能登半島地震で津波被害の「なおえつ海水浴場」 今夏の営業に向け着々準備 避難用階段も新たに設置
元日に発生した能登半島地震からちょうど半年となった2024年7月1日、津波で海の家が流されるなど甚大な被害を受けた上越市の「なおえつ海水浴場」で安全祈願祭が開かれた。13日の海開きに向け、海の家の設営のほか、避難用の仮設階段も新たに建設されるなど、準備が着々と進められている。
《画像:7月1日に行われた安全祈願祭》
毎年夏、同海水浴場にはなおえつ浜茶屋組合(桑原尚二組合長)に加盟する7軒の海の家が立ち並ぶ。長野や群馬を中心に家族連れらが海水浴に大勢訪れ、にぎわいを見せるが、元日に発生した津波が海水浴場を飲み込んだ。津波の影響で砂浜に置かれたコンテナや海の家の建築資材や家財などが流され、海水浴場につながる市道も大量の漂着物が流れ込んだ。桑原組合長(59)は当時を「壊滅したと思った。どうにもならないと途方に暮れた」と振り返る。
《画像:能登半島地震で津波に込み込まれたなおえつ海水浴場(1月2日)》
津波の直後、組合員や市、県、建設業者らが現地に集まり、市道開通や砂浜の撤去作業の手順などを確認。復旧作業を続ける中で、砂浜に散乱したものの中には水難を逃れて利用できるものもあったことや関係者からの後押しなどもあり、組合では今夏の営業を決定。高田城址公園観桜会で初めて組合としてグルメブースを出店し、オリジナル焼きそばを販売しながら今夏の営業を広くピーアールするなどした。一方で、桑原組合長によると地震による被災総額は約1億円。資金繰りのめどが立たないなど、2軒が今夏の営業を断念した。
《画像:今春の高田城址公園観桜会では夏の営業に向けグルメブースも出店しPR》
安全祈願祭には関係者約20人が集まり、今シーズンの安全を祈った。桑原組合長は「当初はどうにもならないと途方に暮れていたが、多くの関係者から協力をいただき、祈願祭までたどり着くことができた。なんとか形になった」などと感謝した。
現在は開設に向け、準備が急ピッチで進む。海の家の建設は6月上旬からスタートしており、津波の人的被害を未然に防ぐ取り組みとして、市は新たに避難用の仮設階段を設置している。いずれも13日までには完成する予定だ。8月には花火大会やカニ汁祭りなども企画されている。
《画像:建設が進む海の家(7月1日午前)》
《画像:市が設置している避難用階段。13日までに完成する(7月1日午前)》
桑原組合長は「きつかったがここまできた」と話す一方で、「工夫しながらお客さんに来てもらえる体制を整える。安心して足を運んでいただけたら」と期待を込めた。