新国立劇場、蓬莱竜太作・演出『消えていくなら朝』の戯曲を期間限定で公開
社会での最小単位である、家族が織り成す様々な風景から、今日の社会の姿を照らし出し、未来を見つめるシリーズ「光景─ここから先へと─」第3弾の蓬莱竜太作・演出『消えていくなら朝』が2025年7月10日(木)より開幕する。この度、戯曲が期間限定で公開されることが発表された。
蓬莱が2018年に新国立劇場に書き下ろし、宮田慶子前芸術監督の演出により初演された本作。最も身近で最も厄介な「家族」という存在を蓬莱独自の切り口で描き、その私戯曲的な内容から大きな話題と、高い評価を得て、第6回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞も受賞した。
この傑作を、今回、すべての出演者をオーディションで決定するフルオーディション企画 第7弾として、蓬莱竜太自らの演出で上演する。
物語は、家族と距離を置いていた劇作家の定男が恋人を連れて帰省し、18年ぶりに全員が顔を揃えた家族の前で、次回の新作で、家族のことを書いてみようと思うと切り出すところから始まる。表面的な会話から、だんだんと長年抱えてきた不満や本音が飛び出していく、ヒリヒリとした会話の応酬。仕事や日常生活というそれぞれの人生と、まるで“呪い”ともとれる「家族」として断ち切れぬ絆の中で、生きていく幸せを問う渾身の作品が、作家本人の手により、再生する。
蓬莱自身と自身の家族をモチーフに描き、蓬莱自身もことさら特別な想いを抱いているという本戯曲を、初日開幕前日の7月9日(水)までの期間限定で公開される。
初演を観た方は、その時の感覚を思い出しながら、そして、初めてこの作品に触れる方は、出演者たちに「…」と「(笑)」が多い!と言わしめた蓬莱独自の表現に溢れるこの戯曲が、今回の上演ではどのように立ち上がってくるのか想像しながら楽しんでみてはいかがだろうか。
蓬莱竜太(作・演出)コメント
海外には初日の前に戯曲が発売され、それを読んで、役者がそれをどう演じているのか、どう演出されているのかを楽しみに観劇するという文化があります。読んだ戯曲がどう立体的に立ち上がっているのか、そこにも演劇の楽しさがあります。日本では中々実現しないケースですので、是非これを機会にそういう観劇の楽しみ方を味わってもらいたいです。想像力を膨らませながら、劇場に足を運んで頂けると嬉しいです。