Yahoo! JAPAN

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

夢は走りながらブラッシュアップ!こだわりの入浴料で29歳に起業したパワフル女子~その1~

Suits-woman.jp

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ふと訪れる「このままでいいのだろうか?」という不安。自分が一生を生きていくなかで冒険をするならば早い方がいいのでしょうか?でも自分自身が得た職場も、見知らぬ誰かと競った結果得たもの。働く女性のなかで起業という選択肢を選び、いまも進み続ける女性たちはどうやってそのステップへと踏み出したのでしょうか。

今回は、29歳でオーガニック入浴料の開発の道へ挑戦した女性が主人公です。

言葉にできないモヤモヤからテレビ番組をきっかけに準備なしに独立

今回お話を伺ったのは、奈良県奈良市にて2016年に起業したチアフル株式会社の松本梓さん。自然素材のみを使ったお風呂のハーブのブランド「jiwajiwa」を立ち上げ、企画販売を行なっています。

松本さんは神戸の大学を卒業後、大阪の大手住宅メーカーに入社。入社から4年間は営業、その後は宣伝部に配属。仕事にやりがいは感じつつも、なんとなく自分の毎日に対して考えるようになっていました。

「入社して7年経った頃、29歳になってキャリア選択や働き方のことでモヤモヤしていました」

29歳は、働いているうえで一つの分岐点となる年齢です。仕事も一通りこなせるようになり、人によっては役職についたり、部下を持つ立場になる人もいます。そのときに松本さんは「自分で何かしたい気がする」「地元のことに携わりたい気がする」「女性だから出来ることをしたい気がする」……と想いを巡らせるようになっていました。走り続けているなかで突如訪れたなんとも言葉にできないモヤモヤでした。

「そんなときにビジネスドキュメンタリーの番組を見たのです。四国を拠点に、日本の地方を元気にしようという会社の方で、ぜひ一緒に働きたいと思ってホームページを見てみました。いくつかの採用の応募がある中で『起業家、募集』とあったのが気になり、説明会はないか問い合わせしました。すると、愛媛に来てください、と返信がやってきたのです。起業準備金を出資しましょう、というお話になったんです。びっくりしました」

大手住宅メーカーを終身雇用で務めるつもりだったのに。そんな気持ちは番組を見た感動で一瞬でひっくりがえり、こんなチャンスを逃しては後悔すると起業準備もしていないのに退職することを決意。なんと起業準備金までゲットしてしまうのです。なんたる強運!

でも自分の起業のスタート時を振り返り、松本さんは自分自身の性格を机にじっと座って策を練るタイプではないと振り返ります。

「ブランディングや商品開発などの本もたくさん読みましたが、想像力があまりたくましくないので、ぴんと来ないのです。新しくスポーツをはじめるときルールブックばかり読んでも、素振りやポジション別の練習をして、練習試合や実践試合をして、その繰り返しをしないと上達しないのと思うので、事業もそうだと思うのです」

とにかく実践すること。自分の経験値と勢いを信じて会社を辞めたのは、番組を見てから6か月後のことでした。運のつかみ方はさまざまありますが、松本さんの場合は自分の感性に従って情報を掘り進めていくうちに、鉱脈を見つけた「発掘型」のようです。

自然のもの100%の入浴剤を作る

「お風呂のハーブに魅力に気づいたのは、地元の奈良で秋に開催されているイベントで、『大和当帰』という植物を販売されている生産者さんから浴用の『大和当帰』を購入したのがきっかけです」

大和当帰は根や葉が漢方にも使われているセリ科の薬草で、婦人病などに効能があるといわれています。その名の通り奈良県に主に生息するため、あまり全国には知られていませんが、この出合いが松本さんの運命を変えてしまいました。

「乾燥させただけの大和当帰を、お茶や出汁のパックのような四角い袋に入れていた簡素なものでしたが、お風呂に入れると、からだが芯まで温まってびっくりしたんです」

松本さんは当時冷え性に悩んでいて、普段から入浴剤を試すうちに、その数は100種類にものぼっていたそうです。いくつも試すなかで、気になっていたのが成分。ドラッグストアなどで売られているものの表示を見ると、合成香料や着色料をはじめ聞きなれないカタカナが並んだ化学成分がたくさん入っているものが多くて、本当に体によいのかと気がかりでした。

「化粧品や食品は、オーガニックや無添加のものが増えているのに、入浴剤には自然派のものが少ないなって思っていたので、それなら自分で作ろうと思いました。周囲には自然派志向の同僚の女性社員や、冷え性で悩んでいる女性社員が多かったので、そんな方々にこそ喜んでもらえるのではと思ったのです」

大和当帰の葉。指で揉むと強い香りが出てきます。

大和当帰の葉をはじめとするハーブが入った入浴剤「なら深吉野のよもぎ 奈良高取の大和当帰葉」。

入浴剤の種類は現在は5種類にまで拡大。

「地道にコツコツ」が必要なことは会社員も起業も同じ

松本さんが勤務していたのは、テレビCMも放送している大手住宅メーカー。そんな会社の宣伝部ともなれば、仕事の現場も日々刺激的なことがあったのでしょうか。

「私が3年間働いていた宣伝部は、CM制作やホームページ・カタログ・ロゴなどの総合的なブランディングを担っている部署でした。宣伝部というと華やかな印象がありますが、私の考えでは営業も宣伝も、どちらもお客さまとの接点で窓口となる部署です。実際に働いてみると、扱う金額が大きな案件や海外の案件など躍動感のある仕事は、どれもバックヤードの細やかなたくさんの下準備に支えられていて、地道でコツコツやる仕事が多いと感じました。これは、どの仕事にも通じると思っていて、起業後もどんなことも一歩ずつだなぁと実感しています」

松本さんは自身でも携わっていた仕事を「会社の窓口」と意識していたように、消費者に対して直接アプローチをする業務に携わり、活躍していました。会社員として得たスキルは起業後も活かされていく一方で、自分の会社としては必要になる内部で支える業務の経験が薄いという弱点がありました。

「私は勢いではじめること、考えて納得しながら進めていくこと、もので表現することが得意なのですが、スピード感が求められないものや、経理や生産管理などバックヤード業務が苦手です。その点を補ってくれるメンバーが現れたことで前に進めています。最近は、写真撮影やライティングを手伝ってくれる仲間ができました。私は商品開発ははじめてだったので、消費者目線を大切にして、後はひたすら体当たりです(笑)」

自分の夢に一緒に踏み出して、支えてくれる人に出合うにはどうすればいいのか? 松本さんは「どんな風に助けて欲しいか声を上げること」だといいます。それは、知人に話してみたり、SNSで投稿することでもいい。難しく考えすぎずに、素直に助けを求めてみたら不思議と助け舟がやってくると考えています。

前に「ひたすら体当たり(笑)」で進むことで自分の理想とする入浴料を開発。いよいよ量産するために必要なものを発注するための取引先探しへと突入します。~その2~に続きます。

jiwa jiwa
https://www.jiwajiwa.jp/

取材・文/きたもとゆうこ

【関連記事】

おすすめの記事