行定勲「映画が好きな人は絶対に見逃せない映画賛歌」チャン・イーモウ最新作『ワン・セカンド』を大絶賛!
行定勲特別インタビュー!
2021年トロント国際映画祭に正式出品され話題となった映画『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』は、これまで3度アカデミー国際長編映画賞にノミネートされ、多くの映画祭で華々しい受賞歴を誇る中国の巨匠チャン・イーモウ監督の最新作。
フィルムの中にたった1秒だけ映し出されているという娘の姿を追い求める父親と、幼い弟との貧しい暮らしを懸命に生き抜こうとする孤独な少女。
決して交わるはずのなかった2人が、激動の時代の中で運命的に出会い、そして彼らの人生が思いがけない方向へと進んでいく物語。娯楽の少なかった時代に映画に熱狂する人々を描いた、まさに“映画愛”に溢れる一本です!
今回は、本作をいち早く鑑賞し、「驚愕し、感動した」という、映画監督の行定勲(ゆきさだ いさお)氏に独占インタビューを実施しました。
行定勲氏スペシャルインタビュー!
『GO』(01)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、『ナラタージュ』(17)、『劇場』(20)等、時代ごとに様々な作品を世に贈り続けてきた行定氏。
まず、映画を心待ちにする市井の人々を描いた本作について、「映画が映画を待ち遠しく思っている人たちを描くだけでも尊い」と、本作が文化大革命の混沌とした時代にあった中国で、村人総出で映画が来るのを心待ちにしている姿を描いていることに注目。
「自分個人にしか分からないショットがある。そこに着目するチャン・イーモウの物語の深さ。たった1秒しか映っていない、本当に僅かな刹那的な瞬間をどうしても見たいというところに物語の中心が作られていて、「何ていう映画だ」とすごく驚愕したのと同時に、めちゃくちゃ感動した」と、巨匠の視点を大絶賛!
そして、映画を待つ人々だけではなく、映画を運ぶ人や映画を上映する人、実際に映画を見て興奮し、ニュースフィルムを食い入るように見る人々を描いている本作について、「実は映画の全てがこの映画に封じ込められている。かつてのフィルム時代の映画の在り方がドキュメンタリーの手法ではなく劇映画という手法の中に、全ての感情や機微が観る側も上映する側の気持ちも全部そこにある。ある種の映画遺産というものがあるとしたら、こういう映画は“映画遺産”。一つの時代が明確に映し出されている」と、その唯一無二の価値にも言及。
さらに、本作はヒューマニズムの傑作であると主張する行定氏は「チャン・イーモウの作品を見ているんだけど、黒澤明にも通じるものがある。黒澤映画を見ているようなヒューマンな感じがすごくあって迫力もある」と、黒澤明と比較してしまうほどに素晴らしいチャン・イーモウ監督に惜しみない賛辞を贈りました。
また、「最近の中国映画は本当に面白い」と語り「尊敬する様々なアジア映画の監督たちと向き合って、自分なりのものを日本の風景で日本の俳優たちと一緒に生み出したい」と、今後の自身の映画作りへの意気込みも語ってくれました。
最後に、行定勲氏から映画ファンに向けてメッセージです!
「本当に先入観なく、この映画に出会えました。『ワン・セカンド』をタイトルにしているわけですけど、要するに映画は1秒間に24枚の写真が連なっていて、その一瞬に生きた人の姿や表情が映っている。それをどうしても見たかった男の物語です。
どんな時代の人が見ても、映画や映画館があって良かった。映画がなかったらどんなにつまらなかっただろう。この瞬間にどうしても観たかった映画があり、それを見られることがどんなに幸せなことだろうと思わせてくれるような、映画賛歌。映画が好きな人は絶対に見逃せない映画だと思います。
今、人と人の距離とか隣に誰がいるかということが非常に重要な時代になってきていると思います。そういう時に、人と人の縁とか人と人の繋がりとはこういうものなんだと感じられる素敵な映画だと思いますので、是非観ることをお勧めいたします」
行定勲氏も大絶賛の映画『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』は、明日5月20日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開です!
映画『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』作品情報
監督・脚本:チャン・イ―モウ 『妻への家路』
出演:チャン・イー 『オペレーション:レッド・シー』 リウ・ハオツン ファン・ウェイ 『愛しの故郷』
2020年/中国/中国語/103分/シネスコ/原題:一秒钟/字幕翻訳:神部明世
配給:ツイン
公式サイト:https://onesecond-movie.com/
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