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建設現場の仮囲いがアート空間に 開発好明さん、森山大道さん二大アーティストの作品が楽しめる 『新宿アートウォールプロジェクト』

歌舞伎町文化新聞

建設現場の仮囲いがアート空間に 開発好明さん、森山大道さん二大アーティストの作品が楽しめる 『新宿アートウォールプロジェクト』

「歌舞伎町一丁目地区開発計画」の一環として、「新宿TOKYU MILANO」跡地に現在、映画館や劇場、ライブホールなどのエンターテインメント施設、ホテルなどからなる高層複合施設の建設が進んでいる。その工事現場をぐるっと囲む仮囲いは今、国内外で活躍するアーティストの作品が掲出されていて、さながら屋外美術館のような空間になっている。

作品は、アーティスト 開発好明さんが手掛ける「Evangelion Styrofoam」と、写真家 森山大道さんの写真作品群「SHINJUKU」。2019年12月から段階的に設置され、2021年4月に四面すべての展示が完了、合わせて全長280メートルに及ぶ「新宿アートウォールプロジェクト」がその全貌を現した。

TSTエンタテイメント(同開発計画の事業主体である東急株式会社、株式会社東急レクリエーションと、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの3社合同で設立)と、ソニー・ミュージックソリューションズが思いを一つに、共同で取り組むこのプロジェクト。展示テーマの意図、街とアートとの関わりになどについて、TSTエンタテイメントの枝村義夫さん、東急 新宿プロジェクト企画開発室 プロジェクト推進グループの河添麻以さんに伺った。

開発好明さんが手掛ける「Evangelion Styrofoam」(向かって右側)。森山大道さんの写真作品群(同左側) ©Khara

編集部:
「再生/新生」をテーマに「新宿アートウォールプロジェクト」を立ち上げられた経緯をお聞かせください。

枝村さん:
新宿東急文化会館(開業当時の名称)には、当時日本で一番大きな映画館だった「新宿ミラノ座」などがあり、半世紀以上に渡って新宿の文化の変遷を歩んできました。テーマにはそのDNAを「再生」し、ホテルとエンタメが融合した新たなビルとして「新生」することへの思いを込めています。工事現場はそこだけ取り残されたような寂しい雰囲気になりがちですが、工事期間中であっても街の賑わい創出に寄与できるような、来街者の皆さんと一緒になって楽しんでいけるようなものを作っていきたいという思いからこのプロジェクトを企画しました。

もともと新宿では区が中心となって、「新宿クリエイターズ・フェスタ」というアートイベントを毎年開催(2020年、2021年はコロナ禍により中止)してきたいきさつもあります。仮囲いを活用し、「アートの街・新宿」を体現できるような常設のアート展示スペースを設けることで、より街を楽しんでもらいたいという思いもありました。

開発さんは1966年山梨県生まれ。ユニークなアイデアのアート作品で90年代から活動。
国内外のアートイベントにも多数参加している。 ©Khara
北面に施された開発さんの作品と、開発さん

編集部:
アーティストはどのように選ばれたのでしょうか。

枝村さん:
新しく建つビルへの期待感も含んだ「エンターテインメント性あふれるアート」を意識する中で、この場所の持つ記憶から一つキーワードとして浮かび上がったのが『エヴァンゲリオン』でした。「新宿ミラノ座」は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』から閉館前の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』までを上映しているだけでなく、旧劇場版と呼ばれる1997年に公開された『新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君に』公開時には、同映画館で撮影された実写映像も使われています。そのため、新宿ミラノ座を聖地としてとらえている一部のファンもおり、ありがたい限りと感じています。

2019年には同館の前にある歌舞伎町シネシティ広場で、フランス・パリで開催された「JAPAN EXPO」からの中継(歌手の高橋洋子さんが『新世紀エヴァンゲリオン』主題歌などを披露)と合わせて、新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の冒頭10分40秒という最新映像を世界同時上映した経緯もあります。国内での貴重な上映会場の一つだったこともあり、この場所が再度聖地のように印象づけられた感じがしていました。そうした背景を踏まえて『エヴァンゲリオン』をモチーフにアート作品を作れないかと考え、大の『エヴァ』ファンである開発さんにお願いしたところ快諾いただき、展示が実現しました。

*開発さんは「映画のスクリーンや絵画のサイズと違って、仮囲いは視覚からはみ出すサイズ」と話す。その上で、長年魅力的な素材として作品に使用してきた発泡スチロールなどの梱包材の形状をモチーフに、『エヴァンゲリオン』の世界観を独自に表現した今回の作品について「どうドラマチックに見せるか考えて、『歩きながら鑑賞する』という体験を目指した。始めに『エヴァ』の全体像が見えて、そこから手が後方に流れていく。その先にプラグがあり、ケーブルの流れが続くというように人の身体と視線を誘導していくように作った。遠景と近景それぞれのおもしろさを身体的な移動で実感してもらえたら嬉しい」とコメントを寄せる。

森山大道さんの写真作品群

編集部:
森山さんはこれまで新宿をテーマにした写真集なども刊行されていますね。

枝村さん:
アートウォールには、写真集「新宿」「ニュー新宿」などから街の姿を切り取った、未発表の作品を含む計29点を展示しています。「新宿クリエイターズ・フェスタ」にもこれまで作品を出展されていて、新宿という街と非常に親和性の高いアーティストでいらっしゃいます。
森山さんの作品群にも『エヴァンゲリオン』のキャラクターが写った写真や、『新劇場版』すべてのテーマソングを歌われているアーティスト・宇多田ヒカルさんの写真が見られます。森山さんは宇多田さんの母・藤圭子さんの写真も撮られているのですが、藤さんは昔、「新宿東急文化会館」にあったクラブ(社交場)のステージで歌われていたことがあるとも伺っています。

森山さんは1938年大阪府生まれ。1968〜70年に写真同人誌『プロヴォーク』に参加、“アレ・ブレ・ボケ”と形容された作風で写真界に衝撃を与え、今なお世界的に高い評価を受ける

枝村さん:
両アーティストの作品は一見バラバラに見えますが、実はこの場所の歴史の中で、相互にいろいろな形でつながりあっています。開発さん、森山さんというお二人だからこそ、脈々と時を刻んできた過去と新しく誕生する建物の未来をアートでつなぎ、「再生/新生」というテーマに込めた思いをアートウォールに表現してくださったように思います。

河添さん:
コロナ禍で大きく告知することが難しい状況であるのは残念ですが、真っ白だった壁がこうしたアート空間になることで街とのつながりを生み出すことができ、良かったと思っています。自分たちにとっても、建設のタイミングからプロジェクトの意味を考えるきっかけになったように感じていますし、ビル竣工後もアートを軸にさまざまな企画を積極的に展開していこうと考えていますので、期待してもらえたらと思います。

森山さんの写真作品群

編集部:
リアルな作品にデジタル技術を組み合わせて楽しんだり、オンラインで鑑賞できたり、新しいアート体験も提案されていますね。

枝村さん:
開発さんの作品は、『エヴァンゲリオン』を制作するカラーさんのご協力を得て、ARカメラアプリをかざすとメッセージが浮き出る仕掛け『シン・エヴァンゲリオン劇場伝言板AR出現計画』を実施しています。コロナ禍でもあるので、遠方の方や現地に足を運べない方にも実際に歩いて見ているような気分を感じてもらえたらと、その味わいを極力再現した特設WEBページも開設しました。森山さんの作品も一点ずつすべて楽しむことができます。また、開発さんの作品はキーホルダーやTシャツなどのグッズ化もしていて、手に取って楽しんでいただけるようになっています。
アートは敷居が高いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、もっと身近に感じてもらえたらうれしいですし、新しく建つビルを発信拠点として、リアル・オンライン含め、アートとエンタメが融合した新しい楽しみ方を提供していけたらとも思っています。

「シン・エヴァンゲリオン劇場伝言板AR出現計画」 ©Khara

取材協力:ANOMALY

関連URL

新宿アートウォールプロジェクト(2022年初夏まで予定)
https://shinjuku-artwall.com/

シン・エヴァンゲリオン劇場伝言板AR出現計画(2022年3月まで予定)
https://ar.evangelion.co.jp/

EVANGELION official licensed by khara「EVANGELION STORE」
「シン・エヴァンゲリオン劇場伝言板 AR出現計画」アイテム
https://store.shopping.yahoo.co.jp/evastore/search.html?p=%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E5%8A%87%E5%A0%B4%E4%BC%9D%E8%A8%80%E6%9D%BF%E3%80%80AR%E5%87%BA%E7%8F%BE%E8%A8%88%E7%94%BB#CentSrchFilter1

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