猫は『留守番』に強い?家に残していくときの注意点5つ ギリギリ何日ならOK?
猫を家に残せる期間
猫は留守番が得意だといわれますが、その評価はあくまでも犬と比較したもので、猫の性質を正しく評価しているとはいえません。
たしかに猫は独立心が強く、野生の猫なら1年中を単独で生活します。また、飼い猫も犬の散歩のように毎日外出が必要なお世話がありません。そのため、人間の目線で見て「猫は留守番に強い」といわれているのです。
実際は、猫も留守番による孤独がストレスの原因になることがあります。特に飼い猫は、人から食事を提供されることで幼児化します。そのため、長く留守番を強いられると、母親とはぐれた子猫のような気持ちになってしまいます。
このようなストレスを考慮すると、飼い主さんの外出は長くても2泊まで、できれば出かけた翌々日のお昼くらいには戻るのがよいでしょう。ストレス状態が続けば、過度グルーミングや食欲不振などの問題を引き起こすこともあります。
もし、どうしても避けられない事情があるときには、猫のストレスを軽減するための適切な準備をしてから外出しましょう。
猫を留守番させるときの5つの注意点
猫を留守番させるときには、猫が快適に過ごせることと寂しさや不安をできるだけ感じないで済むように配慮することが大切です。
1.ライフラインはアナログも用意
猫の食事や飲み水の準備は必要不可欠です。飼い主さんが不在の間でも、猫がいつもと同じタイミングで食べられるようにしましょう。食事の時間を決めている家庭では、タイマー付きの自動給餌器や自動給水器が便利です。
ただし、電化製品は予期せぬ停電で止まってしまうこともあります。特に自動給水器が止まるとまったく水が飲めない状態になってしまいますので、給水器以外に、猫が倒さない程度の大きな器に飲み水を用意しておくと安心です。
また、留守中はトイレの掃除ができません。トイレの数は頭数+1の原則はもちろん、不在になる期間によってはトイレ本体の数を増やし、汚れたら猫が自らキレイなトイレを使えるようにしておくようにしましょう。
自動で掃除してくれるトイレは便利ですが、やはりこちらもアナログ式のトイレはいつも通りに置いておきましょう。
2.部屋を適温に保つ
不在中でも、1部屋はエアコンをつけっぱなしにすることをおすすめします。ふだん猫が寝ている場所がいいでしょう。
寒い時期には、猫は自分で毛布などがあればもぐって暖を取ることができますが、春先から秋ごろまでは急激に暑くなったときには、部屋の中でも熱中症に陥る危険があるためです。
特にリモコンは、猫が踏んで電源を切ってしまったり、冷暖房を入れ替えてしまったりしないよう高い場所へ保管してしましょう。
また、暑すぎたり寒すぎたりしたときに、猫が好きな場所へ移動できるよう、エアコンをつけた部屋のドアを空けておくのもポイントです。何かの拍子にドアが閉まってしまわないよう、ドアストッパーも忘れずに。
3.退屈防止
長時間の留守番は、退屈防止対策が欠かせません。好奇心旺盛な猫は、退屈が原因で問題行動を起こすことがあるためです。
猫は日中、多くの時間を寝て過ごしますが飼い主が帰ってきていないと刺激がなく退屈してしまうことがあります。そのようなときに、ふだんならしないような「いたずら」がはじまるのです。
たとえば、キッチンの食品棚をあさったり、人の物をおもちゃにして噛んでしまったりするかもしれません。
命にかかわる危険なもの(たとえば、電気コード類など)は、できるだけ猫が触れないように隠しましょう。その上で、安全な猫用おもちゃを用意しておけば、猫は好きなときに遊べるので退屈しにくくなります。
4.猫の安全を確認する
ペット用カメラの設置は、留守番中の猫の安全を確認するには効果的な方法です。外出先からでも猫の状態がわかれば、必要に応じて対応することも可能になります。
たとえば、食事や水をちゃんと摂っているか、トイレの使用頻度なども確認することができます。四六時中見ていることはむずかしくても、データとして残してくれるものもあります。
万が一のときには、用事を切り上げて帰宅することも可能になるでしょう。
音声付きカメラを使用すれば、マイク機能を使って音声で猫を呼んだり、遠隔で給餌したりすることも可能です。
もちろん、猫を留守番させることに関していえば、ペット用カメラは必須ではありませんが、猫の安全を確認する上ではとても便利です。
5.子猫や持病のある猫は誰かにお世話を頼む
子猫や持病のある猫は、特別なお世話や監視が必要なため、長時間ひとりにしておくのは避けたほうが良いでしょう。不在中のいたずらや誤飲は心配です。
また、持病のある猫は、定期的に投薬をしなくてはいけないこともあるでしょう。
特にケアが必要な猫には、看護や介護の知識を持つシッターに依頼すると良いでしょう。専門的なトレーニングを受けたペットシッターなら、猫の日常のお世話に加えて、健康状態をよくチェックをして報告してくれます。
ただし、投薬は愛玩動物看護師の有資格者でないとできないため、投薬が必要な猫のペットシッターを依頼する際にはシッターが愛玩動物看護師の資格保有者であるか確認が必要です。もちろん猫に合ったお世話ができるなら、家族でも問題ありません。
また、プロのペットシッターは、夏季休暇や年末年始に予約が取りにくい傾向があります。ペットホテルも同様です。長期不在になるときは、計画的に準備しましょう。
まとめ
猫が留守番に強いといわれるのは、野生の猫の独立心や犬と比較していわれる過大評価かもしれません。特に飼い主との関係を重視する猫にとって、長期間の孤独は大きな負担です。ギリギリ2日間程度にしましょう。
やむを得ず2日以上、猫を留守番させる際にも、できるだけ短期間で済ませるようにして猫の生活環境と安全性を整えて出かけることが大切です。
また、長期不在が避けられない場合は、ペットシッターなどプロのサポートを早めに手配しておくと安心かもしれません。長期不在の際に急に知らない人が来るといくらペットシッターであっても猫は警戒する可能性があります。わかっている場合は数回依頼してお任せできるかを確認することも必要かもしれません。猫にとって安心できる環境を整えれば、飼い主さんも心置きなく外出できるでしょう。
(獣医師監修:平松育子)