩いてるので大変でしたが、そこで時間がかかるのは当然で仕方ない、地元の人に愛される映画にしたいと、ロケ隊一同、共通の思いをもって撮影を進めました。大きなトラブルもなかったですね。横浜の人って『あ、撮影やってるの。頑張ってくださいね』って感じで、すーっと通り過ぎて行ってくれるんです。本当は『何だろう』って思っているのかもしれないけれど、横浜の人ってそういうのを見せないのかもしれません(笑)」

映画の後もまちで映画が続く

 ――撮影を通して、「ここは絵になるな」と気が付いた場所はありますか。

 「映画のシーンには直接出てこないんですけれど、主人公の住まいとして使った根岸森林公園の近くのマンションの屋上からの景色は素晴らしかったですね。360度横浜を見渡せて。この公園の近くは何度も来ていたけれど、そんなに歩いたことなかったから、まだまだ面白い所がいっぱいあるんだなと思いました」

 ――地元の方に「こういう観点で見てほしい」というものはありますか。

 「横浜に住んでいても、自然と行かなくなった場所ってあるじゃないですか。聖地巡礼とはちょっと違うんですけれど、この映画を見て、『そういえば、元町公園ってしばらく行ってないな』とか『大さん橋は華やかだったな』と思って、横浜のまちをちょっと歩きたくなるような映画になったらうれしいです。そうして、映画が終わった後も、まちでまだ映画が続いてるという感じになってもらえたらいいですね」

 ――横浜でよく行く場所はありますか。

 「自宅からも近い横浜ベイクォーター。海が間近でパッと広がって見えるのがいいですね。家族で食事をすることも多く、子どもが小さい頃は近くのポートサイド公園を散歩したり、凧揚げをしたりしました。横浜ならではの海沿いが好きです」

 ――中区といえば、関内では新しい商業施設「BASEGATE横浜関内」が開業し、再開発が進んでいますが、どのように見ていますか。

 「BASEGATEは野球も始まっちゃったし、関内駅前だし、オープンしたばかりでまだ混んでいるんだろうな〜、ちょっと空いてから行こうと思ってまだ行けていませんが(笑)、(没入型体験施設の)『ワンダリア横浜』は気になっていて、娘と行く約束をしています。再開発など、まちって変わっていくのが面白いんですよね。2014年からこれまでに横浜を舞台にした連作ショートフィルム(『Life works』)を24本撮りましたが、当時撮影した中には、今はもうなくなってしまった風景もあるんですよね。そうした風景が映画の中に記録として残るというのも映画の面白さであり、(作り手としての)楽しさでもあると感じています」

映画館に足を運んで見てほしい

 ――5月1日の公開に向けて、地元の方へ向けたメッセージをお願いします。

 「たまには映画を見るのも楽しいですよ、どうぞご覧になってください、という感じでしょうか。最近は配信で見るのが当たり前になっていますが、やっぱり映画館で見る映画は楽しいですよ。画面も大きいし、音もいい。まずは映画館に足を運んで、その良さを味わってほしいですね。一本映画を見ると、不思議とほかの作品も見たくなってくると思います。今回をきっかけに『やっぱり映画って面白いな』と感じてもらい、また色々な作品に触れるきっかけになれば、作り手としてこれほどうれしいことはありません。家で何でもできてしまう時代だからこそ、『外に出た方が楽しいじゃん』ってなればいいですね」

* * * * *

『ラプソディ・ラプソディ』

 ある日、住民票に身に覚えのない「続柄:妻」の文字を見つけ、繁子>という名の女性が自分と勝手に籍を入れていたことを知った夏野幹夫。でも一体なぜ?何のために―?正体不明の妻探しに奔走し、小さな花屋でようやく見つけた繁子は、触れるものを全て壊してしまう破天荒すぎる女性だった!予測不能な繁子に振り回されながらも、懸命に向き合おうとする幹夫。しかし、繁子は何をされても怒らない幹夫にモヤモヤが募っていき...。どうしても怒れない幹夫の心を縛っていたある約束とは。そして、見ず知らずの人と勝手に結婚した繁子の謎めいた過去とは。予想外の出会いからはじまったおかしな関係の行方は――!?

 5月1日(金)より、横浜ブルク13、横浜シネマリンほか全国順次ロードショー。

キャスト:高橋一生 呉城久美 利重 剛 芹澤興人 大方斐紗子 関口和之(友情出演) / 池脇千鶴

監督・脚本:利重 剛 音楽:大西順子

* * * * *

【プロフィール】 利重剛(りじゅう・ごう)1962年横浜市鶴見区出身。高校時代から自主制作映画に多く関わる。高校3年の時に『教訓I』が、大島渚監督より絶賛を浴び、ぴあフィルムフェスティバルで上映。81年、『近頃なぜかチャールストン』(岡本喜八監督)では、主演・共同脚本・助監督を務めた。95年、映画『BeRLin』で、日本映画監督協会新人賞を受賞。また、俳優としても活躍し、高校卒業後にTBS『父母の誤算』でドラマデビュー。その後、ドラマ『半沢直樹』、『silent』、『海のはじまり』など、数々の作品に出演する。2014年から横浜を舞台にした連作ショートフィルム『Life works』を製作し、作品はシネマ・ジャック&ベティと横浜シネマリンで本編前のおまけとして無料上映した。神奈川区在住。

主演の高橋一生さん (C)2026 利重 剛
呉城久美さん (C)2026 利重 剛
利重さんも出演 (C)2026 利重 剛

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