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京都・八坂神社にファン300人駆け付け、OSK日本歌劇団が南座公演の成功を祈願、新トップスター翼和希「腹が決まった」

SPICE

OSK日本歌劇団

OSK日本歌劇団が創立100周年を迎えた2022年から劇団を引っ張ってきた、トップスターの楊琳(やんりん)と娘役トップスターの舞美りらが退団。2024年9月からは新たなトップスターが誕生し、翼和希がパワフルに、全速力で劇団を牽引している。新生OSK日本歌劇団初の京都・南座公演として4月25日(金)~29日(火・祝)に『翼和希トップスター就任記念「レビュー in Kyoto レゼル~Les Ailes~南座バージョン」』を上演。同公演の成功を願い、3月10日(月)に八坂神社にて成功祈願祭を行った。

晴天の八坂神社に到着し、南楼門から本殿へと歩みを進めたトップスターの翼和希、娘役トップスターの千咲えみ、華月奏、椿りょう、唯城ありす。「お練り」は一般公開され、300人を超えるファンが駆けつけた。

翼和希、千咲えみ

祈祷を終えた翼は「一言で言えば、身の引き締まる思い」とし、「成功祈願をして自分の腹も決まりました。たくさんのお客様が待ち構えてくださり、南座も観に行きますというお声をたくさんいただいたので、より一層頑張らなあかんなと。絶対に南座公演を成功させたいと思いますし、皆様にお楽しみいただける舞台をお届けしたい気持ちがより強まりました」とパワーをもらった様子。

翼和希

またこの半年での心境の変化について聞かれると「正直、舞台に対しての想いは変わりない」と断言。「トップスターというものが肩書きや地位ではなく、与えられた役割だと考えるようになりました。まずはOSKをご存じない方、興味がある方に対しての玄関にならなければいけない。歌劇に一歩踏み込む勇気がない方や、観てみたいけど躊躇されている方の背中をそっと押して、沼に引きずり込む役目ができたらなと思っております」と続けた。

華月奏

そんな翼は、他の劇団員からみてどんなトップスターなのか。研修生時代から約15年ともに歩んできた千咲は「持ち前の明るさで、心地よく温かいプレゼントをしてくれるトップさん。劇団員はもちろん、いろんな方に愛されて、皆さんを愛し、自然と人が寄ってくるようなエネルギーを感じています」と話した。華月の「頑張り屋さんで、負けず嫌いだと思います。できる限り全力で頑張りたい子なので、私たちの元に戻ってきた時は少しでも心休まるような場所にできたらいいなと思います。どうか頑張りすぎず、頑張れる子であってほしいです」という温かいコメントに、翼が「お母さん……」との声を漏らす。

翼の言葉通り「変わっていない」と答えたのは椿。「トップに就任されてからより輝いて、翼さんの周りから光が放たれているような気がしています」と、そのパワフルさを表した。唯城も「5歩先を歩いている翼さんに追いつこうと走り出したら、すでに10歩先へ行ってらっしゃるような方。私たちも後れを取らないように、「翼さんこっちですよ!」と言えるくらい頑張りたいです」とし、切磋琢磨する劇団の姿を見せた。

千咲えみ

千咲も半年前から単独の娘役トップスターとなった。「楊さんと舞美さんがご卒業されるとお聞きした時から不安が大きかったのですが、幸せなことに同期の翼が横にいてくれるので、新しいこのチームで頑張っていくぞという気持ちが強いです。トップとしての自覚も持ちつつ、目の前にあることにしっかり一つずつ取り組んで、劇団の一員として精一杯頑張りたいという意気込みでございます」と不安は払拭されたそう。

今回成功祈願を行った『レビュー in Kyoto』は、山口県の岩国でスタートし、シンガポールに上陸、3月には名古屋と東かがわに巡るトップスター就任記念公演の最終の地として、南座にて上演される。特に歌劇が浸透していないシンガポールでの公演は「初心を思い出す機会になった」と翼。「最初は歌劇とはなんだろうと、お客様にハテナが浮かんでいましたが、中詰めで客席降りをした際に反応がぐっと変わりまして。盛り上がり方が分かった瞬間の反応がダイレクトに伝わり、これが生の舞台の良さやなと再認識できました」とさらに舞台の魅力に引き込まれたようだ。

唯城ありす

演目はシンガポール公演でも好評だった「レゼル~Les Ailes~」。タイトルはフランス語で翼を意味し、永遠のいのちをつなぐフェニックスなど、華月いわく「いろんな翼がちりばめられた」レビューとなる。唯城が好きだという、天使の羽根が舞う中で翼が生まれる場面から始まるのだが、作・演出の北林佐和子は「生まれた時から実は翼が生えていたんだよ。その翼をどこか忘れているだけかもしれない。その中で、そっと背中を押してくれる歌詞」と説明したそう。これに翼は「私の芸名は異なるという字の上に羽と書きますが、人と異なることを恐れずに大きく羽ばたきなさいという気持ちを込めて名前を付けたので、そのような歌詞を先生につけていただけたことが嬉しくて、体現できるような人になりたい」と思ったという。

そのオープニングから、世界平和の願いを込めたパッション溢れるラテン、ラストはスタイリッシュかつ情熱的な総踊りへと、未来に向かって天翔ける姿をダイナミックに描く。「南座バージョン」はこれらに、「ヤマトタケル白鳥伝説」やハイスピードなラインダンス、男役の暗闇での群舞も新たに追加され、約75分間上演される。

椿りょう

2016年ぶりとなる「ヤマトタケル白鳥伝説」では翼がヤマトタケル、椿が黒鳥を勤める。椿は「私は南座で動物や人外の役をやりがちなのですが、今作品もそうだということで、今からいろんな黒鳥を見て研究し、より人外らしく人間離れした動きを披露できれば」とアピール。また千咲は「18人という大人数でのラインダンスはとても迫力があるので、皆様にもぜひ観ていただきたいです。「これがOSK!」とお客様にも思っていただけるはずなので、絶対にみどころの一つに入れていただきたいです」と言葉に力を込めた。

演目以外の南座公演の注目ポイントとして、「(就任記念公演を上演してきた)これまでの劇場では平舞台でさせていただいていたので、セリやスッポンなどの舞台機構を使って、上下の動きを使って表現する演出も楽しみにしています」と翼。また同劇団として南座で客席降りをするのが6年ぶりとのことで、「よりお客様を近くに感じることができるので、今から大変楽しみにしております」と続けた。

「OSKの魅力である生命力は、紆余曲折の歴史の賜物だと思っています。私自身も初めてOSKを観た時に、そのエネルギーが舞台に通じていると感じました。私らしさは、皆が言ってくれたみたいにパワフル、暑苦しさかなと思っています。それを活かして、エネルギーを私たちからお客様にお届けします。このあとの2会場を経てさらに引き出しを増やし、南座で(エネルギーを)爆発させたいです」と意気込んだ。

OSK日本歌劇団

取材・文・撮影=川井美波(SPICE編集)

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