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L'Arc~en~Cielの結成30周年を祝う『30th L’Anniversary LIVE』、約3時間の祝福のパーティーをレポート

SPICE

L'Arc~en~Ciel/hyde

30th L’Anniversary LIVE
2022.05.22 東京ドーム

L'Arc~en~Cielの結成30周年を祝う「30th L'Anniversary」プロジェクトを締めくくる、東京ドーム 2Days公演のファイナル。それは30年間にわたって日本の音楽シーンの最前線を走り抜け、後に続く多くのミュージシャンや音楽ファンに夢を与え続けるバンドを祝福する歴史的瞬間だ。5万人が見つめる中、全24曲、約3時間にわたって繰り広げられた祝福のパーティーの模様をレポートする。

(2022.05.22)

ドーム球場の左翼から右翼まで届くほどの超ワイドスクリーンで、1992年から2022年へとカウントされる映像、そして「30th L'Anniversary」の巨大な文字。5万人が掲げるカラフルなライトが輝く中、力強い包容力に満ちたミドルチューン「ミライ」が始まる、いやが上にもワクワクするオープニング。ステージ背後に出現した美しい虹に見とれていると、爆音のリズムが鳴り響き、大量の銀テープが降る中で一気にスピードアップして「READY STEADY GO」へとなだれ込む。あっという間に広いドーム空間を掌握して一体感を生み出す、これがスタジアム級バンドの底力。「New World」のスピード感に合わせてスクリーンのアニメーション映像も加速する、目がくらむほどの映像効果も最高だ。

「L’Anniversaryへようこそ。L'Arc~en~Cielです。30周年の最後を飾る場所へやってきました。かわいい声が聴けないのは残念だけど、体中使って楽しんでいってください。やれるかトーキョー?」

走る、跳ねる、歌う、叫ぶ。のっけからhyde(Vo)の気合の入りっぷりは普通じゃない。yukihiro(Dr)とtetsuya(Ba)は、グルーヴィーなダンスチューン「SEVENTH HEAVEN」でどっしりと骨太なリズムを構築し、ken(Gt)は「Lies and Truth」で華麗なギターソロを披露する。それぞれの個性、それぞれの見せ場、ラルクのライヴはどこを見ても常に目移りしてしまう。そしてスクリーンに映る神秘的な森の風景をバックに、重厚なキーボードサウンドで構築されたミドルバラード「瞳の住人」。派手に突っ走った序盤からテンポを落とし、ライヴは徐々に佳境へと入ってゆく。

L'Arc~en~Ciel/hyde(2022.05.22)

「5万人が来るだけでもすごいのに、不思議なことにみんなラルクが好きなんです。本当に来てくれてありがとう。この感謝を5万人に、体で返したいと思います」

ヘヴィなインダストリアルロックの衣をまとった「XXX」から、妖艶でダークなダンスロック「fate」へと、楽曲も照明も映像も闇の色彩を帯びた楽曲が続く。特に「finale」でのhydeの鬼気迫るヴォイスパフォーマンスは鳥肌ものだ。雷鳴と雨が降りしきるスクリーンをバックにした、kenのロマンチックなギターソロも素晴らしい。そこからポップで明るい「MY HEART DRAWS A DREAM」へと突き抜ける、めまぐるしく変わる空模様のような緩急自在のセットリスト。声を出して歌えない代わりに、5万人のハミングをうながすhydeの表情が、にっこりと笑っているように見える。激しくも温かいムードの中、気づけばもうライヴは中盤だ。

L'Arc~en~Ciel/ken(2022.05.22)

高らかなエンジン音と共に始まったのは「Driver’s High」だ。kenがステージ右翼の先端まで走り、hydeとtetsuyaはステージ左翼へ飛び出して観客を煽る。場内の熱気の高まりと共に音楽もスピードアップし、カラフルな女の子たちの映像をバックにポップにはじける「Pretty girl」、tetsuyaのベースソロから明快なポップチューンへと展開する「STAY AWAY」と、アップテンポの楽曲を連ねてぐいぐい盛り上がる。

hydeがエレクトリックギターをかき鳴らして歌う「HONEY」は、痛快な疾走感と共に。真っ赤な炎の柱がステージで燃え上がる「いばらの涙」は、スリルいっぱいでダークな緊張感と共に。「Shout at the Devil」はさらにディープな世界へ突入し、燃え盛る炎に囲まれて黒い旗を掲げ歌う、hydeの悪魔的歌唱がすさまじい。中空に花火が上がり、yukihiroが気迫みなぎるドラムプレイを聴かせる。感情の情報量が多すぎて整理できない、ただひたすらに圧倒されるのみのパフォーマンス。

L'Arc~en~Ciel/tetsuya(2022.05.22)

ふと見上げるとドームの中を飛行船が飛んでいる。かつてのアルバム『ark』(1999年7月発売)のジャケットを飾った飛行船だ。その着地と同時にメンバーが登場したのは、グラウンドのホームベース付近に作られたサブステージ。全員が椅子に腰かけて演奏する、ビルボードライブやブルーノートを思わせるスタイルで、まずはジャジィなフィーリングたっぷりの「Singin’ in the Rain」。発表当時は大人びて聴こえた曲だが、30周年を迎えた今のメンバーのたたずまいにぴたりと寄り添う。kenのギターのブルージーな響きがかっこいい、オールドフレイバーなロックチューン「LOST HEAVEN」もいい感じだ。そしてhydeの呼びかけで、5万人のスマホライトの灯りがともされる中で歌われた「星空」の、言葉をなくすほどの完璧な美しさ。歌う前にhydeは多くを語らず、「平和を願って…」とだけ言った。2022年5月、世界中で起きている様々な状況に向けて歌われる「星空」のメッセージが、ひときわ強く生々しく胸に響く。

L'Arc~en~Ciel/yukihiro(2022.05.22)

観客全員を巻き込んだウェーヴのパフォーマンスで盛り上がった後、舞台をメインステージへと戻すと、いよいよライヴはクライマックスへ。シルバーのジャケットに着替えたhydeが、アグレッシヴなパフォーマンスでバンドをリードする。カラフルなシャツ姿のtetsuyaがビートを支え、ロングコートを羽織ったkenが豪快なソロを繰り出す。シンプルな白い服装のyukihiroがマシンのように正確なリズムを刻む。曲は「予感」、そして「Blurry Eyes」へ……ここでまさかの出来事、yukihiroがイントロをミスって演奏が止まってしまう、非常に珍しいハプニングが起きた。すかさずhydeが「今何かあったみたいですね」と笑わせて空気がなごむ。ハプニングこそライヴの証明、気を取り直して始めた「Blurry Eyes」はこれまで以上にテンション高くハートフルで、全員の一体感が半端ない。

「30年も愛され続けるバンドになれてうれしいな。一度しか言わないから聞いて。ラルクを好きになってくれてありがとう!」

「Blurry Eyes」の曲中、演奏を止めてのtetsuyaの言葉からもファンへの愛情が溢れている。そして昼間のようにまぶしい光の溢れる中、スリリングな開放感に満ちた豪快ロックチューン「GOOD LUCK MY WAY」を歌い終えると、ライヴはついにラスト1曲。

(2022.05.22)

「この30年、いろんな出来事がありました。みんながいたからここまでたどり着けたと思います。つらい時にやめていたら、悲しい記憶、悔しい記憶だけが残るかもしれませんけど、乗り越えるとこんな素敵な景色が待っていたと思うと、それはみんなが支えてくれたからだなと思います。連れてきてくれてありがとうございます」

虹は、雨がやむ時にできるんですよ。――ラストソング「虹」は、悲しみの向こうに見える美しい景色をそのままバンド名にした、L'Arc~en~Cielのテーマ曲とも言える大切な1曲。ステージ全体から、そして観客席から、七色の光が溢れ出してドーム全体を虹色に染める、息を呑むほどに美しいフィナーレ。30年間の旅はここで一区切りを迎えるが、虹のふもとを探す旅はたぶん永遠に終わらない。大きく投げキッス、手を振ってステージを去るhydeが「次は一緒に歌おうね」と言った。その日はきっと、そう遠くはない。

いつものように、明るくなったステージにtetsuyaがひとり現れた。最後のメッセージはやはり「ラルクを好きになってくれてありがとう」だ。ステージの上から、客席から、感謝の気持ちだけをやりとりする幸福な時間。全24曲、約3時間にわたって繰り広げられた祝福のパーティーはすべて終わった。しかし音楽は鳴りやまない。L'Arc~en~Cielの31年目はもう始まっている。

取材・文=宮本英夫
撮影=Takayuki Okada、Toshikazu Oguruma、HIdeaki Imamoto、Yuki Kawamoto、Hiroaki Ishikawa

(2022.05.22)

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