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アラスカの凍土から出た犬のフンから数百年前の犬の食事内容を分析

わんちゃんホンポ

遺跡から発掘された犬に関する出土品

近年、遺伝子解読や質量分析法などの技術の発達のおかげで、かつてはわからなかった考古学上の証拠の詳細が明らかになる例が増えています。

動物考古学もその例に漏れず、中でも犬は人間との関わりが深いため、犬の生活を分析することに多くの考古学者が関心を寄せているそうです。

この度、イギリスのヨーク大学の考古学者の研究チームがアラスカ南西部の遺跡の調査発掘中に出土したサンプルを分析した結果を発表しました。

この遺跡は西暦1300年から1750年頃にかけて存在していた集落で、出土品には犬に関するものが多く含まれていました。例えば、草を編んで作られたソリ犬用のハーネス、犬の骨、犬の毛、犬についていたと思われるシラミまでが良い状態で保存されていたのだそうです。

犬のフンから食事内容を分析

回収されたサンプルの中でも、研究者たちが注目したのは凍土の中で冷凍保存されていた犬のフンでした。研究チームは最新の技術を使って、犬のフンからタンパク質を抽出することに成功。犬が食べていたものだけではなく、犬自身に由来するタンパク質も検出されました。

犬に由来するタンパク質とは消化や代謝に関連するもので、このことからサンプルの糞便が確かに犬の消化器官を通過したものであることが分かります。また当時の犬の消化管の生理学や疾患、腸内微生物叢の組成や機能を知る手がかりになる可能性もあるとのことです。

犬たちが食べていたものは、この地方で獲れる数種類のサケ科の魚の筋肉、骨、内臓などがメインだったことが分かりました。またサンプルの1つからはイヌ科動物の骨片も見つかっており、ソリ犬たちが犬の肉を食べていたことを示しました。

アラスカの犬はソリ犬として働く冬の間の食料はほぼ全てを人間から与えられていました。犬たちが食べていたものは人間の食生活との共通点も多いと考えられます。夏の間、犬たちは放し飼いにされ、狩りなどで自力で食べ物を調達していた可能性もあるそうです。

このように犬のフンに含まれるタンパク質を抽出分析することで、犬を飼っていた人間の生活や、犬と人間の関係性までが推測できるというのは興味深いことですね。

研究結果から一般の飼い主が考えたいこととは?

このように何百年も前の犬の食事内容を分析することで、犬の食生活、疾患、そして飼い主である人間の生活にまで手がかりが得られます。

では私たち一般の飼い主が、このような研究の結果を聞いた時に考えておきたいことは何でしょうか?それはそれぞれの犬種の先祖たちが代々食べて来たものは何だったのか?と考えるきっかけになるということです。

この研究は250〜700年前という比較的新しい時代のことですが、同地域の犬たちの食生活はそれ以前も大きな違いはなかったと思われます。アラスカなど北極圏でソリ犬として育種されていた犬種は、魚を中心に動物性タンパク質を多く食べて来たことが分かります。

以前の他の研究で、4000〜5000年前のヨーロッパでは犬は肉の他に乳製品や穀類、豆類も食べていたことが明らかになっています。

https://wanchan.jp/column/detail/18499

愛犬にふさわしい食事を考える時、犬種の先祖が代々食べて来たものは何か?と考えることは大切な要素の1つです。このような考古学の研究は一般人にはあまり関係のないことと思われがちですが、意外に愛犬のための身近なヒントが隠れているかもしれません。

まとめ

アラスカの凍土から発掘された250〜700年前のソリ犬のフンからタンパク質を抽出し、当時の犬が主にサケ科の魚を食べていたことが分かったという研究結果をご紹介しました。

最新の技術が遠い昔の人々や犬の生活を明らかにしていくというのは興味深いことです。
「オオカミの食生活に近い食べ物が犬にも理想的」というのはドッグフードの広告などで時折見かける言葉ですが、実際に過去の犬たちが食べていたものが明らかになると決してそうとばかりは言えないことが分かりますね。

《参考URL》
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.0020

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