郷土史料館機関紙 『柿生文化』が200号 地域の歴史 伝え続け17年
市立柿生中学校(麻生区)の敷地内にある柿生郷土史料館の機関紙『柿生文化』が、1月1日の発行号で第200号に達した。同館支援委員会委員として長年発行に携わっている小林基男さん(82)に、200号を迎えた思いや、創刊当初の様子、今後の展望などを聞いた。
開館の原動力
柿生郷土史料館は、麻生区柿生、岡上地区に残る貴重な文化財を守り、地元で展示、公開しようという趣旨のもと、2010年の柿生中改築に合わせて開設された。その開館に先立ち、08年7月18日に創刊したのが『柿生文化』だ。同じく開館前から続けていた講座「カルチャーセミナー」と合わせて、機関紙を発行することで同館設立への機運を高めていったという。小林さんは「機関紙の発行は、史料館の開館という大きな目標に向け、原動力になっていた」と意義を語る。
「創刊当初は柿生中におんぶにだっこだった」と小林さん。当時は予算もなく、同校の輪転機を借りて印刷。紙も学校の備品を使用していたという。小林さんは「記事も、初代支援委員長の連載以外は、当時の校長先生をはじめとした中学校の先生方に寄稿していただく形だった」とかつての様子を振り返る。
途切れず発行
レイアウトなどの試行錯誤を重ねながら、地域の歴史を知る人からの寄稿や、同館に展示されている史料の紹介などを掲載してきた。現在は、同館の運営に携わる約20人の支援委員のうち、小林さんを含む5人の専門委員が中心となり、編集、執筆を行っている。
12年3月の第46号からは、毎月1日に発行日が定着。同館の情報・研究誌として、近隣町会への配布や、麻生区役所、麻生市民館といった公共施設での配架などを通じて地域住民に郷土史を伝え続けている。小林さんは「なんとか途切れずに発行を続けられている」と胸をなでおろす。
課題は会員減少
小林さんは「代替わりなどのタイミングで歴史的な史料を手放す家が増えてきている。価値のあるものかどうか確認できる、相談の場でありたい」と施設の在り方について思いを語る。
一方で同館の運営を資金面で支える「友の会」会員の減少による、財政的な不安も残るのが現状だ。「これからも活動ができるよう、支えてくれる人が増えていけば」と期待を込める。
『柿生文化』は同館で手に入る。偶数月の毎週土曜、奇数月の毎週日曜の午前10時から午後3時に開館している。また、過去の発行号は同館ウェブサイト(【URL】https://kakio-kyoudo.jpn.org/)で閲覧可能。問い合わせは小林さん【携帯電話】080・5513・5154、または同館【携帯電話】070・1503・6401。