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狂犬病 予防接種率7割に低迷

TBSラジオ

写真提供:源宣之 岐阜大学名誉教授

2月、群馬県伊勢崎市で、小学生9人を含む合わせて12人が、犬に噛まれたというニュースがありました。その犬は、「狂犬病」の予防接種を受けていなかったことも分かっています。

狂犬病の予防接種 あなたの愛犬は受けていますか?

この狂犬病の予防接種は毎年受けることが法律で義務付けられていますが、接種率が減少傾向にあり、7割程度と、低迷しています。犬を飼っている人に、狂犬病の予防接種を受けているか、街で聞きました。

「それはもう必ず。市から毎年受けているので、通知が来るんです。1週間前に来ていたので、4月になったら行こうかなと思っています。」

「迷惑かけちゃまずいし、ドッグランに行くときに必要になってくるし、打っています、毎年。ワクチンとか打ちたくないっていう人も結構いるみたいなので、でも狂犬病は怖いので打ってほしいなと思います。」

「チワワです。うちは毎年受けています。証明書をいつも持ち歩いています。狂犬病も、そこに行っている(通っている)お医者さんも把握しているので、必然的にやっています。たくさん飼育されている方は、料金もそれだけの頭数かかるのと、面倒くさくなっちゃうのかなとは、テレビで見ながら思いました。」

「トイプードルです。毎年ではないけど受けています。2、3年に1回。過剰接種が嫌。その子その子の体調もありますので。」

私が取材した範囲では、毎年必ず予防接種を受けているという飼い主がほとんど。ただ、最後の女性は2、3年に1回と話していました。

日本では「狂犬病予防法」で、飼っている犬を市区町村に登録して、狂犬病の予防接種を毎年受けさせることが義務付けられています。違反した場合は、20万円以下の罰金の対象となっています。

厚生労働省によると、2022年度に全ての市区町村に登録された犬、およそ607万頭のうち、接種済みはおよそ430万頭。およそ30年前は接種率が99%を超えていましたが、今では約70%に低下しています。

狂犬病とは

「狂犬病」はどんな病気なのか、狂犬病ワクチンの研究をしている岐阜大学 応用生物科学部 共同獣医学科 人獣共通感染症学の伊藤直人教授のお話です。

岐阜大学 応用生物科学部共同獣医学科 人獣共通感染症学 伊藤直人教授
狂犬病は、動物、特に犬から人に感染し、現在も治療法がないので、発症するとほぼ100%、死に至る怖い病気です。全ての哺乳動物種が感染すると言われていますし、例えば、狂犬病の犬が何らかの動物を噛んだ場合に、ほぼ全て発症する可能性があります。人ももちろんそうです。狂犬病に感染した動物は凶暴化します。他の動物や人を噛むんですが、噛んだ際に、ウイルスが傷口から体内に侵入して、噛まれた人、あるいは動物が発症する仕組みになります。人の場合は、発熱や頭痛から始まって、やがて痙攣や、喉が渇いているけれど水が飲めなくなる、水を恐れる症状が特徴的なものとして出てきます。やがて昏睡状態に陥って、最終的には、ほぼ100%の確率で死に至る病気になります。 

(写真提供:源宣之 岐阜大学名誉教授)

「発症」してしまうと、いまだに治療法がない、怖い病気なんです。「狂犬病」と言われるように、ほとんどが感染した犬が人を噛むことによって人も感染するケースが多いんですが、犬や人間だけでなく、猫もタヌキもキツネも感染し、発症することがあります

日本国内では人が犬などに噛まれ、感染・発症したケースは1956年を最後にありませんが、2020年には、外国籍の男性が、外国で犬に噛まれ、来日後に狂犬病を発症して亡くなっています。

狂犬病の予防接種 デマに注意!

こうした狂犬病に対し、SNSでは「狂犬病の予防接種をすると犬の寿命が短くなる」や、国内で発生が少ないことなどから「狂犬病は存在しない」といった誤った情報が拡散されました。こういった情報について、再び岐阜大学の伊藤教授に伺いました。 

岐阜大学 応用生物科学部共同獣医学科 人獣共通感染症学 伊藤直人教授
「狂犬病の予防接種をすることで犬の寿命が短くなる」ということは全くのデマで、我々、研究者が把握している限り、そういったデータは存在していないです。「狂犬病が存在しない」というのは、世界的に見たらいっぱい存在しているわけで、世界ではまだまだ狂犬病が流行しています。年間5万9千人、発展途上国、特にアジアやアフリカの国々で流行して、それくらいの犠牲者が出ています。単純計算すると9分に1人、世界のどこかで亡くなっている計算になるので、重要な感染症です。ワクチンがあるにも関わらず、人類がまだ無くせていない、いっぱい犠牲者が出ていることから考えても、決して軽く見てはいけない感染症だとは思います。

伊藤さんは「法律で定められている限り、毎年予防接種を必ず受けさせてほしい。ただ、国内では現状、狂犬病の発生は抑えられていることから、今後、狂犬病の侵入リスクや狂犬病予防法のあり方も含め議論の必要はある」と話していました。
また、万が一、狂犬病に感染した犬に噛まれた人も、発症前の潜伏期間にワクチン(人用のワクチン)を接種すると発症を防ぐことはできるそうで、命を守ることができます。正しい知識を持って適切に対処してほしいと呼びかけています。

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