早朝から仕込む優しいパンでほっとひと休み 宇部市「BENCH」
今回紹介するのは、ひとつ、またひとつとどんどんカゴに入れたくなる宇部市の人気パン屋です。
朝早くからパン作りに取り組むオーナーの思いとともに取材しました。
約40種類のパンを販売
宇部市の宇部新川駅から宇部市役所方向に進む途中にあるのが「BENCH」です(山口県宇部市中央町1-4-15)。
歩道も広く整備され飲食店などが並ぶエリアの一角にあり、お店の前にはテーブルが2席置かれています。
駐車場は近隣に3台分あり、ドアに案内の紙が貼ってありますので、詳しくはそちらをご覧ください。
ドアを開けると、こじんまりとした店内ながら、カウンター、ショーケース、商品棚などがきちんと機能的に配置されています。
カウンター横のショーケースには食パンが15種類ほど。
商品棚には惣菜パンや菓子パンが20~30種類並んでいます。
カウンターの右手側にはサンドウィッチやジュースが入った冷蔵庫。
そしてその上の棚には、オーガニックなはちみつなどの調味料が販売されています。
「BENCH」のオーナーは村谷美香さん。今年の7月に開店10年目を迎えました。
天然酵母を使った体に優しいパン作りを心がけていて、日によっては昼過ぎにはその日に作ったパンが全て売り切れてしまうこともあるそうです。
気になる人気商品は?
数あるパンの中からおすすめのものを紹介します。
まずは菓子パンの定番メロンパン。
メロンパン 270円
卵や乳製品を使用していないためアレルギーの人でも安心して食べることができます。カリッとした表面の歯ごたえも、中のしっとりとした甘みもあり、子どもから大人まで万人受けする間違いない一品です。
続いては、季節のジャムとマスカルポーネチーズ。
ジャムのマスカルポーネ 324円
オーナーの自家製桃ジャムにマスカルポーネチーズをあわせたパンです。桃の甘みもありながらマスカルポーネチーズのコクが口の中でよいハーモニーを奏でます。ジャムに使う果物は季節によって変わるそうで、取材時の桃は萩産のものを使用しています。村谷さんに聞くと、小麦粉は国内産のものを使用するなど、材料は極力国内産や地元のものを使うようにしているのだそう。
そして筆者が気になったのはこちらのカレーパン。
焼きカレーパン 324円
油で揚げていないカレーパンで、中の具はお肉の代わりに大豆ミートを使用した野菜カレー。パンの厚みも感じながら野菜の歯ごたえがあり、子どもでも食べやすい程度の辛さに仕立てています。
惣菜パンはいずれも一般的なパンよりも小ぶりなもので、「たくさんの種類のパンを食べられるように」という村谷さんの思いからだそうです。
そして15種類を取り揃えた食パンの中では、シンプルないわゆる食パンだけでなく、「いちじく・くるみレーズン」、「マカダミアナッツ」なども人気だそうです。
いちじく くるみレーズン 1本 864円 / 1/2本 432円
マカダミアナッツ 1本 777円 / 1/2本 388円
自分が好きなものだけを
オーナーの村谷さんは現在山陽小野田市在住。お店の営業は週に3日ですが、その日は2時30分頃に起床し4時頃お店へ到着、オープンに向け一人でパン作りを行う生活を続けています。
元々外食系の会社員だった村谷さん。食べるものに興味を持っていたこともあり10年前にパン屋を始めることを決意。
物件を探している時に今の場所に出会い、街路樹や入口前にある大きな木がある風景を気に入りこの場所に決めたそうです。
お店に並ぶパンは全て村谷さんひとりの手によるもので、村谷さん曰く「なんでも自分でやりたいタイプ」。
とはいえ接客はスタッフに任せていて、村谷さん自身は店頭に立たず、裏で黙々とものづくりをするのが好きなのだそう。
10年前のオープン時はまだ今の半分くらいのラインナップだったようで、お客のリクエストなどに応えているうちに今の品数までに膨らんでいったのだとか。
それでも店に並ぶのは全て「自分が大好きなものばかり」。先ほど紹介したいちじく・くるみレーズンの食パンも村谷さん自身が好きなものを全部入れた一品だと話します。
イートインスペースも
オープンの10時になると次々とお客が店内に。普段は常連さんが多いそうですが、夏休みということもあり、親子で訪れカゴに10個ほどパンを入れて買って行く姿も見られました。
お店では、テイクアウトだけでなくイートインも可能です。
お店の右側にある階段から2階に上がると約10人ほどが座れるスペースが。
窓際に座ると街路樹が目に入ってきて、おすすめですよ。
そしてここでイートインする際には、せっかくなのでパンの他にもう一品、スープはいかがですか?スープの内容は週替りのメニューだそうで、取材に訪れた時は山口市阿知須のかぼちゃ、「くりまさる」を使った冷製スープでした。
くりまさる(かぼちゃ)の冷たいポタージュ イートイン495円 / テイクアウト486円
「クリより甘い」ということで名付けられた「くりまさる」ですが、その通り、素材そのものの甘さを感じるスープでした。出汁は昆布のみで取っているシンプルなものですが、他の野菜を入れ深みを出しているそうです。
お店に並ぶのは、どれもしっかりオーナーのこだわりを感じる商品ばかりで、10年にわたり愛されているのも納得です。
ほっと休める場所に
店名の「BENCH」は、パンの製造工程で一次発酵の終わった生地を休ませる「ベンチタイム」から取っているそうです。そこから「お客がほっと休んでいただけるようなお店に」という思いを込めて「BENCH」と名付けたのだとか。
街に愛され優しく育ってきたパン屋で、おいしいパンでひと休みしてみませんか?