墨田区で愛され続ける名店の味4選。洋食に中華に天ぷら、下町に息づく大衆的な味わい深さを求めて
「この街といえば、やっぱりこの店のこの味だよね」と、地元の人々がつい胸を張りたくなる。そんな愛されグルメをドドンとご紹介! これを食べれば、みんなきっと幸せな気分に。店内に漂うアットホームな雰囲気も手伝って、なんだかいつもよりたくさん食べられそう。
家族で守ってきた懐かしの味『レストラン 鳩家』【曳舟】
「ホテルのレストランから戻った弟が4 代目として厨房に立っています」と、接客を担う姉の坂本やよいさん。名物のハトヤランチは、大正4年(1915)に銀座木挽町で創業した当初からある一皿だ。合い挽き肉で作るハンバーグはオーブンで焼いてから一晩寝かせ、ビフテキの切り落としをたっぷり入れたデミグラスソースで煮込む。キメが細かく、口に入れると柔らかくほぐれ、穏やかな旨味が広がる。
『レストラン 鳩家』店舗詳細
レストラン 鳩家(れすとらん はとや)
住所:東京都墨田区東向島3-37-7/営業時間:11:30~14:00・17:00~20:00/定休日:火(不定あり)/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン・亀戸線曳舟駅から徒歩7分
和の食材が香る独自メニューも評判『CATTOLICA(カトリカ)』【東向島】
「中年の頃にイタリアへ渡り、トラットリアでバイトしながらしばらくフラフラしていた」店主の森山東(あずま)さん。帰国後は実家でピッツェリアを開き、「ファストフードなので何をトッピングしてもいい」と独自のアレンジを考えた。人気の納豆のPizzaは、噛(か)み締めると長時間発酵した生地の甘みが滲(にじ)み、納豆やチーズ、半熟卵のコク、風味と出合う。仕上げに揉(も)んでかける海苔の香りもたまらない。
『CATTOLICA』店舗詳細
CATTOLICA(カトリカ)
住所:東京都墨田区東向島5-29-6 /営業時間:11:30~14:00・17:00~21:00/定休日:月(火不定あり)/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン東向島駅から徒歩6分
先代と現店主の合作ともいえる名物『桂林』【錦糸町】
強火で炒めたパラパラのチャーハンに、とろりとした卵焼き、プリッとしたエビをのせる。海老チャーハンは、木下さん夫婦に代替わりしたのを機に生まれたメニューだ。先代のレシピで作るチャーハンは、ほのかにラードの甘みが感じられ、それを生かすべく卵焼きの味付けはシンプルに。1977 年から続く町中華で、「今でも平日のランチタイムには80代の先代ママが手伝いに来てくれるんです」。
『桂林』店舗詳細
桂林(けいりん)
住所:東京都墨田区太平4-2-1/営業時間:11:00~翌3:00/定休日:火/アクセス:JR・地下鉄錦糸町駅から徒歩7分
甘めの天丼は大人も子供も好き『天ぷらかんだ曳舟店』【曳舟】
1978年、有楽町の『天ぷらかんだ』から独立。店主の石井久博さんはこの道60年以上、油の温度は衣を入れた時の音や沈み具合で分かるという。上天丼の天ぷらは、少し厚めにつけた衣に、コンブとカツオで出汁を引いた甘めの丼たれが絡み、ごはんにもよく合う。「甘い天丼が良いって、孫にも好評なんですよ。男子高校生のグループがたまに来てくれるのもうれしい」と、家族で切り盛りする。
『天ぷらかんだ曳舟店』店舗詳細
天ぷら かんだ 曳舟店
住所:東京都墨田区東向島2-30-11/営業時間:11:30~13:30・17:00~21:00/定休日:日・月/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン・亀戸線曳舟駅から徒歩1分
取材・文=信藤舞子 撮影=井上洋平
『散歩の達人』2025年8月号より