【山北町】山北のお峰入り 民俗芸能関東大会に出場 63年ぶりに演舞披露
山北町共和地区に古くから伝わる民俗芸能「山北のお峰入り」が、「第67回関東ブロック民俗芸能大会」(10月12日・東京都)に第4回大会以来、63年ぶりに出場する。大会では棒踊りを披露する予定。
大会は、静岡と関東地域の各都県から推薦された民俗芸能団体の中から7団体が出場し、各地で伝承されてきた演舞を披露するもの。お峰入りの出場は2回目だ。
大会で披露する棒踊りは、6人が四尺三寸の棒を持ち、笛や太鼓に合わせてリズミカルに踊る演目。演者は30代を中心としたメンバーで、月1回の全体練習や個人練習などで準備を進めてきた。
演者の一人、角原清志さん(38)は移住者で、2023年の公演会で初めて踊りを披露。「口伝えだけで継承されていて、この時代にその文化が残っていることに衝撃を受けた。指導もすごく細かく、しっかり継承されているのがわかる」と語る。本番に向けて、「お峰入りを発信できる場をいただけてありがたい。県代表として、今出せる最大限の踊りを見せたい」と意気込む。
修験道の儀礼
「お峰入り」は、山中で修行を行うことを意味し、修験道の儀礼が芸能化したものとされる。演舞は8種類11演目あり、天狗や獅子、おかめ、山伏、太鼓、笛などの役を約80人の男性が演じる。
現在のお峰入りは、1934年に40年ぶりに復活させたもので、それ以来、歌や踊りはすべて口伝えで伝承されてきた。
22年にはお峰入りを含む41の民俗芸能が「風流踊」としてユネスコ無形文化遺産にも登録されている。
町内外に発信
これまでは共和地区の住民を中心に活動や公演会を行ってきたお峰入りだが、ユネスコ無形文化遺産への登録を機に、町内外へ広く伝える取り組みを昨年から始めている。保存会の杉本君雄会長(76)によると、地域イベントへの参加や川村小学校での体験会など、周知の機会を広げている。杉本会長は「もっと知ってもらい、公演会などに足を運んでもらいたい」と話す。久しぶりの関東大会を「お峰入りを知ってもらういい機会。出演者たちにはしっかり踊ってもらいたい」とエールを送った。