道民熱愛のカップやきそば、50年目の〝袋〟化 「やきそば弁当」ソースの本領発揮でマニアも驚くウマさに
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百六十六回 東洋水産「やきそば弁当」の袋麺と「キャベツ・肉50%増量」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百六十六回目となる今回は、東洋水産の「やきそば弁当」ブランドの商品、「袋 やきそば弁当 中華スープ付」と「やきそば弁当 キャベツ・肉50%増量」を紹介します。
「やきそば弁当」は1975年発売。今年50周年を迎えました。
発売当初は全国発売されていましたが現在は北海道限定となっており、戻し湯で作る「中華スープ」付が大きな特徴となっています。
1975年発売の同期は「赤いきつねと緑のたぬき」の前身である「カップきつねうどん」や「カップ天ぷらそば」で、東洋水産で定番と呼ばれる商品はほぼ全て後輩。
ライバル日清食品でも「チキンラーメン」や「カップヌードル」はさすがに少し先輩ですが、「どん兵衛」や「UFO」は1年後輩です。
今回紹介する2品は、「やきそば弁当」発売50周年を記念して発売された商品で、特に袋麺は面白い存在ではないでしょうか。
袋麺をカップ麺化することはよくあり、「サッポロ一番」とか「中華三昧」、最近だと「正麺」なんかもそうですが、今回のようにカップ麺を袋麺で再現するのは珍しいのです。
最近ではカップ麺の「ラ王」がライバル「正麺」の登場によって袋麺化されましたが、他ではあまり見ない動きとなっています。
「袋 やきそば弁当 中華スープ付」食べてみた
まずは袋麺、「袋 やきそば弁当 中華スープ付」。5食入りパックと1食単体が販売されています。
昔は、焼そばといえば袋麺が定番の時代がありましたが、最近はその地位をカップ麺が取って代わっています。
それでも日清食品の袋麺「日清焼そば」は現在も相変わらず定番商品であり続けており、東洋水産も「正麺」や北海道限定の「やきっぺ」といった袋麺の焼そばが現行商品として発売中です。
「やき弁」の袋麺は、カップ麺の味の再現性を重視するか、あくまでおいしさを重視するかで評価は異なると思われますが、東洋水産は袋麺の実績があるので期待して良いのではないでしょうか。
内容物は、別添袋は2つと麺。
いつもの「やき弁」に入っている「かやく」はありませんが、「ふりかけ」や「スープ」はきちんと付いていました。
作り方は、フライパンにお湯を沸騰させ麺を投入し、ほぐしきったら火を止めてソースを混ぜ合わせて完成。
袋麺の焼そばはみんなだいたい同じような作り方です。
また、いつもの「やき弁」では麺の戻し湯で「中華スープ」を作りますが、今回は調理工程で戻し湯が発生しないので、普通のお湯で作ります。
戻し湯スープとの違いは...
フライパンで調理した焼そばと中華スープ完成。
かやくが入っていないので肉や野菜を自分で用意する必要がありますが、今回は特に何も用意せずに、もともと入っているもののみで調理します。
入れるものによって味が変わってしまいそうなので敢えて用意しなかったのであって、決してめんどくさかったわけではありません。
スープは戻し湯ではなくお湯で作りました。
いつもとは少し味が違う印象。というのも、いつものスープはほぼ中華感がなく塩辛さが目立ちますが、今回は多少中華味がきちんと感じられるのです。
雑味なくスッキリしているように感じられるのは、戻し湯を使っていないためでしょうか。
スープは戻し湯よりお湯で作る方がおいしいかもしれません。
いつもより香りや甘みが強く感じられるソース
麺に絡めるソースは、具体的に何とは言えないものの、野菜や果物の風味が感じられる甘めの味。
「UFO」や「一平ちゃん夜店の焼そば」など他の定番カップ焼そばに比べてあっさり系のおとなしい味です。
ソース自体は通常の「やきそば弁当」と同じソースが使われているのではないかと思うのですが、「袋」では別物感すら漂う味わい。風味に抜け感があり、甘みも強く感じられました。
いつものカップ麺の「やき弁」は麺の油揚げ麺臭が強く、ソースの味がわからなくなってしまうのに対し、「袋」の麺は油揚げ麺臭が穏やか。おかげで、ソースの味がわかりやすいです。
筆者は幼い頃から「やき弁」の味に慣れ親しんでいますが、「やき弁」のソースがこんなに香りがあって甘かったのかと驚きました。
今回の味が「やき弁」のソース本来の実力なのではないでしょうか。
そのソースにあわせるのが、あおさや紅生姜の入ったふりかけ。
カップ麺の「ふりかけ」に比べるとあおさの割合が高く感じましたが、単なる個体差で実際はカップ麺と袋麺で大きな違いはなさそう。
あっさりめなソースなので、あおさも紅生姜も香ばしくて存在感がありました。
味も食感もカップ麺と異なる油揚げ麺
中細で縮れのついた油揚げ麺。
麺の原材料を見比べるとカップ麺の麺とまったく同じですが、実際食べるとだいぶ印象が異なります。
まず、「袋」の麺の方がひとまわり細く感じました。
そしてつるみがあってップ麺の麺に比べてしなやかな食感。すすり心地とか噛み心地がだいぶ違います。
食感の違いは、いつもの湯戻し調理と違いフライパン調理であること、麺自体もいつもと異なることの両方が影響していそう。
そしてソースのところで触れましたが、麺の味もだいぶ異なっています。
カップ麺では油揚げ麺臭が盛大にのってソースの味を阻害しているのに対し、袋麺の麺はそれほどクセがなくソースの味がストレートに感じられるのです。
また麺とは関係ありませんが、カップ麺で具として入っているチキンダイスが実はソースの味をかなり邪魔しているようにも感じられました。
いつもの麺が入っておらずチキンダイスも入っていない袋麺では、ソースがノビノビと真価を発揮しています。
「やきそば弁当 キャベツ・肉50%増量」食べてみた
続いては「やきそば弁当 キャベツ・肉50%増量」。
50周年でキャベツと肉が50%増量しているのですが、価格は据え置き。
通常の「やきそば弁当」と同じ陳列棚で特に告知なくしれっと置き換わっている店もありました。
「50%」増量を狙って買うなら注意深くパッケージを見る必要がありそう。
いつもの「やきそば弁当」と比べて違うのはキャベツと肉の量だけですが、確かにいつもとは量が違います。
ただ、目立ってボリュームアップしたようにも見えないため、意識して食べなければ見過ごしてしまうかもしれません。
ちなみに通常の「やき弁」はこちら。
キャベツは50%増程度に見えますが、肉は倍増しているように見えます。
これで価格据え置きなら多少のお得感がありますよね。
袋麺はレギュラー商品でもおかしくない
「やき弁」50周年記念で発売された「袋」と「キャベツ・肉50%増量」は、どちらもレギュラー化されない期間限定商品。
しかし、特に袋麺は当たり前にレギュラー商品としてあっておかしくない商品だと思います。ソースの魅力が引き出された、良品でした。
今回、袋麺に具を入れませんでしたが、ソースの味がそれほど濃いわけではないので、野菜を入れるならそれほど多くない方が良さそうです。
筆者:オサーン
カップ麺ブロガー。十数年前に出会った「日清麺職人」のおいしさに感激したことがきっかけでブログを開設。「カップ麺をひたすら食いまくるブログ」で毎週発売される新商品を食べて毎日レビューしています。豚骨スープとノンフライ麺の組み合わせがお気に入りですが、実はスープにごはんを入れて食べるのが最も至福の時です。 X(@ossern)