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松岡充×丸尾丸一郎「メイドインジャパンの演劇で世界に行きたい」ーーVOL.M『UME -今昔不届者歌劇-』劇中音楽にかける熱意語る

SPICE

松岡充、丸尾丸一郎 撮影=松本いづみ

9年ぶりに再始動した松岡充(SOPHIA)と丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)のユニット・VOL.Mが、2月15日(日)の東京・サンシャイン劇場を皮切りに、大阪と和歌山で『UME -今昔不届者歌劇-』を上演する。大阪で行われた取材会に登壇した松岡と丸尾は、現在進行形で進むクリエイティブについて熱量高く語り、「本物の日本の演劇をここで僕らがやると決意してます」と意欲を見せた。SPICEでは、劇中の音楽にフォーカスを当てて話を訊いた。

<あらすじ>
轢き逃げ事件で殺された妻が残した生命保険。
しかし、受取人は書き換えられており、男は保険金詐欺を疑ってキャバクラに潜入する。
謎の保険屋によって手渡された「復讐のシナリオ」には、徳川幕府八代将軍、徳川吉宗の半生が描かれていた。
名君と呼ばれる吉宗には黒い噂が付き纏う。
地方藩主の四男だった吉宗だが、将軍候補が次々と謎の死を遂げ、将軍に登り詰めたのだ。
青梅のごとき月が輝く夜、吉宗に魂を売った男の復讐劇が始まる。
徳川吉宗の虚像と、保険金詐欺事件の実像が交錯する、傑作スリラーが音楽劇となって甦る。

津軽三味線とパーカッションで歌う「引き算」の音楽劇

本公演は、2017年に上演されたVOL.Mの旗揚げ公演『不届者』をベースにミュージカルとして進化させた新たなエンターテインメント作品。松岡は前回同様、主役の梅本/新之助(のちの徳川吉宗)を演じ、脚本・演出を手がける松尾は、天地/光貞を演じる。

今回丸尾は音楽家・劇伴作家のYOSHIZUMIとともに、20曲以上の新曲を創り上げた。丸尾は「音楽劇として引き算をしたかった。まず三味線の音のイメージが浮かび、松岡さんと話すうちにパーカッションがあった方がいいんじゃないか」と音楽劇の構想を語った。

本作では、江戸時代と現代が大胆に交錯する。舞台上でパーカッションと津軽三味線が演奏され、全編を通して津軽三味線が弾かれる和の空間の中で、ロックやヒップホップといった幅広いジャンルの楽曲や、三味線と松岡のボーカルのみという、想像するだけでドラマチックなパートがあることを明かす。

また、キャストには松岡曰く「一人芝居のような漫談に惹き込まれて、歌も上手い」街裏ぴんく、丸尾曰く「彼女をキャスティングしたことでこの作品を世界に開いてくれた」Beverlyといった、歌に精通した実力者が揃う。

松岡は昨年、SOPHIAとしてデビューして30周年を迎えた。これまで様々なステージに立ってきた松岡だが、生三味線で歌うのはレアだ。「津軽三味線は基本的に歌とユニゾンする楽器なんですよ。だから津軽三味線とのデュオみたいな形。パーカッションもリズムを打つだけじゃなくて、場面転換や世界の色を変えるための音色を用意している。僕らは音楽面でも挑戦していますよ、ということは届けたい」と語った。

松岡充がテーマソングを書き下ろし

さらに、松岡の作詞作曲でテーマソングを書き下ろすというスペシャルな報せも飛び込んだ。「作品を左右すると思っています」と気合いを見せる松岡は『UME』の音楽面について、「今出来上がってる楽曲も本当にクオリティが高いんですよ。僕は今まで色んなミュージカルや音楽劇に出演して、著名な音楽監督や作曲者と話をしてきたけど、大体何回もアレンジをする。だけど今回はほとんど1発OKでした。ねじ伏せられた感じ」と大絶賛。しかし、テーマソングはまだ空いているという。「稽古に入って気持ちがどんどん育っていかないと、曲にたどり着けないと思って。でも曲がないと稽古ができないので、今ギリギリのところです。どんな曲になるんでしょう」と笑う。

それを受けて丸尾は「復讐する男の物語だけど、やはり世界にはポジティブなメッセージを残さないといけない。そこがテーマソングにかかっているから、すごく難しいと思います。めちゃくちゃ楽しみです。松岡さんが僕の物語を捉えて考えて、言葉やメロディーで残してくれるというのは、アーティスト冥利に尽きる」と目を輝かせた。

「丸くんは「(脚本で)僕を当て書きした」と言うんですけど、今度は僕が当て書きしようと思ってます(松岡)」「そう思ってたんや(笑)(丸尾)」というやり取りからも、2人の関係性が垣間見えた。

テーマソング以外の楽曲の作詞は全て丸尾によるものだ。初演から8年の時を経て「今なら松岡さんとアーティストとして対等に音楽劇を作ることができるんじゃないか」とチャレンジした歌劇。作詞での苦労はなかったのだろうか。「苦労ばかりです。メロディーがない中で感覚に訴える言葉を置いて、どうそぎ落とすか悩みました。稽古も始まりメロディーがつくと、松岡さんがディスカッションに加わってくれて。「ここは直接的な言葉がいいんじゃない?ここは言葉数少なくていいと思う」と毎日提案をしてくださるので、すごく勉強になります」と興奮したように語った。

歌詞の調整と稽古、台本の修正を同時並行で行なっているとのことで、ハードな様子がうかがえる。そんな丸尾を優しく見つめて「でもそれがすごく心地良くて。みんなの意見を聞きながら丸くんの中で創り上げて、またみんなにフィードバックする。それが面白いし、「クリエイトしてるな」という感じですね」と言う松岡。丸尾も「初日ギリギリまでこの作業が続くと思う。でもそれを楽しみたいです」と晴れやかな顔で述べていた。

最後に「松岡さんは、創ろうとしている作品が本当に目指したいものなのか、疑うことを忘れない。これは作品を創る人は忘れてはいけない感覚だと思うんです。必ず面白い舞台に仕上がっていると思うので、僕たちが足掻いた結果を見ていただけると、とても嬉しいです(丸尾)」「人間として、僕らの作品、叫び、音楽はどう伝わるのか、ということにチャレンジしたい。僕らは「メイドインジャパン」、日本人が創ったもので世界に行きたいんですよ。今作はそれができると本気で思ってます(松岡)」と力強く述べた両者。海外公演も視野に入れた本公演、どのような形で幕を開けるのか、楽しみで仕方ない。

取材・文=久保田瑛理 撮影=松本いづみ(オフィシャル提供)

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