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【実体験】小3からケンカ三昧、友だちのグチばかりだった発達障害息子を変えた幼馴染の涙。小6で初めて知った「味方」の存在

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【実体験】小3からケンカ三昧、友人のグチばかりだった発達障害息子を変えた幼馴染の涙。小6で初めて知った「味方」の存在

監修:初川久美子

臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち

周りの子と衝突。ケンカばかりの日々

息子のリュウ太は、小学3年生から小学6年生頃まで周りの子とよく口論になり、頻繁に衝突していました。
その度に担任の先生から「今日ケンカがありました」と電話をもらい、母の私は毎回「耳が痛いな……」と思っていました。

リュウ太が周りの子と仲良くできないところもあったのですが、よく口論になっていた周りの子たちもこの頃リュウ太と仲良くする気がなかったように思います。リュウ太は、相手のイヤな言葉を無視することができない性格のために売り言葉に買い言葉で、その結果よくケンカになっていたのです。

帰宅するとリュウ太は学校で起こったケンカのグチを延々と話すのですが、それでも怒りが収まらないようで「やられたら倍返しだ!」とドラマの決めセリフのようなことを言っていました。

ほとんどが「リュウ太」対「複数」でのケンカなので、発端がいろいろなところにあり、常に気を張っているような小学校生活でした。

「T口はスゴイ」息子の口から初めて出た、友だちへのリスペクト

そのリュウ太が唯一仲良くしていたのが、幼馴染のT口くんです。T口くんとはご近所で、ゲームの話題など、話も合うので小学4年生の頃から遊んでいました。

リュウ太は、ある日「T口がつくったプラモデルが上手でスゴイんだ、T口のプラモデルかっこいい」と話してくれました。

私は、周りの人のグチばかり言っていた息子が友だちを褒める日がくるなんて!とうれしくなりました。そして「この人はすごい!」と思ったらちゃんとリスペクトできるんだと分かりました。

これまで周りの子と仲良くできないのには理由があって、仲良くしたいと思う相手とはうまくやれるんじゃないかと思ったのでした。

泥だらけになるほどケンカと、初めての「味方」

小学6年生の頃、近所にある竹やぶでリュウ太とT口くんとほかの男子4人の計6人で遊んでいた時のこと……リュウ太と男子4人のケンカが始まり、だんだん激しい言い争いになりました。

1対4人の不公平な争いを見ていたT口くんはリュウ太をかばって言い返してくれました。T口くんはおとなしい性格で普段怒ることはほとんどないそうなのですが、相手の理不尽な態度に腹を立て、大声まであげ、怒りすぎて泣いてしまったそうです。

その日、リュウ太は暗くなってから帰ってきました。服には竹やぶで遊んでいた草などがついていて、靴は泥で汚れていました。

そして、家に入るなり「今日、M田たちとケンカになって大変だったんだよ!」とT口くんが自分をかばってくれたことなどを話してくれました。なんでケンカになったのか、原因は忘れてしまったらしいのですが、これまで自分をかばってくれた人はほとんどおらず、うれしかったようで、ニコニコしながら話してくれました。

リュウ太がはじめて“友だちっていいものだ”と感じた出来事だったのではないかと思います。

ケンカばかりの少年が、人をリスペクトできる大人に

T口くんとはその後、同じ中学校、同じクラスとなりました。一緒に遊びたいときは遊ぶ、距離を置きたいときは誘いをお互い断る、などのほどよい距離感で付き合いは続きました。

成人してT口くんが念願の大手玩具会社に就職したときも「T口はすげーよ!小さいときからの夢を叶えて、〇〇会社で働くなんてスゲーよ!」とリュウ太は喜んでいました。

それからは、ほかの友だちのことも「あいつは結婚して家を買ってすげーよ!」や「あいつは親父になって子どもを育てていてすげーよ!」と称賛するようになりました。

ケンカばかりで人のグチが多かったリュウ太が人をリスペクトできる大人になれたのは、人の優しさを教えてくれたT口くんのおかげなんじゃないかな?と思いました。

執筆/かなしろにゃんこ。

(監修:初川先生より)
リュウ太くんの友だち関係についての歴史をありがとうございます。小学校時代、ケンカばかりだった子たちに対しては、おそらくリュウ太くんなりに「どうしても見過ごせない」何かがあったんだろうなと思います。T口くんのように、いいところを見つけることができるのにもかかわらず、例えば自分に対する不当な扱いであったり、ルールを守らないことであったりなど、どうしても水に流せない何かがあって、そこばかり目についてしまう関係性に陥ってしまったんだろうなと。誰しも不当な扱いを受ければ、相手を攻撃したくなってしまう気持ちも芽生えます。大人はそうした相手とは距離を取って自分を守りますが、小学生はお互いにまだまだ幼いので、ついやり合ってしまうことが続いたのではと思いました。

さて、T口くんがケンカで加勢してくれたこと、リュウ太くんにとってはうれしかったろうと思います。リュウ太くんそのものに原因があるというスタンスではなく、そもそもそのケンカの構図(1対多数)がおかしいだろと言ってくれたのは、いつも不当な扱いを受けていたリュウ太くんからしたらなんと心強いものだったかと思います。お互いのことを尊重し、つまりお互いのことに踏み込みすぎず、踏み込んで一挙手一投足を評価せず、すごいと思うことはすごいと褒めて付き合っていける仲間の最初がT口くんだったのでしょう。周囲の子たちもお互いに大人になっていく中で、リュウ太くんが受ける不当な扱い、不公平は減っていったのではと想像します。リュウ太くん自身が相手に踏み込まれすぎず、心をかき乱されなければ、きっと相手のいいところがしっかりと見えるということなのだろうと思います。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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