【「四季のコンサート」のパヴェル・ゴムツィアコフさんチェロリサイタル】全ての音があるべき場所にある
静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、7月11日に静岡市葵区の静岡音楽館AOIで開かれた、ロシア出身のチェロ奏者パヴェル・ゴムツィアコフさんのリサイタル。1983年から活動を続ける静岡音楽友の会の「四季のコンサート」。
幕開けはピアノ伴奏でシューベルト「アルペジョーネソナタ」。左手の指が指板を滑らかに上下する。優雅に溺れすぎない、「全ての音があるべき場所にある」演奏。イザーイ「無伴奏チェロソナタ」は、ロマンティックな旋律に開放弦をはじく音や弦のきしみを混ぜ込み、聴く側の平衡感覚を狂わせる。後半はシューマン「トロイメライ」やサン・サーンス「白鳥」など〝ヒットメドレー〟。芸術と娯楽のバランスを周到にはかった選曲の妙。(は)