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田名網敬一で幕開け、渋谷に誕生した「NANZUKA」の新スペースをレポート

タイムアウト東京

田名網敬一で幕開け、渋谷に誕生した「NANZUKA」の新スペースをレポート

現代アートギャラリー「NANZUKA」の新たなフラッグシップギャラリー「NANZUKA」が、2026年9月12日(土)に渋谷駅直結の商業施設「渋谷アクシュ」の3階にオープンする。2005年に「NANZUKA UNDERGROUND」として渋谷に誕生したNANZUKAが、20年余りの時を経て再び渋谷に拠点を構えることになる。

新たなフラッグシップギャラリーでは、「Social Friendship」をコンセプトに、より多くの人に開かれたギャラリーを目指す。新しいものが次々と生まれる一方、アートの拠点としては捉えられてこなかった渋谷で、アートとの新たな接点を作りたいという代表の思いも背景にあるという。

© Keiichi Tanaami. Courtesy of NANZUKA展示風景

そんな思いを表すように、ギャラリーの入り口には扉などは設けず、気軽に中へ入れる開かれた作りになっている。展示スペースも壁などで細かく仕切られておらず、自然と展示スペースへと引き込まれる開放的な空間だ。

こけら落としとなる展覧会は、所属作家だった田名網敬一の展覧会「DO NOT BOMB」。田名網は「国立新美術館」での大規模個展「田名網敬一 記憶の冒険」が開幕したわずか2日後、この世を去った。同展では、1960年代から2024年までに制作されたシルクスクリーン、コラージュ、ペインティング、アニメーション、立体・映像作品など約60点を展示する。

© Keiichi Tanaami. Courtesy of NANZUKA展示風景

幼少期に経験した戦争の記憶を原点に、アメリカンコミックや広告、映画、漫画など、戦後の大衆文化を表現に取り込んできた田名網。同展は、逝去する直前まで描き続けた「戦争の記憶」を軸に、その約60年にわたる創作活動をたどるものだ。

© Keiichi Tanaami. Courtesy of NANZUKA展示風景

会場入り口に最も近い位置に展示されているのは、2024年の大規模個展の準備中に制作された『DO NOT BOMB』。世界各地で戦争が続く状況を背景に制作された作品で、画面の中央には、砲弾を思わせるようにこちらへまっすぐと向かってくる金魚が描かれている。

©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA田名網敬一 Keiichi Tanaami DO NOT BOMB 2024 Pigmented ink, acrylic silkscreen medium, crashed glass, glitter, acrylic paint on canvas H141 x W100 cm

金魚の周囲には爆発による破片を思わせるように、バラの花弁が舞う。戦争の恐怖を直接的に描くのではなく、幻想的なイメージに変換してきた田名網独自の表現が凝縮された作品だ。

会場には、『DO NOT BOMB』につながる「NO MORE WAR」シリーズも並ぶ。1967年に制作されたこのシリーズは、アメリカの雑誌『Avant Garde』が1968年に主催した反戦ポスターコンテストに出品され、優秀作に選ばれたもの。ポップアートの影響を受けたシルクスクリーンによる作品には、田名網が早くから関心を寄せていた、複製によってより多くの人にイメージを届けたいという姿勢も表れている。

© Keiichi Tanaami. Courtesy of NANZUKA展覧会会場

約60年の時を経て、同じ反戦のメッセージが『DO NOT BOMB』ではどのように変容しているのか。2つの作品を見比べながら、田名網が平和への思いをどのように表現し続けてきたのか、会場で確かめてみてほしい。

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