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「無理だと言われるところにこそ可能性がある」二人がこだわりぬいた「バトル」と「斑獣」からも感じる作品へのリスペクト──舞台『ガチアクタ』演出・植木 豪さん、脚本・私 オムさん対談インタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

裏那 圭×晏童秀吉による漫画作品『ガチアクタ』が舞台化! 2026年5月22日より東京公演が開幕、同年6月5日からは京都公演がスタートします。

主演の今牧輝琉さんをはじめ、立花裕大さんや福澤 侑さん、星波さんらキャスト陣が出演。舞台で『ガチアクタ』の世界を彩ります。

アニメイトタイムズでは舞台上演を記念し、キャスト陣へのインタビューを毎日掲載! 第6回は、本舞台の演出を務める植木 豪さんと脚本を手掛ける私 オムさんの対談をお届け。脚本制作の裏側やこだわったポイントなど制作エピソードを語っていただきました。

 

【写真】舞台『ガチアクタ』演出・植木 豪、脚本・私 オム対談インタビュー

大事にしたいと感じた“漫画を読んだ時のインパクト”

──ご依頼が来た時のお気持ちをお聞かせください。

植木 豪さん(以下、豪):僕は『ガチアクタ』の表紙を見て、「あ、もうこれだ」と思ったんです。いわゆるストリートカルチャーの新しい分野をいち早く漫画に取り入れている作品で。ファッションやカラー、タッチまで全てがすごく新しいなと思いました。

舞台化にあたって、実際に漫画を読んだ時のインパクトは、とにかく大事にしたいと思いました。「ここは絶対に欲しい」「こうなったら面白いな」といったアイデアをメモしながら、漫画を読み進めていきました。

──どういった部分が一番印象に残りましたか?

豪:まずキャラクターの表情の描き方が、これまでにないものだと感じました。現代作品にはあまり見られないような力強いタッチもあって。

そこに、グラフィティの持つストリート感や、フレーバーが加わってすごく強い印象を受けました。それが作品全体からひしひしと伝わってくる感じで、見れば見るほどその匂いが強くなってくる。グラフィティはこの題材にはぴったりだし、尖ってる部分でもあるなと思いました。

今までの作品にはなかったカルチャーへの純粋な「好きさ」や、知ってる人だからこそ出せるフレーバーが多くの人を惹きつけていくんだろうなと感じましたね。

──オムさんは脚本に落とし込む際、どのように組み立て、制作スタッフと共に対話を重ねていったのでしょうか?

私 オムさん(以下、オム):当初「ここまで舞台化します」とお話をいただいたとき、僕の感覚では「結構いくな」と率直に思いました。

原作漫画を読んでいると、本当に省きたくないシーンや会話ばかりなんです。出会いひとつを取っても、ポップな出会い方もあれば、ドラマチックな出会い方もある。そのすべてが素敵だったので、どれも欠かせないと思いました。

原作の良さをそのままお届けしなければという強い想いがあり、(植木)豪さんと打ち合わせをしていく中で、本当に大切なものをよりピックアップして、引き立つように描いていく方法を取って、結果的にほとんど省かず、削らずに執筆することができたのではないかなと思っています。

──「このシーンだけは絶対省きたくない」と考えたシーンは?

豪:まずは「天界から落とされる」シーンです。かなり衝撃的で。「あ、こういう世界の話なんだ」って思わせておいて、実はそこから全く違う方向へ展開していく。そこが最初に掴まれるところですね。

その部分は(私)オムさんとたくさん話し合いました。オムさんがそこをすごくリズミカルに、テンポよくストーリーへ落とし込んでいただき、美しくまとめてくれました。「なるほど、こういう風に感情が動いていくと、舞台でもっと入り込めるんだな」と、勉強になった部分もあり。

原作が好きな方にも本当に納得してもらえる脚本をオムさんに書いていただき、僕自身も本当に感動しました。

オム:豪さんから、長文のすごく熱い、絵文字まみれのLINEが届いて(笑)。そのLINEを見るだけで、元気をもらえます

──冒頭以外に、こだわりの抜いたシーンは?

豪:やはり「バトル」と「斑獣」ですね。「これ、舞台でできるのかな?」というところにむしろヒントがある気がして、そこはオムさんとかなり話しました。

舞台って「不可能って言われてるところに可能性がある」じゃないですか。「え、それやっちゃうんだ」とか、「あ、そうやって見せるんだ」みたいなことが、特に2.5次元だとすごく大事だと思っていて。

ピンチがチャンスのように、無理だと言われるところにこそ可能性がある。オムさんと「これどうします?」みたいな話しを何度もしましたね。

──オムさんの豪さんとのやりとりで印象深いお話を教えてください。

オム:「このキャラクターの人器の表現を、こういうふうにしようと思うんだよね」と言われ、素材の映像を見せてもらったんです。それが別に舞台用でもないし、何の競技の動画なのかも、正直いまだによく分かっていないんですけど(笑)。

とにかく、人がとんでもない動きをしている映像を見せてもらって、それを舞台に取り入れて、生だからこその良さを最大限に生かして届けようとしてるんだというのが伝わってきて、そのときに、やっぱり演出家・植木 豪すごいんだなと、改めて感じました。

──奈落の世界をどう表現するのか、このタイミングでお話しできることを教えてください。

豪:今回は、とにかく一番“没入感”を出したいなと思っています。舞台に来てくださる皆さんが、本当に『ガチアクタ』の世界に飛び込めるかどうかが、チャレンジだと思っているので。

漫画もアニメも、ある意味あり得ない世界じゃないですか。でもそこにちゃんと入り込めるし、感情移入もできる。皆さんが本当にその世界に飛び込めるかどうか。極端に言えば、客席を“ゴミ山”にできるかどうか、みたいな。そこを意識しながら、いろいろアイデアを出し合って話し合いをしています。

──好きなキャラクターについてお聞かせいただけますか?

オム:ザンカです。彼の葛藤とか、ルドに対する思いですね。“逸材”と言われたルドに対する感情から始まって、そこからルドと関わる中で、ザンカ自身が少しずつ変わっていく。その過程がすごく素敵だなと思います。

悔しさとかそういう部分を乗り越えていくところも含めて、「男としてのザンカ」というキャラクターに、すごく惹かれましたね。

豪:ルドの“今までにいない主人公感”というか。「こんな表情する主人公っていたかな?」という部分が好きですね。

バトル漫画で主人公が女の子を殴るシーンって、あまりいないじゃないですか。パンク野郎みたいな。そこに魅力があるなって思って。あと、エンジンやリヨウの武器、ハサミだったり、傘だったり。シルエットがとにかくカッコイイ!

そしてジャバー。彼のえぐさというか、「なんか痛い」って感じが、すごくかっこいいなって思いました。

──海外でも人気のある作品の世界観はどうお考えでしょうか?

豪:やっぱり一番は、ストリートカルチャーですよね。漫画からも、音楽を感じられるところとか。

ちょっとオタク気質でもあるけど、カルチャーが好きで、いわゆる“イケてる”感覚を持っている人たちが、フィギュアだったり、最近盛り上がっている音楽系のカルチャーだったり、そういうものが好きな人が、自然と入り込んじゃう作品だと思います。いろんな要素が混ざり合っている「ミクスチャー」な感じというか。

僕もフィギュア欲しいですもん。家にあったらお洒落じゃないですか。

オム:僕が思ったのは『ガチアクタ』というタイトルそのものと、あのフォント。もちろんそれが全てではないんですけど、あの文字の中にいろんな要素が集約されてるなって思うんですよ。『ガチアクタ』というタイトルを見るたびに、強さとか、かっこよさとか、パンクな感じとかが伝わります。

たとえばルドの「志の強さ」だったり、各キャラクターの「太さ」みたいなものも、あの『ガチアクタ』っていう文字から強く伝わってくるんです。

作品のいちばん外側をまとっているもの、その力が、一発で人の心を響かせるんだろうなって。この作品には、そういったパワーがあるなと、すごく感じています。

──作品にちなんで、命が宿ったらいいなぁと思う“もの”があれば教えてください。

オム:うーん…パソコン、ですかね。仕事道具でもあるんですけど、僕が仕事で疲れてるときの表情とか、筆が止まる理由とか、全部見ている存在だなと思うんです。

何も喋らなくていいんですけど、ただそれを感じ取ってくれる、そこに生命があるっていう。でも、作業してるときに急に喋り出したら…そのときはもう、さすがに消しますけどね。(笑)。

豪:僕は絵を描くのが好きなんで、描いた絵とかがちょっと…ほんのちょっとだけでいいんですけど、命を持ってくれたらいいなって思います。

ずっとそこにいられると、なんかしんどそうなんで、たまにペラっと出てきて、「産んでくれてありがとう」みたいなことを言って、またスッと戻っていく、みたいな。

──最後に、舞台の見どころとメッセージをファンの皆さんにお願いできたらなと。

オム:舞台の脚本家って、舞台の演出家と偉大な原作の間に存在する立ち位置だと思っています。

原作の素晴らしさを演出家に手渡すまでの“橋渡し”のようなものだと。だからこそ、何もこぼさずに、どうやったらよりよい形で、“生”として届けられるか、それだけを考えて脚本を書き、演出家さんにお渡ししました。

豪さんも一緒に作っていただいて。そしてこれからは、それをお客さんに届ける作業に入っていくんだと思います。

全セクションが敬意を持って作品に向き合っていますし、原作ファン・アニメファンの皆さまに観ていただくことに対して、「怖い」というのとは少し違うかもしれませんが、ちゃんと緊張感を持って創作に取り組んでいます。ぜひ厳しい目で観に来ていただいても大丈夫です!

それぐらいのリスペクトを持って作っていますので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

豪:やっぱり『ガチアクタ』の素晴らしさ、魅力的なキャラクターたち、そしてグラフィティを含めた世界観を、本当に真摯に舞台で表現できたらいいなと思っています。

オムさんもおっしゃっていた通り、脚本・演出、そしてキャストのみんなが、『ガチアクタ』という世界を表現するために、ここから本番まで全力で稽古に向かっていくと思います。

それを皆さんと一緒に共有できることがすごく素敵な時間になると思っていますし、今からとても楽しみにしています。

 

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