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「“人たらし”な一面も含めて、ぼたんの魅力だと思います」──TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』上伊那ぼたん役・鈴代紗弓さんインタビュー【連載第1回】

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

塀先生による人気漫画を原作としたTVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』が、2026年4月10日よりTOKYO MX・BS11ほかにて放送スタートとなりました。

本作は、大学へ進学した上伊那ぼたんが、埼玉県秩父市の学生寮での生活を通して、“お酒”をきっかけに寮生たちとの距離を縮めていく物語。お酒を通してゆっくりとほどけていく関係性の変化が、色彩豊かに描かれています。

アニメイトタイムズでは『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』のキャストインタビューを連載でお届け。記念すべき第1回には、上伊那ぼたん役・鈴代紗弓さんが登場。作品への印象やキャラクターの魅力、そして“お酒”というテーマを通して感じたことなどを語っていただきました。

【写真】『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』鈴代紗弓【連載インタビュー第1回】

無意識に人を惹きつける、ぼたんという存在

──はじめに、原作を読まれた際の印象からお聞かせください。

上伊那ぼたん役・鈴代紗弓さん(以下、鈴代):まず、この作品全体に流れている空気感がとても印象的でした。最初のセリフからそうなんですけど、塀先生の画も含めて、余白からも空気や匂いのようなものが伝わってくるというか……。だから、静かに、そっと読みたくなるような作品だなと思いました。そういう空気感の中で物語が進んでいくのがすごく心地よくて、楽しく拝見しました。

あと、何よりも“女の子とお酒”というテーマが新鮮でした。女の子の青春を描く作品はたくさんありますが、そこにお酒が掛け合わさることで、少し大人びた空気感の青春が描かれていると感じて……! 楽しいだけじゃない余韻やほろ苦さを感じるシーンもあって、とても引き込まれました。

──「青春」の中でも少し大人な時期が描かれていますよね。

鈴代:そうですね。彼女たちは学生ではありますが、いわゆる10代のきらきらした青春というよりも、少し大人に足を踏み入れているような時期。人によってはもうかなり大人になっている場合もありますし、新しいことを覚えていく時期でもあると思います。

お酒もそのひとつだと思いますが、ある種の価値観がまだ曖昧な時期の人間関係や会話がリアルで、生っぽいんですよね。あの時期って、いちばんふわ~っとしてる印象があって、そこにお酒を組み合わせたら「とんでもないじゃないか!」と(笑)。あと、絵がめちゃくちゃ可愛いです。それとお洋服も毎回とっても可愛くって……!!

──原作ではキャラクターごとに「衣装設計」がされているほどのこだわりっぷりで。そして、アニメでも「衣装デザイン」を藤井有紗さんが担当されていますね。

鈴代:原作でも幕間に衣装のこだわりポイントが書かれています。洋服がここまで作品の軸のひとつとしてしっかり描かれている作品って、意外と多くないのではないかなって。キャラクターごとに着ている服の系統が違うのはもちろん、そこにちゃんと“意思”があるというか。

逆にあまりこだわりがないようなキャラクターも、それがそのまま個性になっている。そんな意味で、服も含めてキャラクターを立体的に表現しているのが素敵だなと思いました。注目したい要素がたくさんある作品だと思います。

──衣装にここまで力が入っている作品も、珍しいような気がします。アニメーションでも、ぼたんだけで、30着以上用意されているとか……?

鈴代:そうなんです、すごいですよね! ぼたんだけじゃなく、他のキャラクターたちも多彩な衣装を着ています。女の子にとって服ってやっぱり大事なものだと思いますし、会う人によって変えたりもするもの。そんな“女の子らしさ”を丁寧に掘り下げている作品だなと感じました。

──鈴代さんがお好きな衣装はありますか?

鈴代:ぼたんがオフショルダーのニットを着ていたことがあって、それが印象的だったんですよね。オフショルを着るのってインナー選びなど手間もかかりますし、個人的に「すごいな……」と思うんですよ。でもおしゃれさんはそこを惜しまないんですよね。自分も(服を)ちゃんとしようって背筋が伸びました(笑)。

そういうスタイルを自然に取り入れているところに、“普段からおしゃれを楽しんでいる子なんだな”という日常が見えてきて。やっぱり思わずドキッとしてしまいますよね。女の子としての魅力を全部まとっている感じがして「かわいい」って自然と言わせてしまう存在だと思います。

──そのなかでドキッとするような仕草もあったり。

鈴代:そうなんですよね! 酔ったときに、計算ではなくふっと肩の部分がはだけたりと、服までも味方につけている感じがあって(笑)。それを無意識でできているからこそ、ある意味、罪深いキャラクターだなと思っています。

それと、ぼたんは少しゆるっとしたシルエットの服も多いんですよね。かわいいんですけど、ただかわいいだけじゃなくて、どこか“隙”を感じさせるんです。守ってあげたくなるような雰囲気があるといいますか。でも実際は男勝りなところもあって……。

“手に入りそうで入らない”距離感も、ぼたんらしさ。そんなギャップも魅力だなと思います。それと個人的には、服のちょっとした乱れ方で、ぼたんの心情が表現されているようにも感じています。このような細かい演出も、見どころのひとつです。

模索していく中で見つけた“ぼたんらしさ”

──そんな中で、ぼたんというキャラクターをどのように捉え、演じようと考えていらっしゃいましたか?

鈴代:オーディションでは、実はぼたんだけではなく、(砺波)いぶきと(北杜)やえかも受けさせていただいたのですが、そのメンバーのなかで、ぼたんは一番“掴みどころがない”存在だなという印象でした。ふわっとそこにいるような感じで、声のイメージもすぐには浮かばなくて。どちらかというと、いぶきのほうが自分の声でイメージしやすいかもと思いながら受けていた部分もあったんです。

ぼたんは明るさの中にどこか落ち着きもあって、やっぱり掴みきれない魅力があるんですよね。その先をもっと見てみたくなるというか……。ミステリアスな部分を持った女の子だなと感じていました。

──周りのキャラクターたちのやり取りを見ていると、相手をどんどん引き込んでいくというか、沼にハマっていくような……。

鈴代:たぶん無意識なんじゃないかと思わせるような“魔性の女”感がありますよね(笑)。特にお酒を飲んだ後はそれが顕著に表れています。第1話の段階では深くまで描かれていない部分もありますが、すでにちょっと小悪魔っぽかったり、思わせぶりだったりして、「こっちが振り回されているな」という感覚がありました。

だからこそ「何に重きを置いてお芝居をするか」は、最初は自分の中でも掴みきれず……。でも「自分がやるならこうかな」という形でオーディションにも臨ませていただきました。

ぼたんって本当に“いい子”なんですよね。いい子すぎるからこそ、内面や本心が見えきらない。その見えなさも含めて魅力的なキャラクターだなと思っています。

──模索しながら、ぼたんというキャラクターを掴んでいったのですね。

鈴代:かなり模索しながらでした。オーディションも、テープ審査とスタジオ審査がありまして、テープのときは自分のイメージで演じてみて、スタジオに進むことができたのですが、スタジオではディレクションも特に無く、サラッと終わってしまったような印象で……(笑)。

掴みどころはなかったものの、変に作り込みすぎずに、すっと入っていけたのがぼたんだったように思います。自分の中にある“ぼたん像”が、うまくハマったのかなって。

──ぼたんの魅力を言葉にするとしたら、やはり“小悪魔的”“魔性”といった部分が大きいのでしょうか。

鈴代:そうですね。最初に感じた魅力は、ある意味で「相手のことを考えすぎない」でした。もちろんそれは無神経というわけではなくて、変に一歩引いてしまうことなく、思ったことを自然に言葉にできる子だと思ったんです。

たとえば、炭酸でむせてしまったいぶきに対しても「あんまり気にしないほうがいいですよ?」とさらっと言える。その一言って、人によっては一度踏みとどまってしまうと思うんです。でもぼたんはそれを日常的にできる子なんだろうなと感じていて。裏がないって言ったらいいのかな。

言葉をそのままの意味で受け取れる安心感がある。だからすごく“いい子”だなと思います。ただ、物語が進むにつれて、いわゆる“女子特有”の感情というか、少しモヤっとする気持ちや踏み込む一面も見えてくるんですよね。その変化も含めて魅力的だなと感じています。

あと、つい深淵を覗きたくなるような魅力があるというか。「この子は何を考えているんだろう」と思わせる余白があるところにも惹かれます。……なんとなく“いい匂いがしそう”って思っちゃうんですよね(笑)。

──(笑)。今後のぼたんの内面の変化や成長も楽しみなところです。

鈴代:それぞれのキャラクターと関係を築いていく中でも、いぶきと一緒にいるときに感じる気持ちは、特に変化していくんじゃないかなと。普段はあまり動じなさそうなぼたんが、心の中でモヤモヤしたりする瞬間があって。その揺れがすごく丁寧に描かれているので、見ていてたまらないなと思いました。

一方で、他のキャラクターに対しては基本的にフラットで優しく接しているんですよね。逆にそれが相手によっては強く刺さってしまったりもして……。そういう“人たらし”な一面も含めて、ぼたんの魅力です。ぼたん自身だけでなく、周りのキャラクターがぼたんをどう受け取っているのか、という視点でも楽しんでいただけると、より面白いんじゃないかなと思います。

──それと、ぼたんと鈴代さんの間には共通点があったとか?

鈴代:そうなんです! キャスト発表時のコメントにも書かせてもらったのですが、炭酸があまり得意じゃないところが一緒で(笑)。飲めないわけではないのですが、ごくごくとは飲めず……お酒を飲むときも、炭酸系よりはお茶割りやワイン、日本酒が多いんです。

──幅広くお酒を嗜まれるのですね!

鈴代:確かに……(笑)。サワーも味は好きなんですけど、あまり量は飲めないんですよね。そのあたりの設定がぼたんとすごく近かったので、オーディションのときも備考欄に書かせていただきました。

個人的に、お酒を扱う作品や、女の子同士の関係性を描く作品に出演したいという目標があったので、そういう意味でもこの作品に出会えたのはすごく嬉しかったです!

──すごい! 夢のすべてが詰まっていますね。運命的というか……。

鈴代:そうなんです! 原作を読んでいても、アニメになったときに“自然体の会話”を大切にする作品になるんだろうなと感じていて。説明しすぎない会話劇といいますか、そういった作品に参加するのも夢のひとつだったので、すごく嬉しかったです。

アフレコでは“喋っている”感覚を大切に

──第1話で印象的だったことはありましたか?

鈴代:第1話は、どちらかというと「この作品はこういう空気感なんだ」と掴む回だった印象ですね。最初にメインキャラのほとんどが登場するので、例えば演出面でここが特別だった、というよりは、まずベースとなるキャラクターの立ち方や作品の温度感を知る回だったのかなと感じています。「こういう演出の面白さがあるんだな」と強く感じたのは、どちらかというと2話以降かなと思います。

──アフレコ全体を振り返ってみるといかがでしょうか。

鈴代:本当にすごく楽しかったです! シリーズを通して、総作画監督を立てておらず、各話ごとに作画監督が立たれているつくりになっていると伺いました。各話の演出担当の方が思い描くぼたん像や、何を見せたいのか話数ごとにそれぞれ色があって、とても印象的でした。

それがバラバラに見えるわけではなくて、あくまでひとつの作品の中で、いろんな表情を見せてくれるんです。服を変えていくような感覚にも少し近いのかなと思いました。

そのため、掛け合いのテンポ感も全話を通して完全に統一されているというよりは「今回は間を大事にしているんだな」「今回はテンポよく進めていく回なんだな」と、それぞれに違いがありました。それが自分の中ではあまり経験のない感覚で面白かったです。

でもよく考えると、日常でも毎日同じテンポで話しているわけではないですし、同じ相手と話していても、その日の気分や天気、コンディションによって全然変わるじゃないですか。そんな実感と結びつけていくと、会話としてすごく自然なんです。映像面でのクリエイターチームの演出と、キャストのお芝居から生まれるライブ感が、うまく噛み合っていったらいいなと思いながら収録していました。演じているというより、“本当に喋っている”感覚に近かったですね。

──実際、女子トークをそのまま覗き見しているような感覚があります。

鈴代:セリフ回しも、何気ない日常のシーンをあえて丁寧に入れている印象があって。当たり前のようでいて、何にも代えがたい大切な時間を丁寧に描いている作品だなと感じています。どこまで自然にお芝居できるかを意識していました。

現場でも「多少ボールド(※)からこぼれてしまってもいいので、そのとき感じたままにやってみてください」といったディレクションをいただくことがあって。すごくありがたい環境でした。

※アフレコ時、発声タイミングを指示するために表示されるマーク

作品を通して、お酒とその文化が“特別なもの”に

──ちなみに、シラフのぼたんとお酒を飲んだときのぼたんでは、演じ分けのスイッチや意識の違いがあったり?

鈴代:ぼたんはやっぱり、お酒を飲むと大胆になる印象があります。普段はどちらかというと「ちゃんとしなきゃ」と思っている子だからこそ、酔ったときに少し崩れる感じが魅力だと思っていたんです。なので、そのふたつにしっかりとした差が出るようには意識していました。

酔っているときは「今は酔っているから、普段なら言わないことも言える」という感覚を大事にしました。テンションが上がって声も少し大きくなったり、距離感もぐっと近くなったり。シラフだったら絶対に言わないようなことを、さらっと言えてしまうんですよね。「してやったり」みたいな感覚というか(笑)、そういう部分はちゃんと活かしていきたいなと思って演じていました。

──どちらのモードのお芝居も楽しそうです。

鈴代:楽しいです! 普段の自分だと、酔ってもいわゆる“決め台詞”みたいなものって、なかなか言わないじゃないですか(笑)。

──そうですね。逆に、酔ってくると「ちゃんとしなきゃ」と思ってしまうところがありませんか。律してしまうというか。

鈴代:私はまさにそういうタイプなんです。でもぼたんは、そういう一歩踏み込んだ言葉を自然に言えるキャラクターなので「ここはぼたんに乗っからせてもらおう」と思って、楽しみながら演じていました。実際にその言葉を受けたときのいぶきの反応も見て「今、ドキッとしてるな」と感じたり。そういう掛け合いも含めて楽しかったです。

──皆さんとの掛け合いの中で、印象に残っていることはありますか?

鈴代:皆さん本当に自然に、すっとマイク前に立っていらっしゃる印象がありました。強いインパクトを受けたというよりは、その場にナチュラルに存在している感じだったんです。なのでこちらも“投げて、受けて”というよりは、ただ会話をしていく感覚に近くて。それぞれのキャストさんの自然な空気を受け止めながら、自分もそのまま返していく、という雰囲気でした。

ただ、それぞれのキャラクターには当然いろんな思惑があります。ぼたんは比較的それが表に出やすい子でもあるので、組み合わせによって空気感がかなり変わるんですよね。そこもすごく面白いところだと思います。

多くのキャラクターが登場するのに、誰がどんな子かわかりやすいというところも魅力的だと思っています。それでいて、いわゆる“アニメっぽさ”に寄りすぎていない。その絶妙さが、この作品の魅力なのかなと思います。

──たしかに、余白がある作品ですよね。いまどきのアニメには珍しいような……。

鈴代:確かに昨今珍しい作品なのかも…!情報量が多すぎないからこそ、受け手が考える余地がある。「今の言葉ってどういう意味だったんだろう」と思う瞬間もありますが、それをあえて説明しない。すべては語らないという余白が、おしゃれさにもつながっていると思います。

──そのなかで、実在する場所やお酒に関して、とても丁寧に汲み取っていて。

鈴代:お酒などの許諾もスタッフさんたちが頑張って取ってくださっていて、実在のものがほぼそのまま活かされているんです。個人的には、IPA(ビールの一種)をまだ飲んだことがなくて気になっています。炭酸がそこまで得意ではないのでビールは少しハードルが高いのですが……(笑)。ほかにも「秩父麦酒」や「六代目百合」も気になっています。「六代目百合」に関しては「そんな名前のお酒があるんだ!」ってついつい調べてしまいました。

いぶきが解説してくれるお酒の話も「そうなんだ……!」と思いながら、ぼたんと同じような感覚で知っていく部分がありました。お酒がたくさん置いてあるお店に行くと、つい作中に出てきたものを探してしまいますね。

あと、読み方が難しいお酒も意外と多くて(笑)。毎回「これはどっちの読みなんだろう」と思いながら確認していました。そんな細かいところも含めて、お酒の世界に触れていくのがすごく楽しかったです。

それと、バーやたばこ、音楽や映画などのカルチャーの描写も出てきたりするのも特徴です。お酒だけにとどまらず、少し大人の世界に踏み込んでいく感じがあるんですよね。この作品を通して、お酒やその周辺の文化が自分の中でより特別なものになった気がします。

──ちなみに、本作に登場する十万石まんじゅうは食べられましたか?

鈴代:はい! キャッチコピーの通り、めちゃくちゃ美味しかったです!

──「うまい、うますぎる」ですね(笑)。これから先、さらにいろいろなアイテムやスポットが登場しそうです。

鈴代:ちなみに、これから出てくるお店のオーナーさんや店員さんを演じるキャストさんもとても豪華なので、合わせて楽しみにしていてください。「そんなバーがあるなら行きたい!」と思うようなキャストの皆さまです!

──ところで、女子寮が舞台という点については、どのように感じましたか?

鈴代:学生のお話でありながら、いわゆる“学校”がメインではなくて“寮”が中心になっているところがすごく特徴的だなと思いました。私服でどこかに出かけたり、夜の街に出るようなシーンも多いので、日常の延長にある物語としての魅力がありますし、寮だからこそすぐに会える距離にいるという近さに、どこかファミリーのような空気感もあって良いなって。「私も入りたいな〜!」って思ってしまいます(笑)。

そこからさらに外に出て、自然の多い場所に行くこともあるので、ロケーションの変化も含めて、映像的にも楽しめる作品になっていると思います。

さらに、寮で暮らすそれぞれのキャラクターがちゃんと“自分の生活”を持っているんですよね。各々の設定がただの背景ではなくて、物語の中に活きてくるところもリアリティがあっていいなと感じています。

余白とそれぞれの関係性を余すことなく味わってほしい

──第1話では鈴代さんがエンディングテーマの「感情グラス」を歌われていますが、毎回違う方が歌われるとお伺いしました。

鈴代:すごくしっとりとした楽曲になっています。皆さんの歌をそれぞれ映像で拝見しましたが、同じ曲だけど歌う人によってこんなにも雰囲気が変わるんだ!と驚きました。

イントロは氷が溶けていくような音から始まりますが、それが作品の雰囲気にぴったりで。最初に聴いたときからずっと印象に残っています。本編が余韻の残る終わり方をする回もあるのですが、そこからエンディングに入る流れが本当に綺麗なんです。絶対に最後まで見てほしいなと思っています。

──しかもエンディングムービーは、全話異なるバージョンで、すべてキャラクターデザインの吉成 鋼さんおひとりで手掛けられたとか……。

鈴代:最初にうかがったとき、冗談かと思いました(笑)。同じ楽曲でもその回ごとに見え方や感じ方が変わるんですよね。描かれるキャラクターや物語によって、曲の受け取り方も変わっていくので、通して見るとさらに心に響くと思いますし、私も思わず泣いてしまいそうになったこともありました。

──そんな『上伊那ぼたん』の世界において、鈴代さんが気になっているキャラクターを教えてください。

鈴代:すっごく迷うのですが……郡上先輩でしょうか。一番“人間味”があるキャラクターだなと感じています。見た目はもちろん、寿 美菜子さんが演じられていることによって落ち着いたお姉さん感があるのですが、実はちょっと子どもっぽい部分もあるんですよね。そんなギャップも魅力的だと思っています。

不器用だけど一途で、見ていて胸がきゅっとするような瞬間もあって「みんな好きになっちゃうだろうな」って思っていました。気持ちも理解しやすいので、自然と応援したくなるキャラクターです。郡上先輩には幸せになってほしいですね(笑)。

──物語が進むにつれて、それぞれのキャラクターの印象も変わってきそうですね。

鈴代:第1話の段階ではまだ入口に立ったところなので、郡上先輩もこれからどんどん変化していくと思います。ぜひその点も楽しみにしていただけたら嬉しいです。

それと、ジンランちゃんがすごく可愛くて! 海外から来たキャラクターが入ってくることで、また空気が変わりますし、河瀬茉希さんが演じられることでジンランちゃんのかわいさが限界突破しています。ぜひ登場を楽しみにしていてもらいたいです。

──他にも楽しみにしていてほしいところはありますか?

鈴代:やはり、この作品ならではの“余白”の魅力が、アニメになることでさらに活きてくるんじゃないかなと思っています。セリフでは説明しないけれど、絵や演出で魅せる。その空気感を映像でどう表現していくのかを楽しみにしていてもらいたいです。ひとりのファンとしても楽しみにしています。

また、ぼたんといぶきの関係という視点では、お揃いのものだったり、仲がいいからこそのちょっとしたやり取りだったり、女の子同士ならではの距離感が丁寧に描かれています。そのような描写の解像度が高くて「塀先生はどこからこのリアリティを持ってくるんだろう……?」と思うくらいでした(笑)。ぼたんだけでなく、それぞれのキャラクターにフォーカスが当たる場面もありますし、そのときの演出が本当に素敵なので、そうした細部まで含めて楽しんでいただけたら嬉しいです。

──お話を聞いて、第2話以降の展開がより楽しみになりました。

鈴代:いぶきとぼたんの関係性が、比較的早い段階で少しずつ変化していくんですよね。ただ、それがすごくストレートに進むわけではなくて、どこか駆け引きのようにも見える……“良いモヤモヤ”がずっと続いていく感じがあるんです。それこそ、お酒でいうと“つまみ”みたいな感覚で楽しめる作品というか「これを見ながら呑めるな」と(笑)。金曜の深夜にぴったりな作品だなと感じています。

──お酒と一緒に楽しみたくなりますね。

鈴代:私も「一緒に飲みながら見たいな」と思っています。最高に酔っ払ってしまいそうですが……(笑)。

それと、原作から少しニュアンスが変わっているセリフもあります。たとえば、あるシーンで原作では「みんなで飲みましょうね」というニュアンスだったところが、アニメでは少し解釈が変わっていたりしていて。原作を読んでいる方も「こんな捉え方もあるんだ」と楽しんでいただけると思います。まさに“飲み比べ”のように味わっていただけたら嬉しいですね。

──鈴代さんが第2話以降、アニメのお供としておすすめするお酒はありますか?

鈴代:えーーーっ難しい……! 第2話か……。もしお酒が飲める方でしたら、さっぱりしたモヒートのようなものを飲みながら見ていただくのもいいかもしれません。モヒートからのウイスキー、という楽しみ方も素敵だと思います。

金曜の夜に、少しだけ自分の時間を持ちながら、この作品の空気に浸っていただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします!

【インタビュー:逆井マリ 編集:西澤駿太郎】

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