「青さ」を抱えた虎杖と「熱」を愛する秤の対比――TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」連載インタビュー第9回:虎杖悠仁役・榎木淳弥さん×秤金次役・中井和哉さん
『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」が、2026年1月8日(木)より放送中です。
放送にあわせ、アニメイトタイムズでは連載インタビューを実施。第9回は虎杖悠仁役・榎木淳弥さん×秤 金次役・中井和哉さんの対談をお届けします。
「熱」を重視する秤について、自分とは真逆のタイプだと語る中井さんの距離感。さらに、等身大の若者として描かれる虎杖の青さや、『呪術廻戦』らしい人間関係が生む独特の空気感について。実写映像を用いた収録の裏側、互いの演技へのリスペクトも含めて、たっぷりと語っていただきました。
【写真】TVアニメ『呪術廻戦』第3期 榎木淳弥と中井和哉が語る、虎杖と秤の対比【インタビュー】
秤が愛する「熱」、あの頃を想起させる虎杖の「青さ」
ーー第6話まで放送され、世間の盛り上がりも高まっていますね。
虎杖悠仁役・榎木淳弥さん(以下、榎木):第1話、2話は先行上映もされていましたが、劇場で観るのと、TVで観るのは感覚が少し違いますね。映像の迫力も含めて、純粋に視聴者として楽しめました。
OP映像はTV放送で初めて観たんですが、すごく凝った作りになっているなと。SNSでもかなり話題になっていて、ファンの方が考察したり、広めたりしてくれる。それ自体が、すごいことだと思います。
ーー第5話から中井さん演じる秤 金次が登場しました。榎木さんから見た秤はどのようなキャラクターでしょうか?
榎木:今の段階で言うと、自身でも言及しているように「熱があるかどうか」という価値観をすごく大事にしている人だと思います。
一見、熱いキャラには見えないんですけど、「熱」を重要視している。そこが格好良いところでもあり、感情移入しやすいキャラクターという印象があります。
秤 金次役・中井和哉さん(以下、中井):演じている僕からすると、真逆のタイプなんですけどね(笑)。
榎木:なるほど。感情移入しない、真逆だからこそ演じられる、という部分もあるのかもしれないですね。個人的には、どこか親しみを持てるキャラだと思います。
ーー実際に中井さんの声や、アニメのビジュアルになった秤を見て、イメージが変わったところはありましたか?
榎木:そういう感覚はなかったですね。もはや漫画を読んでいても、もう中井さんの声が聞こえてくるようで。
中井:(榎木さんは)そんなことを言う人だった……?(笑)
榎木:本心ですよ(笑)。でもたしかに、中井さんご自身の性格とは全然違いますよね。すごく控えめな方だという印象です。
中井:そうでしょう!?
榎木:控えめであるということへの自信がすごいですね(笑)。だから、秤とは全然違うんですけど、声としては本当にピッタリだと思います。
ーーでは逆に、中井さんから見た虎杖はどんなキャラクターですか?
中井:「主人公らしからぬ」というと言い過ぎかもしれないですけど、普通の生活を送っている「人間」という印象ですね。『呪術廻戦』って、バトルも激しいし、派手な作品なんですけど、ベースにあるのは学校だと思っていて。
榎木:呪術高専が舞台ですしね。
中井:そうなんです。いわゆる「バシッと決める主人公」みたいな、わかりやすいカッコよさを避けようとしているような印象があります。榎木さんの感覚としてはどうですか?
榎木:そういう意識はあります。
中井:榎木さんの演技にしても生々しい若者がそこにいる、という印象でした。
榎木:そういう部分を狙いすぎると、いやらしく聞こえてしまうので、難しいところです。自分が感じたことを、自然に乗せられるようにしたいですね。
ーー中井さん的には、秤より親近感があるというか、感情移入できますか?
中井:感情移入というよりは、いろんなことを思い起こさせる存在かもしれません。「こういう気持ちになったこと、昔あったかも」みたいな。
ーー虎杖は若者らしいと思いきや、すごく大人びたところもあります。
中井:そうですね。ちょっと無理な考え方をしている瞬間も含めて、「わかる気がする」と思えるキャラクターです。
一方の秤は、あけすけなんです。誇張もしないし、格好もつけないというか、「思っていることを言っている」というイメージが強い。だからこそ、あまり近寄りたくないと思う部分もあるし、羨ましくもあります。
『呪術廻戦』らしい距離感
ーー先輩・後輩の関係でもある虎杖と秤の関係性について、どのように捉えていますか?
榎木:正直、あまり考えたことはなかったですね。ただ、すごく仲良くなる感じでもない気がします。
基本的に『呪術廻戦』は人間関係の描き方が淡いと思っていて。それが芥見先生の作風でもあると思うんですが、秤と虎杖に関しても、強い絆などの描写は描かれていない。性格的に似ている部分はあるかもしれないですけど、ベタベタしない距離感が、この2人らしいです。
中井:何かひとつのことに対して、「俺もそう思うぜ」みたいな共有ができる関係ではないですよね。実際に振り返ってみると、学校の先輩と後輩ってそんな感じだった気がします。虎杖って、先輩にはなんやかんや丁寧語を使ったりする人じゃないですか。
榎木:そうですね。
中井:そういう意味では、普通の人間関係として良好という感じ?
榎木:虎杖にとっての五条 悟も大切な存在ではありますけど、師弟関係かと言われると、そうは見えない。伏黒や釘崎との関係性にしてもそういう見方ができるかもしれません。
第49話(第3期2話)で虎杖と伏黒が釘崎についての言葉を交わすシーンについても、「大切な家族が亡くなった」みたいな感情とは違う気がしています。愛情や友情というシンプルな関係ではないように思えるのが面白いところです。
ーー第53話(第3期第6話)では、秤と虎杖が殴り合うシーンの「俺は部品だ」というセリフも印象的でした。
榎木:ある意味で、まだ分かってないんですよね。本当はそうじゃないかもしれないのに、「虎杖がそう思い込んでいるだけ」という可能性もあると思います。
中井:「俺は部品だ」と言い切れてしまうところに、彼の青さも感じますよね。一方の秤は「奴らが憎んでいるのは賭け事ではなく“敗北”と“破滅”だ」といったセリフのように、ある種達観した感じもある。僕ら自身は虎杖の身に起こった惨状を見ているから、「すごい経験してきているんだな」ってグッときますけどね。
ーー中井さんは『呪術廻戦』の現場に初参加となりました。改めて第3期のアフレコについてもお聞かせください。
榎木:今回は不思議でしたよね。アフレコ用の絵コンテ映像に一部実写のものがあって。
中井:ありましたね。
榎木:「なんだこれは?!」みたいな感じで収録した気がします。
中井:この作品でも、やっぱり珍しいことなんだ。
榎木:キャスト含めてアニメスタッフさんの方で本番の映像をイメージするために実写描写で説明してくださっているんだと思いますが珍しいですね。
お互いの芝居の魅力を語る
ーーお互いの演技を聞いて、「これは真似できないな」と思った部分をお聞かせください。
榎木:中井さんは圧倒的に先輩なので、基本的に全部がすごいなという感じではありますが(笑)。
多分、僕とは違うタイプの方というか。性格的な部分も含めて、役の作り方が違うんだろうなって。そういう意味でも、毎回新鮮ですし、すごく責任感を持って作られている感じがします。
中井さんとは、以前吹き替えの現場でご一緒したことがあって。そこでの演技を聞いても感じました。それでいてハイレベルなことを、普通にやられている。一見、その凄さが分からないようになっているというか。難しいことを簡単にやるって、凄まじいことだと思うんです。野球で例えると、僕はまだ「普通に取れるフライをダイビングキャッチしちゃう」ことがたまにあるので(笑)。そういうところが、やっぱりすごいなと思います。
ーー中井さんはいかがでしょう?
中井:これは中々大変な質問ですよ……。
ーー面と向かっては言いにくいですよね(笑)。
中井:榎木さんとは、その吹き替えのお仕事の時に初めてちゃんとお話したのかな?
榎木:そうですね。別の現場でも一緒になったことはありましたけど、お話したのはそこだったと思います。
中井:実は『呪術廻戦』のアニメを見て、(榎木さんに)興味津々だったんです。
榎木:本当ですか!?
中井:濃いキャラクターが次々に登場する中で、それに対抗して濃くしないまま、ちゃんと虎杖が粒立っているじゃないですか。いろんな要素があるんですけど、主役の在り方として、すごく新鮮に感じたんですよね。「面白い方がいるなあ」と思って。別作品の現場では、僕にしては頑張って馴れ馴れしくしました。
榎木:たしかに、中井さんからお話してくださったのを覚えています。
ーー最後に、今後の放送を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
中井:今後は『呪術廻戦』という作品全体のカラーが、今までとはちょっと違う方向に振れていくと思います。
皆さんが楽しみにしているキャラクターも登場しますし、僕自身も、アニメでどう描かれるのか楽しみでいっぱいです。ぜひ一緒に楽しんでいただければと思います。
榎木:ここから「死滅回游」に入っていきます。新しいタイプの呪術師が出てきますし、術式も今までに見たことのないものばかりです。
ここまでは虎杖がピックアップされてきましたけど、これからは他のキャラクターの活躍も描かれていくので、期待していただけたらと思います。
[インタビュー/タイラ]