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夜光性アミューズ、GILTY × GILTY、situasion、誰もシラナイ。……この夏のシーンを騒がしてくれそうな気鋭グループの新譜|「偶像音楽 斯斯然然」第85回

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夜光性アミューズ、GILTY × GILTY、situasion、誰もシラナイ。……この夏のシーンを騒がしてくれそうな気鋭グループの新譜|「偶像音楽 斯斯然然」第85回

1年の中でアイドルたちの活動がより活発になる夏本番を前に、今回は今夏アイドルシーンを大きく賑わす可能性を秘めた4つのグループをピックアップ。それぞれの新譜を軸に、その魅力をお伝えする。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

ツアーファイナル3日前になっていきなり発表された“EMPiRE解散”のニュース。結局は改名リスタートということだったわけだけど……。自分は仕事で別の現場だったので6月2日は行かれなかったが、エージェント(EMPiREファンの総称)の端くれとしてヒヤヒヤだった。

新グループExWHYZとしてEMI Recordsからデビューということで、EMPiREの楽曲などは封印されてしまうのかな……。今回の解散改名騒動にはいろいろ思うこともあったし、明確なことはまだわからないけど、ただEMIはEMPiREにゆかりの深いところもある。とりあえずExWHYZの音楽もコンセプトもまだ何もわからないけど、期待していいのではないだろうか。

さて、梅雨の湿気も鬱陶しい今日この頃だが、そろそろ暑い夏が始まろうとしている。今回はこの夏のシーンを騒がしてくれそうなグループを、胸を掴まれた新譜とともに紹介。

夜光性アミューズ 令和に煌めく電波系ギャルサー

“YouTubeやインフルエンサーがアイドル始めました”と聞くと、ちょっと構えてしまったりもするのだが、そんな偏見を一気に払拭してくれた、夜光性アミューズ。今年2022年4月で結成2周年を迎えたことを記念して全9曲のアルバムを配信リリース。

キャッチー性の応酬ともいうべき、一分の隙もない曲「夜光性イントロデュース」に完膚なきまでに叩きのめされ、当コラムでも“2022年に注目したいアイドルグループ”として取り上げたわけだが、その期待を裏切らぬ楽曲のよさとポテンシャルの高さを知らしめるアルバムである。

改めて触れておきたい「夜光性イントロデュース」の破壊力。ガヤを入れながら捲し立てるようなメロディをユーロビートに乗せて電波ソングとするのは、一時代を築いたニコニコ動画を中心に流行ったマッシュアップ系譜。それでいて現代的なエレクトロや流行のEDM要素を用いたサウンドプロダクトは洗練された趣を感じる。そこだけにとどまらず、その周りを取り囲むように、クラシカルなピアノが鳴っているという不思議な位相を持つ曲。どこを切り取ってもキャッチーであるという現在のSNS映えを狙いつつも、聴けば聴くほどに深い曲。

【LIVE MV】もしかして探し / 夜光性アミューズ

メンバーの成長もめざましい。“よるあみ”のボーカル力は、やはりハスキーとキュートが共存する魅惑のボイス、白空こあいの存在が大きいのだが「もしかして探し」聴いたら、こあいと神楽ひなこのコントラストが素晴らしいことに気づいた。こあいは倍音多めで中抜けした音域の声なので、本来はマイク乗りもよくなく、通らない声とされているのだが、ライブでも会場の後ろまでよく通る不思議なボーカル。対するひなこがウエットに伸びやかな声をしていて、サビ前の2人の掛け合い、コンビネーションにグッときた。炎谷莉奈のセリフっぽいパートにキュンとし、みぽたみたは安定感を増し、どこか安心できるふてこの声、とグループとしてのパワーは確実に増している。

【Dance Practice Video】DENPA DANCE / 夜光性アミューズ

そして、そんなこあい、twinpaleの蒼井叶、白雪姫乃、のんふぃく!の恋星はるか、iLiFEの心花りり、というHEROINESの各グループから強打者5人が集まった新グループ、GILTY × GILTY初楽曲のMVが公開された。

【MV】ScrambleBomaye! / GILTY×GILTY【ギルギル】

ノリがよく、ひたすらにキャッチーでポップ、だけどアレンジはヘヴィロック調の激しいバンドサウンドという隙のなさ。レンジを広めに取ったギターはタイトで心地よく、ドラムはツーバス含めて暴走気味だが、そこに負けないボーカルパートがよい。ラップパートの緩急やら、フックとなるパートも効果的な3分強。このメンバーなら絶対良いに決まってると思っていたが期待通りの滑り出し。早くほかの楽曲、ライブを観たい。

そして、よるあみ「夜光性イントロデュース」の作曲者、磯野涼が多く楽曲を手がけているsituasion。聴けば聴くほど、観れば観るほどよくわからなくなってくる中毒性を持ったグループである。

situasion 予期できぬグループの音楽性

ポストロック、シューゲイザー、ドリームポップ、エレクトロ……いわばイギリスのレーベル『4AD』好きが喜びそうな、そんなグループだ。

【MV】situasion 『全少女運動』

そんなsituasionのシングル「全力少女運動」はボイシングが印象的なギターのカーテンに少女の澄んだ歌声がまどろんでいく綺麗な曲。といいつつも中間部の破壊的な展開などカオティックな側面を持つ。

【4K Live Movie】situasion『JAPANESE HORROR STORY』

6月16日に行なわれた<situasion 3rd ONE MAN LIVE
「全少女運動」>は、全21曲の濃密な世界にぐいぐいと惹き込まれていった。situasionのライブはいい意味で掴みどころがない。エレクトロから現代音楽といった先鋭的なものまで網羅する楽曲群。コンテンポラリー要素のあるダンスであったり、清純な少女性と同時に介在する危うさ、冷たさをも体現していく。そんな不思議な空間なのである。

【4K Live Movie】situasion『EVENT HORIZON→→↓』

最新シングル「全力少女運動」は先述の通りだが、カップリングの「教育にG」は反復する不気味なベースラインが印象的で記号的なボーカルが刻まれた無機質なエレクトロ。「三つの教典」はソリッドなギターが印象的なボカロロック的なアプローチのアップテンポナンバー。コード進行が何やらおかしいが……。「革命三部作 -パルメニデスにさからって- 第一部 六季の会」はサンバ調のサビが印象的な陽気なナンバー。うん、予期できぬグループの音楽性と磯野涼の作家性……変態である。

誰も知らない。 ロックアイドルの麒麟児

前回マニアックすぎて伝わらないギターカッティングネタで取り上げた誰もシラナイ。の「Ye-Yo」。スピード感のあるメロディとエッジィな言葉選び、息つく暇なく次々と紡いでいくボーカルとそこにズバズバ斬り込んでくるギターが心地よい楽曲である。

誰もシラナイ。「Ye-Yo」

そんな「Ye-Yo」が収録されている新EP『ZANDER』が素晴らしいので紹介したい。

フューチャーベースのイントロ「Chops!」で煌びやかに始まる本作は切れ味抜群の「Ye-Yo」で一気に叩き切られる。ギターカッティングとリズミックなボーカルに気を取られがちだが、ピアノの旋律が交差していったりと立体的なサウンドプロダクトも聴きどころ。「うらめしや」はエレクトロに昇華したホラーロックで男前にキメていく湊とキュートなこはくといった、それぞれの声色とメロ解釈を堪能できる。「メアリー」はシュプールを描くようなサウンドコラージュが印象的なエレクトロダンスポップ。ダブステップ混じりのブレイクから和テイストが盛り込まれたりと、スリリング展開が聴き手を飽きさせない。メロの起伏も激しく、キーの高さ含めてボーカルスキルの高さを存分に感じられる曲だ。

ラストはテンション高めのバンドアレンジが気持ちいいロックチューン。曲自体はストレートな作りではあるが、メロに合わせ次々と変わっていくアレンジが楽しい。何よりメロがいい、とにかくメロがいい。

当コラムでも要所要所で取り上げている誰もシラナイ。であるが、正直ちょっと飽和状態でもあるロックアイドルシーンの台風の目になるのではないだろうか、そんな予感がする大傑作である。

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