明石の海の幸と〆のごはんに感動!隠れ家的名店『明石kinomi』で心づくしのひととき 明石市
明石駅から少し歩いた静かな海沿い。ふと見過ごしてしまいそうな場所にある『明石kinomi』(明石市)は、知る人ぞ知る隠れ家のような一軒。
迎えてくださったのは木之前さんご夫婦。おふたりが切り盛りするこのお店の夜のメニューは、5,500円のおまかせコースひとつだけ。明石の魚と地産の野菜を丁寧に仕上げた料理7〜8品と〆のごはんを楽しむことができます。
「おまかせコース」と聞くと少し身構えてしまいますが、ここで提供される魚はその日仕入れた明石のものだけを使用。あえてメニューを固定していないことで、その時々の本当においしい明石の魚を味わってほしいという店主の思いが込められています。
扉をくぐるとはじめて来たのになぜか懐かしい気持ちになる…そんなほっとするような空間。実はご主人、魚が好きすぎて前職を辞め、魚屋や和食店で修業した経歴の持ち主。お話する姿は穏やかで気さくですが、カウンターに立つ姿は真剣そのもの。
「魚自体の鮮度やおいしさはもちろんですが、漁師さんをはじめ、漁協で働く人全員が魚をとても大事に扱っているのが明石の魚のおいしさの秘密だと思います」と語る木之前さん。さらに漁やセリで疲れた魚を水槽で1日休ませる「活け越し」を行い、魚のストレスを極限まで取り除いて調理しているんだとか。
この日最初に登場した「メゴチとトマトの胡麻酢和え」は、旬を迎えたメゴチの甘味を胡麻の香りと爽やかな酸味が引き立たてる夏らしい一品。
お次はヒラメ、メイタガレイ、タコの3種をお造りで。力強い歯応えと甘み、噛めば噛むほど感じられる旨味は明石の魚ならではです。
お酒にもこだわっており、地元の銘柄やその時期においしい日本酒を常時10種類ほどラインナップ。好みを伝えると選んでくれるのはもちろん、メニューに合わせておまかせで提案もしてくれますよ。
次に登場したのは特に常連さんにも人気だという「なめろう」。この日は新鮮な「活け鯖」を卵黄やみりんなどを加えた"たま味噌"で和え、サッと炙った明石のりで巻いていただきます。
鯖のきめ細かく滑らかな脂、そして明石のりの豊かな磯の香りに、すぐ近くに広がる明石の海を感じられる逸品です。
どの料理も丁寧に作られているが伝わる印象深いものばかり。食材や器の美しさも相まって、目でも舌でも季節や素材のおいしさを感じ、しみじみと"いい夜"を過ごせている感覚に。
ほかにも柔らかな食感とたこの旨味が口いっぱいに広がる「明石だこの柔らか煮」などが登場し、身も心も満たされてきた頃。最後に味わえるのはお客さんからも喜ばれるという〆のごはんです。
直接農家へ赴き出会ったという多可町のお米を、注文を受けてから土鍋で炊き上げ。炊き立てのツヤツヤごはんは3種類から好きな食べ方を選べるのですが、おかわりもOK!なんと「(3種類)全部でも大丈夫ですよ」と奥さまが笑顔でひとこと。
お供に添えられた「鯛の昆布締め」や「佐用町の納豆」、「佃煮」や「ぬか漬け」と握りたてのほかほか塩おむすびとともに思い思いに楽しみながら、お味噌汁を一口。
予想をはるかに上回るおいしさに驚いていると「今日登場したすべての魚のあらを出汁として使用しているんですよ」とご主人。鮮度が高いからこそ臭みが全くなく、純粋な旨味が溶け込んだお味噌汁に、思わず「おむすびやお味噌汁ってこんなに感動するものだったっけ?」と心の中でつぶやいてしまうほど。
明石の新鮮な魚を主役に、一品目から〆に至るまでこんなにも心づくしに溢れて5,500円というのは正直驚きです。お財布的には「ちょっといい夜ごはん」の感覚で、記憶に残る幸せなひとときが過ごせそう。
日曜日のみ営業しているランチタイムでは気軽に味わえるお得なミニコース(2,800円)と天丼セット(1,500円)を提供中で、夜の予習に訪れるのもよさそうです。お店の訪問は予約がおすすめで、公式instagramや電話にて受け付けています。
たっぷり満たされた帰り道、ふと「あ~また来たいな」と本音がぽろり。明石の海の恵みとご夫婦のあたたかな手仕事に、心から癒されたひとときでした。
場所
明石kinomi
(明石市本町2-10-3米沢ビル南)
営業時間
17:00~22:00
毎週日曜限定ランチ 11:30〜
定休日
不定休
駐車場
周辺コインパーキング有