猫が『早朝に激しく鳴く』理由4選 ご飯の催促以外に、病気の可能性も
猫が早朝に鳴くことが多いのはなぜ?
猫が早朝に鳴くのは、実は猫の本能や生活リズムと深く関わっています。
猫は元々薄明薄暮性の動物で、夜明け前から活動的になる習性があるのです。野生下では、この時間帯が狩りの時間だったのですね。
イエネコになった現代でも、DNAに刻まれたその習性は残っており、早朝に活動的になる猫は珍しくありません。
猫が『早朝に激しく鳴く』理由4選
1.空腹によるご飯の催促
猫が早朝に激しく鳴く理由で多いのは、シンプルに「お腹が空いた」というサインです。
いつもの食事時間になると体内時計が反応し、食事を求めて鳴き始めます。夕食から朝食までの時間がどうしても長くなるため、とても空腹状態になっているのでしょう。
また本来猫は、少量を頻繁に食べる動物。野生では一日に数回~数十回以上獲物を捕まえて食べるリズムだったため、長時間の絶食を不自然に感じる猫もいるという説もあります。
そして空腹を感じると、「食べ物をくれ」と、鳴いて飼い主に訴えかけるのです。
2.注目を引きたい気持ち
猫が早朝に鳴く二つ目の理由は、飼い主の注目を集めたいからです。猫はツンデレなイメージの動物ですが、実は飼い主とのコミュニケーションを楽しみにしています。
とくに日中、飼い主が仕事などで留守にしていると、積極的に関わりを求めがち。
早朝であっても、鳴いたら飼い主が起きてきて話しかけたり、撫でたりしてくれるという経験を一度でもすると、その行動はポジティブな経験として学習され同じ行動を繰り返します。
たとえそれが「うるさいからやめて」と否定的な反応であっても、猫からすれば「注目を得られた」という報酬になるのです。
3.加齢による認知機能の低下
猫も高齢になると認知機能に変化があらわれることがあって、これが早朝の鳴き声の原因になるケースもあります。
猫の認知症(認知機能不全症候群)は、人間の認知症と似たような症状を示し、徘徊や粗相、物忘れなどが起こりますが、早朝の過剰な鳴きも症状のひとつであることも。
猫の場合は、約50%の猫(15歳以上)に何らかの認知機能の低下が見られるといわれていて、認知症になると「今どこにいるのか」「今は何時なのか」がわからなくなり、不安を感じて鳴きます。
ほかにも普段とは違う調子の鳴き声であったり、飼い主の反応に対して無反応になるといった症状もみられたり…こうした変化に気づいたら、獣医師へ相談しましょう。
4.病気や痛みのサイン
猫が突然早朝に激しく鳴き始めた場合、健康上の問題が隠れている可能性も考えられます。
猫は本能的に弱みを見せない動物ですが、特に普段はあまり鳴かない猫が急に鳴き始めた場合は、注意深く観察してみましょう。
考えられる問題としては、まず甲状腺機能亢進症があります。これは中高齢猫によく見られる病気で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることにより、多動、多飲多尿、体重減少、夜間の活動増加や異常な鳴き声などの症状があらわれます。
甲状腺機能亢進症以外でも、さまざまな不快感や痛みによって猫が鳴くようになるケースも。
排尿や排便困難、関節の痛み、呼吸のしづらさなど感じている違和感には様々な可能性があります。
そのためもし病気が疑われる場合は、鳴き声以外の症状の有無(食欲、排泄、動き方など)も注意深く観察し、早めに獣医師に相談しましょう。
まとめ
猫が早朝に激しく鳴く理由は多岐にわたり、単なる「お腹が空いた」というサイン以外にも、注目を求める気持ち、年齢による認知機能の変化、健康上の問題など、さまざまな要因が関わっています。
ただし健康上の問題が疑われる場合は、必要に応じて獣医師に相談することをお忘れなく。特に普段と異なる鳴き方をしている、他の症状を伴っている、中高齢猫の行動が急に変化した、などの場合は獣医師の診察が必要といえます。
一方単なる習慣や注目欲求による鳴き声であれば、猫のニーズを満たした環境設定や生活リズムの調整を行い、改善を試みましょう。どうしても鳴き声が気になるときは、寝室を分けるのもひとつです。
(獣医師監修:葛野莉奈)