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作者陣が語る、原作小説と漫画、それぞれの第1話に込められた想い──TVアニメ『鬼の花嫁』連載インタビュー第1回 原作・クレハ先生× 漫画・富樫じゅん先生

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

シリーズ累計750万部を突破し、待望のTVアニメ化を果たした和風あやかしシンデレラストーリー『鬼の花嫁』。本作は人間と“あやかし”が共に暮らす日本を舞台に、家庭に居場所をなくしていた女子高生・東雲柚子と、あやかしの頂点に立つ鬼の次期当主・鬼龍院玲夜の運命の恋を描く物語です。

優れた能力と美しい容姿を持つあやかしたちは、社会の中核を担い、絶大な権力を誇る存在。そんな彼らが本能で見つけ出す、たったひとりの運命の相手が「花嫁」です。妖狐の花嫁である妹・花梨と比べられ続け、家庭の中で傷ついてきた柚子。ついに心が折れかけたその日、彼女の前に現れたのは玲夜でした。

「見つけた、俺の花嫁」

その出逢いをきっかけに、柚子の運命は大きく動き始めます。

今回は第1話の放送を記念して、原作小説を手がけるクレハ先生と、コミカライズの作画を担当する富樫じゅん先生にインタビューを実施。物語の成り立ちから第1話制作時の舞台裏、そしてアニメで命を吹き込まれたキャラクターたちの魅力まで、たっぷりと語っていただきました。

 

 

【写真】アニメ『鬼の花嫁』クレハ×富樫じゅんインタビュー【連載第1回】

最終目標のひとつだったアニメ化

──まずは、TVアニメ化が決まったと聞いたときの率直なお気持ちから聞かせてください。

原作・クレハ先生(以下、クレハ):作家として活動するうえで、アニメ化・映像化は最終目標のひとつでした。なので、お話をいただいたときは本当に嬉しかったですね。お電話で「決まりました」と伺って、その場ではひとり、静かに喜びを噛みしめていました(笑)。

コミカライズ 作画・富樫じゅん先生(以下、富樫):私は、とにかく驚いたというのが一番ですね。クレハ先生と同じく、突然のお電話で教えていただいたんです。それまで「アニメ化しそうですよ」といった前振りもまったくなく、急に「決まりました」と。もう、ただただ驚くばかりでした(笑)。

──小説としての人気はもちろん、コミカライズ以降は電子コミックのアワード受賞や番組での紹介などを通じて、作品の反響がさらに大きく広がっていったのではないでしょうか。

富樫:私が最初に手応えを感じたのは、自分の作品の広告がスマホに表示されているのを見たときですね。電子コミックの広告として初めて目にしたときは本当にびっくりしましたし、何より嬉しくて。そこから少しずつ、広がりを感じるようになった気がします。

クレハ:スマホ広告もそうですし、テレビなどで作品を取り上げていただく機会があると、こんなにも多くの方に届いているんだなと実感しましたね。

富樫:以前、番組の企画で『鬼の花嫁』を取り上げていただいたとき、花江夏樹さんをイメージしたオリジナルキャラクターを描かせていただいたことがあったんです。そのことを花江さんが覚えていてくださって、ご挨拶した際に、花江さんのほうからその話題を振ってくださって。今回アニメで猫田東吉役としてご出演いただくことになり、不思議なご縁を感じましたし、とても嬉しかったですね。

──ここからは原作について、まずはクレハ先生に伺います。短編小説コンテストのテーマが「あやかし×恋愛」だったことが『鬼の花嫁』を書き始めるきっかけになったとお話しされていましたが、すでに人気のあった姉妹格差ものというジャンルの中で、『鬼の花嫁』ならではの魅力を出すために意識されたことはありますか。

クレハ:キャラクターが他作品と被らないようにすることは意識しました。たとえば、あやかしのトップというと厳しくていかついイメージがあると思うんですが、当主の千夜は、気さくな一面を持ちながら、腹の底では計略を巡らせている。高道も、一見すると真面目な秘書ですが、接してみると玲夜に対して飛び抜けた愛情を抱いていたりする。そうしたキャラクターのギャップは大切にしていました。

──あやかしといっても様々なものがいると思うのですが、玲夜を「鬼」にするアイデアは、最初から決めていらっしゃったのでしょうか。

クレハ:そうですね。「あやかし×恋愛」というテーマで、一番強くてメジャーなあやかしは何だろうと考えたとき、まず思い浮かんだのが鬼でした。そこからはもう、鬼一択でしたね(笑)。他のあやかしで言えば、我が家には猫がいたので、猫又はぜひ出したいと思っていました。

──和風でありながら、舞台は現代という点も本作ならではの魅力だと感じます。明治や大正ではなく、あえて現代を舞台にした理由も気になります。

クレハ:少しお恥ずかしい話なんですが、私自身の知識不足というところもありまして……(笑)。明治や大正を舞台にすると、物価やその時代の価値観など、設定が読者の方に伝わりづらくなってしまうと思ったんです。

現代であれば、今の感覚にそのまま置き換えられますし、スマホのような現代ならではのものを使ったお話も作りやすい。読者の方にも入っていただきやすいかなと考えて、現代を舞台にしました。

──柚子と玲夜の歩道橋での出会いのシーンが最初に思い浮かび、そこから物語を膨らませていった、とも伺っています。物語やキャラクターは、どのように形になっていったのでしょうか。

クレハ:当時は姉妹ものが流行っていたこともあって、「姉妹ものを書きたい」という思いからスタートしました。姉妹格差を軸にすると、不遇な家庭環境にいる主人公を、ヒーローがある日突然迎えに来てくれる……そんな王道の形になるのかなと。

人間とあやかしが共存しているという設定だけは決めていたのですが、書籍化されるとは思っていなかったので、プロットも一切ありませんでした。本当に思いつくまま、ばーっと書いていったものが1巻の状態なんです。

最初の短編にはいなかったキャラクターも、長編に直していく中で自然と増えていきました。子鬼ちゃんなども、その過程で物語に必要な存在として加わっていった存在ですね。

 

玲夜のビジュアルに求めた“カリスマ性”

──ここからは富樫先生に伺います。『鬼の花嫁』は、柚子や玲夜はもちろん、サブキャラクターたちまで魅力的な作品です。キャラクターをビジュアルに起こす際、特にこだわったポイントを教えてください。

富樫:ベースとなる雰囲気は共通させつつ、それぞれの個性や立ち位置の違いがはっきり伝わるように意識しました。具体的には、髪型や表情、それからファッションですね。たとえば柚子と花梨は姉妹なので、顔の作り自体は近くても、並べたときに対照的に見えるよう、ビジュアルを作っていきました。

──玲夜については、いかがでしょうか。

富樫:玲夜はやはり、すべてのあやかしの頂点に立つ鬼ですから、何よりも品格と強さがにじみ出るように意識しました。

ただ強いだけ、怖いだけではなくて、その場にいるだけで自然と人を惹きつけてしまうような、頂点に立つ人ならではのカリスマ性ですね。そういうものが画面からも感じられるといいなと思いながら、ビジュアルを作っていきました。

──瑶太についてはいかがですか。

富樫:瑶太は妖狐なので、モフモフ感を出したくて。でも、どうすればモフモフ感が出るんだろうと考えた末に、髪の毛を少しモフモフさせてみたんです(笑)。

──キャラクターのデザインは、いくつも案を重ねながら固めていくのでしょうか。それとも、最初に浮かんだイメージを大切にされることが多いのでしょうか。

富樫:私は、あっちもこっちもと迷うタイプではないですね。髪型を何パターンも作るということはあまりなくて、わりと一発で、という感じです。なんとなく自分の中でイメージが定まると、それに連動するようにキャラクターが立ち上がってくることが多いんです。

クレハ先生が最初からしっかりとビジュアルを頭の中にお持ちなので、そのイメージを伺って、そこから自分の描きやすいように味付けしていく、という流れですね。

──クレハ先生は、富樫先生のデザインを初めてご覧になったときのことを覚えていらっしゃいますか。

クレハ:柚子と玲夜以上にインパクトが残っているのが、玲夜の父親の千夜なんです。最初は、本当に“親父”だったんですよ(笑)。

富樫:そうなんです。千夜だけはイメージをいただいていなかったので、私が勝手に親父にしてしまって(笑)。

クレハ:一番変わりましたね、千夜は(笑)。

──そんな背景があったのですね(笑)アニメでの登場も楽しみにしています。

 

両先生が第1話に込めた想い

──第1話は、柚子の置かれた境遇と玲夜との出会いを描く、物語の入口となる回です。クレハ先生は原作を書くうえで、富樫先生は漫画として第1話を描くうえで、それぞれどのようなことを大切にされていましたか。

クレハ:小説を書くうえで悩んだのは、何をきっかけに柚子が玲夜への好意を自覚するか、という点です。その前に透子が「その時になったらわかるわよ」というようなことを言うのですが、ではその“いつ”をどこに置くか。

早すぎてもいけませんし、相手の好意に流されて好きになるのではなく、「自分は本当にこの人が好きなんだ」と柚子自身がはっきり自覚する瞬間を、どこに持ってくるか……。そこは本当に悩みました。

富樫:電子連載って、もう1話がすべてなんですよ。そこを面白くしないと続きを読んでもらえないので。それがよくわかっていたので、とにかく1話はお話の運びにスピード感を持って描くことを意識しました。

『鬼の花嫁』って、現代が舞台でありながら少し特殊なファンタジーの世界観じゃないですか。その世界に、1話でぐっと読者さんを引き込まなくてはいけない。ただ、1話に詰め込みたいことが多くて、とにかくページが足りず……(笑)。

「50ページくらい欲しい」という感覚だったんですが、実際は30ページちょっとに収める形になりました。本当はもっと大ゴマで見せたい場面も、細かく描かざるを得なかったところがあって。とにかくページが足りなかったな、という思いがありますね。

──アニメ化にあたって、おふたりからスタッフの皆さんに「ここは大切にしてほしい」と共有されたこだわりがあれば教えてください。

クレハ:私のほうからは、柚子のセリフですね。特に第一話で「あなたは私を愛してくれる?」というセリフがあるのですが、そこは出会いの場面そのものと同じくらい思い入れがあって。口にするときの涙の量も、少し調整していただきましたね。

そのほか、各キャラクターの語尾なども細かく見ていただきました。本当に一文字で雰囲気が変わってしまうので、そのキャラクターに合った言葉になるよう、丁寧に調整していただいています。

富樫:私は、「ビジュアルにしっかりと色気を出してください」とお伝えしました。柚子には柚子なりの、玲夜には玲夜なりの、その年齢や性格に応じた色っぽさのようなものを、漫画で描くうえでとても大切にしていて。アニメでどうやったら色気が出るのかと聞かれると、私自身もちょっとわからないんですけど(笑)、そこは一番お伝えした点だと思います。

あとは和装ですね。着物を描くのは難しいのですが、その質感やデザインにはしっかりこだわってほしいともお願いしました。そこは、アニメでも楽しみにしていただけるポイントになるのではないかなと思います。

──実際に声優の皆さんが演じられ、動いているキャラクターたちをご覧になって、どんなことを感じられましたか。

クレハ:もう本当に、すべてのキャラクター、キャストの皆さんのお声がイメージ通りで、とても素敵でした。特に玲夜の声は、本当にかっこよかったですよね。

富樫:わかります。声優さんに関しては、皆さん本当に素晴らしいなというのが率直な感想です。梅原さんの低音ボイスには、聞いているだけでドキッとするような魅力があって。早見さんは、優しくて素直な雰囲気がまさに柚子そのものでしたし。

クレハ:花梨役の石見舞菜香さんも、あまりにも可愛すぎてつい許しちゃう……みたいな(笑)。「瑶太」と甘く呼びかけるところがあるんですけど、その声が本当に素敵で。甘え上手な感じが、すごく可愛らしかったです。

富樫:石見さんは、朗読劇のときに柚子を演じてくださったんですよね。あのときは柚子だったのに、今回は花梨で。そのプロフェッショナルな演じ分けが、本当にすごいなと思いました。原作の世界観にすごく寄り添った作りにしていただいているのを感じて、そこも嬉しかったですね。

 

作り手が考える柚子と玲夜の魅力

──本作は、柚子と玲夜の出会いから始まるロマンスが大きな軸です。ご自身を振り返って、「この出会いが自分を変えた」と感じる大切な出会いがあれば教えてください。

富樫:私はやはり、クレハ先生が生み出してくださったこの作品に出会えたことに、運命的なものを感じています。コミカライズという形で関わらせていただいて、今では映像化もされて、こんなにもたくさんの方に作品が届いていて。あのとき出会えていなかったら、今の自分はないのかもしれないなと思います。

クレハ:私も同じで、やはりこの作品に出会えたこと自体が、自分にとって大きな転機だったと思います。これをきっかけにさまざまなお話をいただいたり、「見たよ」と声をかけていただいたり、読者の方からファンレターを頂く機会が増えたり。サイン会を開かせていただくなど、いろいろなことを経験させてもらうきっかけとなった作品です。

──アニメ化のみならず実写映画化もされるなど、『鬼の花嫁』はさらに広がりを見せています。長く作品と向き合ってきたお二人から見て、柚子や玲夜のどんな部分が、媒体を越えて読者や視聴者に届いていると感じますか。

クレハ:やはり、柚子の成長だと思います。最初はただ「愛されたい」という、少し受け身な思いから始まった彼女が、だんだんと「自分も玲夜を愛したい」という強さを持つようになっていく。その柚子の成長と、玲夜の一途な気持ちが届いて、皆さんに楽しんでいただけているのかなと思います。

富樫:私もまったく同じです。たった一人の運命の人が、生涯自分だけを愛してくれる……そんな玲夜の、柚子だけに向けられた一途な思いの強さは、媒体が変わっても変わらず届いているんじゃないかなと思います。

誰しも、心のどこかで「自分だけを見ていてほしい」という気持ちを持っていると思うんです。柚子と玲夜の関係には、その願いがまっすぐに描かれている。そこが、漫画でも小説でもアニメでも、多くの方の心に響いているのかなと感じますね。

──最後に、第1話をご覧になったファンの皆さんへ、あらためてメッセージをお願いします。

クレハ:とうとう始まりました、TVアニメ『鬼の花嫁』。キャラクターに命を吹き込んでくださったたくさんの方々のおかげで、無事に放送を迎えることができました。これからますます盛り上がっていくよう、私も全力で頑張ってまいりますので、どうぞ『鬼の花嫁』を楽しんでいただけたら嬉しいです。

富樫:漫画では、声や音、動きといったものは、読者の皆さんの想像に委ねている部分があると思っています。それが今回、素敵なボイスや音楽に彩られ、キャラクターたちが実際に息づいて動いてくれます。TVアニメ『鬼の花嫁』の魅力を、ぜひ最後まで楽しんでください。

 

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