横浜市営バス 25年度春は減便回避 運転手の採用拡大が奏功
運転手の不足が主因で、2024年度に大規模な減便を余儀なくされた横浜市営バス。対策として打ち出した給与アップや住居手当の増額が後押しとなり、100人近く採用できたことなどから25年度春の減便は免れた。
法改正による時間外労働の規制が昨年4月に始まったことや、退職者が相次いだことなどから運転手が不足し、市営バスは24年度に大幅減便となった。1年間の減便数は677便に上った。
市交通局人事課によると、採用拡大のため全国の幅広い年代からの応募を促す対策を展開。月額1万9600円の住居手当を5万円に増額し、5年間支給する計画を打ち出した。大型二種免許所持者の年齢制限も49歳を60歳まで引き上げ、女性枠も新設。また、過去最大級という平均7・72%の給与ベースアップを実施した。
24年度は一連の対策が功を奏し、同免許の養成コースから正規職員になった19人を含めて合計99人を採用。前年度から60人増えており、12年度以降で最多だった。住居手当が応募の決め手になった人がおり、北海道や沖縄からもエントリーがあったという。
春の減便を回避し、現在の市営バスは8543便で運行されている。その一方で、年度内の見通しについて同局路線計画課の職員は、運転手の確保などの面から、「引き続き予断を許さない状況」と説明する。
今後10年、更なる不足懸念
将来的な運行維持には課題も多い。特に大きいのが年齢構成で、約1000人の運転手の半数は50歳以上(24年度末)。現在の公務員の定年は62歳で、今後10年で多くの人が退職を迎えるため、人事課の職員は「人手不足が今の比では無くなる」と危機感を募らせる。再任用制度や65歳までの段階的な定年引き上げが計画されているものの、「視力低下など体調面の理由で、定年前に辞める人もいる」と話す。
人事課では24年度、若年層の応募を促すため、同免許の資格要件を緩和する「受験資格特例教習」の受講費用を助成する制度も立ち上げた。今後も若い世代の採用を強化していく方針だ。