新羅慎二/若旦那名義での6年ぶりのソロライブ。「喜怒哀楽でみんなの心に寄り添う」40代最後のライブ。
「純恋歌」「睡蓮花」など数々のヒット曲を持つレゲエグループ・湘南乃風。
そのメンバーのひとりである若旦那こと新羅慎二のソロツアーの東京公演が、本人の誕生日前日に開催された。
ソロ名義での公演は、コロナ禍によりツアー途中で後半公演がすべて中止となった「武者修行ツアー」以来、実に約6年ぶり。
ツアー発表時には「音楽に救われてここまでやって来れて、音楽で誰かを救いたい」という本人からのメッセージが綴られており、その熱い想いに引き寄せられるように、多くのオーディエンスが集結した。
【写真】ソロ名義での公演は、コロナ禍によりツアー途中で後半公演がすべて中止となった「武者修行ツアー」以来、実に約6年ぶりの新羅慎二/若旦那名義(全4枚)
特別な演出もなくステージにひょっこり現れ、アコースティックギターを手にすると「痩せたんですよ。最近。もう美とかに目覚めちゃって、化粧水とか使ってます」と観客を和ませる。
ギターとバイオリンのみというシンプルなステージ編成で、若旦那節とも言えるフランクな空気感で会場を包む。
ライブは、彼の敬愛するアーティスト高田渡の「生活の柄」から始まり、若旦那名義のヒット曲「信じろ」、「伝えたい事がこんなあるのに」に繋げる。
まるで観客一人ひとりに語りかけるような優しい時間。
温かい言葉と柔らかい音、そしてシンプルな照明で空間を支配するその姿は、長いキャリアの中で培われた表現力の引き出しの多さを感じさせた。
「時には激しく、時には優しく、喜怒哀楽でみんなの心に寄り添えるライブを創っていきたい」という言葉の通り、湘南乃風の代表曲「純恋歌」、「応援歌」を2曲続けて、フロアを激しく沸かせたと思えば、ソロ楽曲「何かひとつ」「ほんの少しだけ」では、日常の中にある大事な事を思い返すかのように、優しい音とどこか感じられる強い思いが観客の背中を押した。
「もう20年近く歌っているよ」と話して始まったのは、自身が初めて作詞・作曲した「札束」。激しいストロークで叫び上げ、まるで、その人生の全てを乗せて「時には激しく、時には優しく」ギターを奏でる姿にオーディエンスは完全に感化された。
その熱から一転、彼の音楽のルーツといっても過言ではないBob Marley「redemption song」を丁寧に歌い上げ、聴く者の胸を熱くした。
ライブ最終コーナーの「恋時雨」から「曖歌」へと続く流れでは、予期せず、観客の大合唱が巻き起こった。その光景は、ライブというよりも新羅慎二と同じ空間に生きているオーディエンス側の喜怒哀楽の解放だった。
アンコールでは、ファン待望の新曲「若者よ」を披露。
高まった熱量をそのままに湘南乃風の名曲「カラス」でグランドフィナーレ。
約6年ぶりのワンマン、そしてこれまでの紆余曲折を乗せたリアルな想いが、全て放出された。
最後に「ギターは難しいけどこれからも向き合っていく。だからこれからも付き合ってください」と40代最後のライブを本音で締め括った。
決して大げさではなく、新羅慎二という人生の全てを魅せた、誠実であり、揺らぎ続けて歩む人生を、自ら肯定する時間でもあった。