心ほぐれる墨田区の名酒場6選。絶品もつ焼きから衝撃価格の海鮮まで、お酒も店主も濃いめがいい!
年間333日以上魚をさばく店主がいる。住宅地の端っこで創作中華を出す者もいれば、もつ焼きとイタリアン両方ともうまい店もある。三角州の角の方に行けば行くほど、そこは個性濃厚な酒場の密集地帯。楽しき夜を求め、さあ路地のその先へ。
鬼才が鍋振るガチ路地中華『鳩五五(はとごーごー)酒場』【曳舟】
麻婆豆腐を食べるとドSな辛さと痺(しび)れが! 「花山椒をホールと粉でたっぷり。香辛料をケチったら中華はおいしくならないんです」と、本格中華と居酒屋で修業を重ねた店主。壁の短冊には紅ショウガ入りの紅白焼売や、山椒ラー油スナックパクチーなど独創的な料理が並ぶ。「スナックはおっ〇っとを炒めたもの。人と同じことをやるのが嫌いで」。ホッピーは最初からナカを1杯追加で出してくれるので、辛うまい肴(さかな)でガンガン飲むべし。
『鳩五五(はとごーごー)酒場』店舗詳細
鳩五五酒場(はとごーごーさかば)
住所:東京都墨田区向島5-43-10/営業時間:17:00~22:00/定休日:日・祝/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン・亀戸線曳舟駅から徒歩6分
立ち飲み客も子連れも憩うビール集会所『THE ALL DAY』【曳舟】
タップリストは「シンキチ醸造所」や「ひみつビール」など、国内ブルワリーが中心。「背景にある物語も伝えたいので、タップにつなぐのは造り手に会った国内のものが多いです」と代表の長谷川将人さん。岩手の久慈ファームから届く新鮮な挽き肉で作る自家製ソーセージはジューシーで、グラスがグビグビと進む。手作りアイスも人気で、お父さんがビール、お子さんがアイスというほほえましい光景も。
『THE ALL DAY』店舗詳細
THE ALL DAY(ざ おーる でい)
住所:東京都墨田区東向島2-24-14/営業時間:11:30~14:00・17:00~24:00(土・日・祝は12:00 ~23:00。連休最終日は~22:00)/定休日:連休明け平日/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン・亀戸線曳舟駅から徒歩3分
サンダルでもOK、気軽にワイン沼へ『三保保三(みほやすぞう)』【曳舟】
三保剛さんは15年以上のバーテンダー歴を経て、ワインの世界に没頭。「フランスのクラシックが好みですが、若い方もとっつきやすいナチュールや価格帯も意識しています」。グラスは泡1・白4・赤4種ほどで、果実味など味のバランスが良いものをチョイス。「ロワール川河口は生産地が広く大量生産のワイナリーもあるが、この醸造家は造りが丁寧」など背景を聞きながら味わうのが楽しい。
『三保保三』店舗詳細
三保保三(みほやすぞう)
住所:東京都墨田区東向島2-15-12/営業時間:18:00~翌2:00/定休日:03-3610-1494/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン・亀戸線曳舟駅すぐ
ぜ~んぶいい塩梅 、酒場の最好到達点『はりや』【東向島】
昭和6年(1931)創業の老舗を3代目女将の荘司美幸さんが継承。お好み焼き風のげそ天など先代からの品書きも、明太ヤンニョムなど女将考案の日替わりメニューも気になる! 「常連さんもいますが最近は若いカップルも増えました」。女将は「料理人というより料理得意なお母さん」と謙遜するが、丁寧に引いた出汁を使うピクルスや火通し絶妙な炒め物など、どの酒肴もしみじみとうまい。
『はりや』店舗詳細
はりや
住所:東京都墨田区東向島5-3-1/営業時間:11:30~14:00・18:00~23:00(土は17:00~)/定休日:日・祝・月(ランチは火も休)/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン東向島駅すぐ
活気と職人気質にあふれるリトル豊洲『魚真(うおまさ)』【鐘ケ淵】
16時開店から席が埋まり、軒先の刺し身や焼き物販売目当てに買い物客が並ぶ。ズワイガニが1200円、焼き魚が3尾で500円って! 「とにかくお客さんに驚いてほしいし喜んでほしい。ここの飲み代より電車賃の方が高いっていう遠方からの方もいますよ」と大将の佐藤真人さん。大将は築地で17年卸しをしており、今も豊洲に毎日通う。極厚刺し身が皿からあふれるおまかせ盛り1650円という衝撃価格は、大将と市場の信頼関係の賜物!
『魚真(うおまさ)』店舗詳細
魚真(うおまさ)
住所:東京都墨田区墨田4-1-2/営業時間:16:00~翌1:00/定休日:無/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン鐘ケ淵駅すぐ
もつ焼きとイタリアン、変態的融合『ひえき』【鐘ケ淵】
炭火でもつ焼きと格闘しつつ、右手のフライパンでパスタを炒め、オムレツを焼く。店主の児玉大介さんは千手観音か。「渋いもつ焼き屋もカチッとしたイタリアンも家族連れには敷居が高い。その敷居を下げたいんです」。チレやフワまであるもつ焼きや、赤ピーマンとセロリを鶏肉で巻いたインヴォルティーニ600円など、どちらも単独エースを張れるクオリティ。老若男女でにぎわうのも納得!
『ひえき』店舗詳細
ひえき
住所:東京都墨田区墨田5-44-7/営業時間:18:00~22:00LO(土・日・祝は17:00~)/定休日:月/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン鐘ケ淵駅すぐ
取材・文=鈴木健太 撮影=加藤熊三(鳩五五酒場、THE ALL DAY、三保保三) 高野尚人(ひえき、はりや、魚真)
『散歩の達人』2025年8月号